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2012年6月19日火曜日

【戦略とストーリー】

ビジネス戦略の話に「ストーリー」という言葉が頻出するようになってきました。そういうタイトルの本も売れているようですし、チーフ・ストーリー・オフィサーという役職も現れました。なぜビジネスにおいて「ストーリー」が注目されるようになったのでしょうか?

前回、世の中がモノから気持ちへ、機能の良し悪しから、好き嫌い、共感の有無という時代に移行しているという話をしました。ダニエル・ピンクという人は「ハイ・コンセプト」という著書の中で、世の中は産業社会から情報化社会を経て、コンセプチャル社会に移行していくと指摘しています。つまりビジネスにおいて重要な差別化要因が左脳的なものから右脳的なものへ、ロジックから情緒・感覚へ重心が移っているということだと思います。

IT技術とインターネットによって情報流通量が爆発的に増大し、情報へのアクセシビリティは飛躍的に向上しています。そうすると単に情報をデータとして蓄積したり、送信することの価値は相対的に低下していきます。情報をどうキュレーションするかの方に付加価値が移行する訳です。

また大量消費社会が引き起こした地球環境破壊もあいまってモノを所有することが幸せに直結する訳でないことが明らかにもなってくる、社会が成熟し、高いモノをもつことが記号として、かっこいいことでなくなってくる。更に日本においては震災のこともあいまって、企業活動においても絆や共感といった情緒的なものが、モノやサービスを選択する価値観として重要になっている。。

こんな環境と意識の変化の中でモノやサービスの消費活動においても、その背景に共感を呼ぶコンセプトを伴う「ストーリー」のありなしが重要な選択基準になってきているんだと思います。

「ストーリー」には様々な構成要素があります。まず舞台設定(世界観)がある。語り手がいて、出演者(キャラクター)がいる。シナリオがありシーンが生まれる。ビジネスにおいても、これら要素を念頭においていく。
モノ、サービスを提供する中でも「誰に、どこで、何を、どうやって提供するのか」、「なぜ、それをしているのか」を考え抜く。そういうストーリーの有無や志の違いを消費者は敏感に嗅ぎ分けます。それが大きな差異につながっていきます。

ワールドビジネスサテライトのコーナー「スミスの本棚」で紹介された本が急に売れ始めるのも、総選挙や握手会やググタスでコミュニケーションを図り続けるAKBが売れるのも、アニソンというジャンルが比較的好調なのも、その背景に「ストーリー」をしょっているからと言えるからじゃないかと思うわけです。

参考)
ストーリーとしての競争戦略 ―優れた戦略の条件
ハイ・コンセプト「新しいこと」を考え出す人の時代
物語編集力
杉山恒太郎氏がクリエイティブラボ「PARTY」の「Chief Story Officer」就任
ストーリーを語るだけでは人は動かなくなった

2012年4月22日日曜日

【ソープオペラなエンタメの可能性】

「ソープオペラ」って言葉があります。日本でいうと昼ドラ。スポンサーに石鹸会社が多かったところからこうい名前がついたらしいですが、視聴者に常習性をもってもらうために台本に工夫を凝らし、様々なシチュエーションでの老若男女が入り乱れ、恋愛や裏切りの愛憎劇が繰り広げられます。

そして、そういった要素をスポーツエンターテイメントに取り込んで成功しているのがアメリカのプロレス団体WWEです。これも優秀な脚本家によってつくられた台本をベースに昼ドラさながらに所属レスラー同士での愛憎劇が繰り広げられます。WWE会長のビンス・マクマホンやその妻、娘、息子まで本物のファミリーも総出演、大きなシナリオの中で各試合がショーとして位置づけられてストーリーが展開しています。ビンスは悪のオーナーと呼ばれ、娘はビッチ呼ばわり。試合にも参加し文字通り体を張った経営をしています。
そんなWWEは売上400億円規模のアクション・ソープオペラの総合エンタテインメント企業です。全世界で毎週1200万人が番組を視聴。ライブ、テレビ、物販、ライセンス事業から今後は映画製作も手がける戦略のようです。この振り切りが凄いです。

参考)
WWEはアクションソープオペラの総合エンタメ企業
WWEコーポレイトページ







なんでWWEの話を思いついたかというと、きっかけは「乃木坂46」。
最近、ネットのニュースで新曲の振り付けの”スカートめくり”がネットで不評だの秋元さんがスタッフに激怒したとか、Jリーグのイベントで浦和サポーター大ブーイングされたとかいろいろ話題がニュース化されています。それに呼応するようにソーシャルメディア上でも、曲がいいの悪いの、かわいいだ不細工だ、振り付けがいいの悪いの、、。馬鹿馬鹿しいと思いながらも一応YouTubeでミュージックビデオをチェックしようかという誘因になっています。
そして実際、視聴してみると、さほど下品でもないしクオリティも悪くない曲です。はからずもサビのメロディが何かに似ていると思い出すために頭を使うはめになってしまいました。悔しいですが乗せられてしまった訳です。



WWEも乃木坂46も誰がどうしようが、どうでもいいっちゃどうでもいいです。でもビンス・マクマホンも秋元さんも、それをエンターテイメントとしてちゃんと台本をつくり話題や刺激を提供している訳ですよね。



最近Facebookなどでネット上で流通している「EXILE相関図」ってのもありますが、これも「一生役に立ちそうのない、どうでもいい情報」として話題になっています。

社会が成熟してくると、コンテキストの共有を前提とした、こういうソープオペラなエンターテイメントも一つの事業機会、成長領域なんではないかと思った訳です。

2012年4月4日水曜日

【improvementとinnovation】

人も会社も年月で経験を積んでくると、だんだん、そつなく仕事をこなせるようになってきますよね。一方で中にいると当たり前なことが、外からみたら「なんじゃそりゃ」ってことになっている場合も往々にして起こると思うわけです。特に閉鎖的な業界の中で完結してモノゴトが進むような会社、グローバルな競争原理とは離れたところで一定の権益をあげてきた会社は要注意です。

先日、業務オペレーションの方針や施策を検討するミーティングに出席したときのこと。みんなで日々の業務上の調整事項や指標となる数値をいかに改善するかについて真剣に議論、KPIをレビューし、市場動向を見極め、ユーザーニーズを探り、今悪い点をよくするためにどうするべきか、、。それはそれで重要なことだし何ら否定されるものでもありません。でも、なんか違うな、足りないな、と感じてしまった訳です。

なんでだろうと考えたとき、ふと、これって要するに改善と改良の話しかされてないからじゃないかと思った訳です。英語でいえばIMPROVEの話に終始しINNOVATIONの話がないというということかもしれません。

モノゴトを変えていく概念には、改善、改良、改革、革新などいろんな言葉があります。辞書的にいうと、
・改善:悪いところを改めてよくすること
・改良:不備な点や悪い点を(性質を変えない範囲で)改めてよくすること。
・改革:従来の制度・枠組みなどを改めてよりよいものにすること。
・革新:旧来の制度・組織・方法・習慣などを改めて新しくすること。
、、とありました。

改善と改良に一生懸命取り組めば、短期的には努力に応じた成果に結びつくかもしれません。でも、いろんなビジネス構造が変化している昨今、もっと大きな流れの中で、改善改良の効果が無効になってしまうこともありますよね。たとえばガラケーの機能をいくら改善しても、もはやiOSやAndroidのスマホの世界になったら付加価値も何もあったもんじゃありません。多かれ少なかれ日本のいろんな会社でそんなことが起こっていると思うのです。

10年ほど前、ある口の悪い電機メーカーの幹部が言っていました。「日本のテレビメーカは、50年間、テレビの画質向上しか技術進歩をさせてないんだよ。早晩、コモディティ化の中でビジネスとしてはダメになるだろうね。」と。それから10年、まさしくその通りになりました。ハイビジョンだ、液晶だ、有機ELだ、3Dだ、といっても、それは技術的に先進的なイノベーションがあったとしても、ユーザーからみたら画の改善改良でしかないと言えますものね。結局、大型高画質テレビの市場価値は数万円まで落ち込みました。

一方でAppleのiPhoneやiPadは技術的にはパソコンの延長線上にあるのかもしれないし、基盤部品の技術は日本にあるのかもしれません。でもユーザーからみたら、いままでに経験したことのない世界観を実現したところにイノベーションがあると思うわけです。結果、日本の電機メーカーの時価総額を全部集めても足元にも及ばないほど企業価値評価に差がついてしまいました。これからユーザーインターフェイスやコンテンツ、サービス連動のモデルをつくっていくのも結構つらそうです。

何を思うかといえば、上に立つリーダーが、将来を見据えたイノベーティブな指針を出していかないといけないなってことです。というか、それが主な仕事なんでしょうね。ユーザーからみた付加価値がどこにあるかを見極め、その付加価値を向上させる方法論を示していかないといけません。それはモノゴトの大小とは関係なくということが重要です。従来の業務上のKPIとは違う話になるかもしれません。リソースの使い方がまったく変わってしまうかもしれません。これまでの付加価値の一部が毀損してしまうかもしれません。でも、それをしていかなければ、いずれ日本のテレビメーカーのように、にっちもさっちもいかなくなってしまうのではないか、と思うわけです。


参考:
「改善」は「現状肯定の観点から改良する」、「改革」は「現状否定の観点から新しい姿にする」と定義づけられます。言い換えると、「改善」は「現状の延長線上で方法や手続きを変える」、そして「改革」は「将来志向から考え方を変革する」ということ。http://www.jmac.co.jp/wisdom/management/mg_04.php

参考:
「偉大な企業はすべてを正しく行うが故に失敗する」
イノベーションのジレンマ
http://blogs.itmedia.co.jp/saito/2009/12/google20-9d35.html
http://eicolab.com.au/2008/12/01/the-innovation-interrupt/

2011年12月2日金曜日

【モノとコトのコンバージェンス】

前回は音楽ビジネスにからめて「モノからコトへ」というテーマで考えてみました。モノを所有することより、体験、共感、知識、絆、、というコトに価値観がシフトしている世の中を見据えると、”コト”にフォーカスすることによって、新たなビジネスの可能性が広がるんじゃないかという仮説です。

しかし、これはモノを売るのをやめて、コトだけで儲ければいい、という話ではありません。価値観の重心は「モノからコトへ」移っているとしても、それは製造業をやめててサービス産業にシフトしようっていう単純なことではないはずです。

ここで重要な視点は「モノからコトへ」の流れの中で、いかに「モノ」と「コト」を融合させたビジネスモデルをつくれるかということではないかと思う訳です。

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例えばモノを売っている製造業にしても、モノを機能として売っているというより、コトを提案した売り方に移行しているように思います。

HondaのHPを覗いてみると「大人の自由がそこにある」CR−V、「毎日をスペシャルに」Life、というコピーに出会います。昔「こどもといっしょにどこいこう」Stepwgnっていうのもありました。要するにHondaはコトとして提案をしながら自動車というモノを売っているとも言えます。
最近のエコカーもユーザーはその性能というよりエコという社会的な付加価値のほうに意義を見いだして買っている訳ですものね。

サクラクレパスという会社は初めから「モノ」を売るのではなく、絵を描くという「コト」を普及させることにより、売り上げを伸ばしてきたといいます。学校を巻き込んで絵のコンクールをしたり、幼稚園に子供に絵の描き方を教える講師を派遣したり。結果クレヨンというモノも売れるようにする。

日本酒メーカーの菊水は「モノとコトの融合で日本酒を面白くする」といっています。「お酒そのものにこだわるのも大事ですが、もっとこだわるべきは、お酒がつくりだしてくれる愉しさ」。良い酒とは単に酒質の善し悪しじゃない、ここに面白さや楽しさといったものが付加されてはじめて「良い酒」の資格があるんだと言っています。

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一方、「コト」を売っているサービス業にしても、最終的なマネタイズポイントはモノを売ることによって成立していることも多いと思います。

スターバックスはコーヒーというモノを売っているのではなく自宅とも職場でもない「第三の場所」を提供するんだ、という理念を掲げています。でも代金はコーヒー代(モノ)として回収しています。

Appleの本質的な提供価値はアプリとWEBサービスを含む全体のエキスペリエンスだと思いますがメインのマネタイズポイントはiPhoneなどのデバイスですよね。

前回もふれたAKBも握手という体験(コト)を提供しますが、代金はCD代(モノ)で回収したりします。ライブ興行も、最終的に利益を稼ぐのは物販だったり、飲食だったりのモノである場合があります。

来春開業の渋谷ヒカリエの新店コンセプトの中には「モノ・コト・キモチが融合した」出会い、発見の場を目指すというキーワードがありました。単に商品が整理され区分されたデパートじゃないんです、、ということです。

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単純にモノが機能や性能で売れる時代は終わりました。

でもモノの提供によって価値あるユーザーエキスペリエンス(コト)を提供し、その対価をモノを売ることによって回収するモデルは有効だと思います。

逆に価値あるコトを起こして、そのコトをモノに転換して売って回収するというモデルもあると思います。

そんなことを考えるとキモチを込めた”モノとコトの融合”、そこにもビジネスのヒントがあるのではないか?、そう思う訳なのです。


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2011年11月28日月曜日

【モノからコトへ】

「これからの音楽ビジネスを考えたとき、やっぱり、もう音楽そのもので儲けるってのには限界があるんじゃないかなぁ」。 これは音楽業界の見識ある方から最近、お聞きした言葉です。確かにCD市場が縮小し、配信市場も頭打ち、少子高齢化が進む日本の中で、音楽ソフト市場がもう一度、成長軌道に回復するというシナリオはなかなか描きにくい状況です。
そんな中で次はアイドルだ、アニソンだ、K-POPだ、、というジャンルの問題だけを語っていても仕方ないし、これからはライブだ物販だと、次の「音楽の売りモノ」は何か、という議論だけをしていても駄目なのかもしれません。

一方で”音楽コンテンツビジネス”以外に目を向けると、音楽をコアにしながら成功しているビジネスや企画はたくさんありますよね。
・Appleの快進撃のきっかけは音楽をコアにしたデバイスとWEBサービスでした。
・かつてmyspaceは音楽を軸にして巨大なSNSに成長しました。
・GoogleもついにGoogle Musicという音楽サービスを立ち上げ話題になっています。
・そういえばヒット映画「モテキ」も音楽なしでは成立しない映画でした。

音楽コンテンツ業界は厳しさを増していますが、音楽をコアにしたビジネスは依然大きなポテンシャルをもっているように思います。

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こう考えていくと、
「音楽をモノとして売る商売形態は縮小しているけど、音楽でコトを起こす商売形態には成長余地がある」ってことなんじゃないか、と。

音楽ビジネスをCDやアーティストグッズなど音楽に関連する「モノ」を売るコンテンツビジネスとして捉えると、その市場は限定されてしまうように思います。ライブイベントも単にアーティストの生演奏を聴かせてその対価としてチケット代収入を得る場として捉えると単発的な「モノ」的な感じがします。

一方でAKBのようにCDを一つのツールとしながら投票権、応援料、体験料への対価として、モノからコトへ枠組みをかえたモデルは盛況です。これはもはや”音楽コンテンツビジネス”ではないのかもしれません。
ap bankは「環境プロジェクトなどへの融資をはじめ持続可能な社会を創るためのさまざまな活動を行う組織」であり、「ap bank fes」はその為の手段と位置づけています。ロジックとしては音楽フェスをやるから社会貢献をするということではないんですね。

同じCD販売でも楽曲データというモノを買うのか、握手券というコトを買うのか、によって意味合いが違います。
同じライブでも「音楽演奏会」に参加するのか、「社会貢献活動支援」というコトに参加するのかで意味合いが違います。
音楽ニュースといっても、楽曲リリース情報と、例えば被災地支援のライブでのアーティストの思いを伝えることは全く意味合いが違いますよね。

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震災の影響も加わり、物質的な価値観から精神的な価値観に社会がシフトしています。マーケティング3.0、スペンドシフト、ソーシャルシフト、、が進む中で、単に「モノが欲しい」という欲求は相対的に減っていくように思います。それよりも「自分にとって意味がある」、「自分が価値があると思う」コトに対してお金を払う世の中になっていく。だからこそ音楽を使って新しい価値を生み出す、価値あるコトにフォーカスする必要がるのではないかと。つまり、、

「モノとして音楽を売る」のではなく「音楽でコトを起こす」

「モノからコトへ」の発想を転換することによって広がる可能性があるのではないか。今、人々が潜在的に強く求めていること、知りたいことは単なるクオリティの高い楽曲や最新音楽情報なのではなく、音楽によって巻き起こるコトのほうなんではないのか、、。
そんなことを思った次第なのです。

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2011年8月9日火曜日

【アーム社の話】

今週号の日経ビジネス(2011.8.8号)で、”アームホールディングス(ARM Holdings)”というイギリスの会社が紹介されてました。知る人ぞ知る有名な会社なのかも知れません。なんたって記事によればインテルに匹敵し、超えるかもしれない会社ということです。PCの世界で圧倒的だったインテルに対して、アーム社は使いやすく消費電力の少ない特徴をもつMPUによってApple社やNokiaなど携帯電話会社、日本の家電メーカー等にこぞって採用され一気にその存在感を増しているようです。その結果、2010年のインテル社のMPUの出荷台数は3.2億個に対してアーム社のMPUは61億個

しかし両者のビジネスモデルは根本的に異なっています。売上高からしてインテル社の売上が3.4兆円に対してアーム社の売上はたったの?520億円。記事によればアーム社はMPUの設計をして、そのライセンスとロイヤリティのみの収入で成立している知的所有権の会社なんですね。当然、自社工場を持たず生産委託会社さえもありません。ファブレス企業でさえないということです。

アーム社の売上は520億円ですが、アーム社設計のMPU 61億個による経済規模は相当レベルであろうと想定します。要するにアーム社は単独で成立しているのではなくアーム社設計のMPUを活用したチップを生産する多くの企業、そのチップを使うデバイスメーカー、Appleやマイクロソフトなど巨大なIT企業を巻き込んで、壮大なエコシステムを生み出すコア企業の一つになっているということだと思います。

一時期のWindowsとIntelは自社のコアテクノロジーとネットワーク外部性によって市場を独占、寡占しながら、PC産業で中心的役割を果たしてきました。他社の参入を阻みながら大きな利益を獲得してきた訳です。しかし、アーム社が違うのはテクノロジーを囲い込むのではなく、ライセンスによってオープンにしながら、多業種が連携、協同する仕組みの中で経済圏を拡大、産業全体で付加価値をつくっていく方法論をとっているということだと思います。

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これまで「ビジネスモデル」が語られるときは、企業毎に戦略を研究検討されることがほとんどでした。「トヨタの研究」、「ソニーの研究」、「アップルの研究」、、という具合です。ビジネスモデルが垂直統合型か水平分業型かという議論もありました。テレビでいえば液晶パネルの開発製造からに組み立て工程まで全部やるべきか、外部からパネルを調達したほうがいいのかとか。

しかしこれからは、こういった企業毎のビジネスモデルや戦略オプションを越え、産業さえも横断した考え方をする必要があるのではと思います。世界の環境問題、貧困格差問題、エネルギー問題、食料問題など社会問題が山積する中で、企業が一社の最適化だけ考えている場合じゃなくなっている。そういう認識の仕方が広がっていると思います。
例えばエネルギー問題を考えるとき、もはや電力会社の問題だけではなくなっていますよね。太陽光パネルから蓄電池、電気自動車、情報制御技術、公共交通機関やカーシェアリングなの社会インフラ、ルールに至るまで総合的なビジョンと産業連携が必要です。

-*-*-*-*-
前回、音楽ビジネスのエコシステムについてを話題にしました。これまで音楽産業も、パッケージビジネスを中心にしながらあまり開放的ではない形で市場を形成していました。レコード会社は自社で新人を発掘、開発し、音源を制作し、工場でCDを生産し、プロモーションし、自社の販売網で流通させる意味で個々企業として垂直統合型のモデルで事業を行ってきたわけです。テレビ局もそうでした。電波帯域を基盤にしながら、番組制作から放送送出、配信インフラ、営業までの総合力で利益を作り出していました。良い悪いではなく、そういうオプションでやってきた訳です。

しかしデシタルネットワーク化の進展やそれに伴い加速するグローバル化やソーシャル化の大きな変化の中で、ビジネスのバリューチェーンを構成していた一つ一つの要素の競争原理が変化しています。コンテンツ制作コストはデジタル化によって格段に低コスト化、コンテンツ流通コストもインターネットとグローバル配信プラットフォームによって劇的に安価になってきています。プロモーションコストはマスに拡散させるには、依然として多額なコストが必要かもしれませんが、特定のターゲットやコミュニティに届けるだけなら、ソーシャルメディアの活用だけでも十分に伝達可能です。そうすると当然、企業がどこで付加価値を訴求し、どこで収益を確保するかが変わってきます。

こういった環境変化の中で、エンタテインメント産業においても、これまで別々の産業と捉えられてきたコンテンツビジネス、メディアビジネス、WEBメディア、興行ビジネス、ゲームビジネス、ソーシャルビジネスなどが、産業を超えた形でエコシステムを形成していくのではないかと想像したりします。企業が一社の最適化だけ考える時代ではなくなってきていると感じるわけです。

-*-*-*-*-
自然界のエコシステムにおいては光合成をする植物、草食動物、肉食動物、死体や排泄物を分解する微生物に至るまでトータルで環境のバランスを維持しています。

きっと産業界も、個々の会社で成立するようなモデルから、共生型のモデルに変化してくのではないかと思います。得意分野をもつ多業種が連携、協同することによって、より大きな付加価値をつくっていく時代になるのかもしれないな、ということです。

これから企業や個人が、生き残っていくために、アーム社のように規模の大きさが絶対条件ではない構造になるように思います。小さな企業や個人が「知識」や「知的財産」をコアにして大きな経済圏を形成することが可能な時代です。

その中で、重要なのは、社会に対して、どういう問題を解決していくのか、どういう付加価値を創出していくのかといった、自ら果たすべきミッションを明確に掲げ、唯一無二の役割を果たすこと、そしてビジョンを同じくする他企業や個人とオープンにWin-Winの関係を築きながら連携、協働していくことが重要になるのではと思うわけです。


ARMの企業ページ
ファブレスの意味
スマートグリッドとは
垂直統合のiOSと、水平分業のAndroid──エコシステムの「隙間」の違いを考える

2011年7月13日水曜日

【「Make Meaning」の話】

震災以降、企業の理念や志がこれまでになく強く問われるようになってきたと感じます。

宣伝会議6.15号の特集は「3.11以降の企業の宣伝活動」と「志のマーケティング戦略」でした。その中で、震災をきっかけに企業も消費者もその考え方が変わりつつあることが紹介されています。「消費者の側も、消費する責任を意識するようになる」、そして「消費することは、つまり、その企業や商品を支えること」、そういう感覚になっていくだろうという意見も載っていました。

これから、益々企業は社会的意義を真剣に考える必要がでてくると思います。そうでない企業は退場を迫られ、生き残っていけない世の中になっていくように感じます。

-*-*-*-*-*-

そんな中、ガイ•カワサキさんという元Appleで働いていたベンチャーキャピタリストが起業の心得として「Make Meaning」というキーワードをあげていました。参考になったのでご紹介です。

カワサキさんは、ビジネスにおいて、まず考えるべき重要なエッセンスはその事業が「Make Meaning」しているかどうかであると言います。つまり、その事業が「世の中に対して新しい価値を提供しているのか」ということです。 ”社会的意義を見出すこと”、そこをはっきりさせないといけないということなんですね。

往々にして事業というと、多くの人は、まず「Make Money」つまり、どう稼ぐかだけを考えがちであるといいます。しかし最終的に成功する企業は、どうすれば世の中をよくできるのか、どうやって世の中を変えるのか、そういう意味づけを真剣に考えているということです。
逆に「Make Money」で始める会社は「Make Meaning」もしないし、最終的に「Make Money」もできないよとカワサキさんは指摘します。

そしてカワサキさんは事業が「Make Meaning」するための3っ道をあげています。

1. increase the quality of life 
                 人々の生活の質、幸福度を向上させること。
2. right a wrong
                 世の中の間違った事、ゆゆしき悪を正すこと。
3. prevent the end of something good
                  良いこと、すぐれたものを保全し継続させていくこと。

少なくとも、いずれか一つが当てはまっていれば、その事業は「Make Meaning」していると。まず、ここを検証することから始めよ、ということなんですね。 シンプルですが一つの指標になります。

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今週号の日経アソシエではユニクロやほぼ日が取り上げられていますが、柳井社長も、糸井社長も同じ主旨のことを言います。

◆糸井さんは社員に「お金より信用を選ぶチームにしよう」、「信用を重ねていけばお金は後からついてくる」と伝えているそうです。 「大勢の人に"この会社はあったほうがいいよね"と言われる会社でなければ、生き延びちゃいけなんだと思う」、「売り上げは世間から信任されたという票と同じ」(「日経アソシエ」2011.7.19インタビュー)

◆柳井さんは次のように言っています。
「”会社”がある前に”社会”がある。社会にとって価値があるものとは何か。それを考えて経営しない限り、企業の成長はあり得ません。自分たちの会社は何のために存在し、いかに社会に貢献できるかを考える」(「考える人」2010夏号)

これまで紹介した「マーケティング3.0」も「Start with Why」も同じでした。マーケティング戦略も事業戦略も組織戦略もすべて、企業の社会的意義、責任、理念の重要性に向いています。
要するに「君らが”Make Meaning”するポイントは何なのよ?」ということなんですね。

参考:
http://youtu.be/lQs6IpJQWXc  Guy Kawasaki 講演YouTube
日経ビジネス Associe (アソシエ) 2011年 7/19号 [雑誌] 
(ユニクロ、ほぼ日の現場力)
宣伝会議 2011年 6/15号 [雑誌] 
(志のマーケティング戦略 3.11以降の宣伝活動)
完全網羅 起業成功マニュアル ガイ・カワサキ著(「The Art of Start」の翻訳本)



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2011年7月5日火曜日

【共感・共創・共有社会の話】

前回は消費社会の成熟によって、商品やサービスは人から「最も愛される」ぐらいにならないと生きていけない、、みたいな話を紹介しました。今回は企業や個人が思考の枠組みをどう変えていかないといけないか、、みたいなことを調べたり考えたりしてみました。

◆「マーケティング戦略」の限界
博報堂ブランドデザインの宮澤さんという方は「応援したくなる企業の時代」という本の中で次のようなエピソードを紹介しています。

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長年、人気商品として販売してきた商品の売れ行きが、かんばしくなくなってきた。そこで企業のマーケティング担当者が分析したところ、特に若い世代の購買が減少していることがわかった。そこで担当者が何人かの一般の若者を集め、「商品のどこがよくないのか」、「どこをどう改善すれば欲しいと思うようになるか」について率直に聞いてみたそうです。すると驚くような答えが返ってきた。若者たちは異口同音に「よくないところ、不十分なところがあるとは思わない」、だから「なにかを改善したところで、この先その商品が欲しくなるとは思えない」と。。担当者は、思わず絶句した、、という話です。
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既存のマーケティングアプローチの延長線上に解決策がなくなっているということが起こりつあると思います。消費者目線を徹底し、ニーズを探り、ユーザーが満足する、他社より魅力的な商品をつくるんだ!ということだけでは、もはや通用しない世の中に突入しているということなんですね。モノとかサービスが一定水準を越えたら、細かい差異なんてどうでもよくなる。そうすると、前回の話のごとく、結局、選択基準は「一番安いか、一番性能がいいか、一番愛されているか」に集約されちゃうのかも、、と思います。

◆所有価値の低減
更に言えば、ちょっと前までは機能していた「所有価値」というものも相対的に低下しているように感じます。以前は多くの消費者は機能性など商品そのものの価値に加え、そこに付加されたブランドという名の「付加情報」にも喜んでお金を払っていました。モノを所有することで、生活シーンの演出や精神的満足につながるということでしょうか。端的な例としては、高級ブランド時計をつけている私っておしゃれでしょ。高級外車に乗っている僕ってかっこいいでしょ、、とかいう具合です。モノやサービスの購入を通じて精神面の満足も買っていたわけですよね。
しかし消費社会も成熟してしまうと、たいていのモノは十分に足りています。特段の不自由のない生活をおくっている中で、これ以上何かを所有することで、自分が今より幸せになる、満足度があがる、感動するとは、思えなくなっているということだと思います。

◆経験価値、共感を生む場の提供
じゃあ企業は生き残るために何をすればいいのか? 一つの方法論は、先の本にも載っていた「経験価値」の提供だと思います。 モノよりコトに価値がシフトしている中で、「個人で何かを所有すればいいことがありますよ」、ということの説得力が低下しています。それよりも、「皆で、何かを一緒に経験する」ということのほうに魅力が移っているように思います。
つまり「所有」ではなくて、経験を「共有」できる場の提供、そこへのアクセスの手段の提供が本質的な価値として重要になっているということではないでしょうか。

その昔、Walkmanは、それを所有することによって、音楽を外に持ち出せる、生活シーンもかわる、、そんな提案型の商品でした。 しかしiPhoneやiPadは、デバイスを所有した後も、アプリやWebサービスへのアクセスを通じて、常に新しい経験を提供しつづけます。

KDDIが提供している au Smart Sportsもケータイを使ったスポーツライフを提案しています。仲間との体験の共有の場も提供しています。 http://www.au.kddi.com/sports/service/run_walk/index.html

SNSやソーシャルゲームは、そのアプリ機能性に価値があるのではなく、人と人とのつながりという経験価値が本来的な価値です。

昨今、はやりの脱出ゲームも、何かを所有することもなく、生活シーン云々でもなく、その場で得られる体験に対して価値を見出されているわけですものね。

◆「共感」、「共創」へ
もう一つは、そんな「共有」を通じて、生活者から「共感」を得ることだと思います。もはや「消費者目線」という言葉さえ企業からの上から目線な感覚なのかもしれません。 消費者とともに社会に貢献する姿勢を示し、一緒に行動する(共創)。 B to C から B into C 、B with C へ感覚を変える。企業が自らの理念や志を高くかかげれば、それに共感してくれる人は、その企業からモノを買ってくれるかもしれません。

ハイブリッド自動車が売れるのはコスト観点ではないですものね。同じ洋服を買うのでも、その企業姿勢に共感できるところから買う。 企業とともにいい社会をつくっていく、、、そんな感覚の社会にどんどんなっていくのではないかと思います。

参考:
「応援したくなる企業」の時代
http://www.exp-branding.com/  博報堂エキスペリンスデザイン
http://www.h-branddesign.com/  博報堂ブランドデザイン
http://www.slideshare.net/gitanez/web-7691019 ソーシャルメディア時代の企業Web戦略

2011年6月27日月曜日

【愛されるためのマーケティング戦略とは?】

将来ビジョンやミッションを考える社内ブレストをした中で、なりたい姿の表現として「嫌われてもいい、好かれるより、愛される会社になりたい!」というのがありました。

「会社として、いったい誰に対してコミュニケーションを取ろうとしているのか。漠然としたユーザーターゲットを想定して、"より多くのユーザーが満足いただけること"、"喜んでいただけそうなこと"、を提供していれば最大公約数的に支持が獲得できていく、、なんて時代は終わっているんではないのか」、という指摘だと思います。

インターネットによって流通する情報量は爆発的に増えています。ある調査によれば、99%以上、ほとんどの情報は消費されずにスルーされていくという状況になっているそうです。そんな中で、求められるのは、膨大な情報の中から、個々のユーザーにとって、ちょうどいいサイズの情報、心地いい情報を切り取り、気持ちを添えて提供することなのではないか、ということなんですね。

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マスマーケティング全盛の時代は、個々の嗜好なんて考えなくてもモノが売れました。大多数の人が必要な便利で機能的でデザインがいいものをつくって、よいイメージとともに訴求すれば販売に結びく、そんなマーケティング1.0の時代です。

しかしモノと情報が行き届き、消費者に選択の主導権が移行すると企業は、ターゲットを設定し、他社と差別化した商品を訴求し、ユーザーの満足を第一に考えるようになる。マーケティング2.0への移行です。

更に消費社会が成熟した現在、進行しているのは、それだけでは売れないマーケティング3.0の時代への移行です。消費者は、もはや買いたくない相手から商品を買おうと思わないし、同じものを買うならその活動や姿勢に共感できる会社から買おうという社会になってきているということなんですね。

前回の「"Start With Why"の話」では、そんなマーケティング3.0な世界の中で、企業はまず、「Whyを語ること」から始めるべきだという話を紹介しました。企業や商品、サービスの社会における存在価値・意義をまず相手に理解してもらうこと。それが出発点だと。 企業は自分の考えを積極的に発信しなければ生き残れない時代になったということなのかもしれません。

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smashmediaの河野武さんという人は「競争が熾烈な現代社会において、消費者に選ばれる商品、サービスは、いちばん安いか、いちばん性能がいいか、いちばん愛されているかのいずれかである」と言っています。

じゃあ愛されるためにどうすればいいんでしょうか? まずは自らの考え方を示し、消費者の言葉に真摯に耳を傾け、対話し、情熱ある行動や姿勢を継続的にとっていかなければいけません。その意味で、ソーシャルメディアとどのようにつきあっていくのかが、全ての企業にとって大きな課題になってくると思います。

ソーシャルメディア活用においては企業にとって都合の悪い、ネガティブな反応や炎上リスクにどう対処していくのかがしばし議論のポイントになってくると思います。 しかし、ある本に「大半の企業に炎上リスクはない、なぜなら、そこに存在することに気づいてさえもらえないからだ」という指摘もありました。 愛されるの反対は無関心だとはよく言われることですが、企業も、嫌われてもいないということは、そもそもの存在価値さえも認めれれてないということの同義なのかもしれません。 

ソーシャルメディアというのはユーザーが主導権を握っている場所です。そこへ企業が出て行って、愛されたいと思うなら、上から目線で通用するわけがありません。そもそもそもそも企業がマーケティングをするための場所ではないですからね。しかし企業も1ユーザーとして、向き合えば信頼や共感を勝ち取ることが可能な場所でもあるはずです。

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広告コンサルタントの高広伯彦さんという人は”B to Cのマーケティングは、B into Cのマーケティングへ”、という表現をしています。「B into C」、つまり消費者の中に入っていくということなんですね。

愛されること、共感されること、信頼されることは、一朝一夕で達成できるものではありません。でも、それが実現すると、企業にとっては大きな資産を手に入れることになります。ユーザーが理性や論理ではなく、情緒や感性で共感してくれる段階になれば、そのユーザーは自社のエバンジェリスト(伝道師)になってくれる可能性があるからです。
エバンジェリストは聞かれてもいないのに友人や知人に、その商品やサービスがいかに良いかをふれまわってくれます。周りを見渡せば一人や二人は、こっちが聞きもしないのに「こんどの●●はいいっすよ」って薦めてくる人がいますよね。

欧米でフェイスブックなどソーシャルメディアを活用したマーケティングが盛んになってきているのは、こんな背景もあるからなんですね。高度消費社会、感性消費社会において、自社が選ばれるためには、共感され、愛される必要がある。


参考
フェイスブックインパクト つながりが変える企業戦略
フェイスブック時代のオープン企業戦略
http://marketingis.jp/archives/854 最愛を目指せ(河野武)
http://www.advertimes.com/20101220/article3743/  B into Cのマーケティング(高広伯彦)
http://sem-labo.net/blog/2011/04/30/0529/

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2011年6月13日月曜日

【"Start With Why"の話】

サイモン・ シネックという人の「Start With Why」の話を教えてもらいました。まずは18分の講演(日本語字幕付)です。リーダーシップの話でもありビジネス戦略の話でもあります。http://www.ted.com/talks/lang/jpn/simon_sinek_how_great_leaders_inspire_action.html


誰でも自分が何をやっているのか(What)は分かっています。そして、どうやってやればいいか(How)も多くの人が考え行動します。でも何故をそれをやっているのか(Why)について、意識的に理解している人はとても少ないとシネックさんは言います。そしてビジネスをリードするためには自らの"Why"を知ることだと。

往々にして仕事をしていると、何をいつまでにやらなきゃいけないのか、どういう方法でやろうか、どうやって結果を出そうか、、という"What"と"How"で忙殺され(間が持ってしまい)、何のためにやっているのか"Why"を考えるのは後回し、或いは考えないで終わってしまいがちですよね。

しかし優れたリーダーは必ず"Why"を示すといいます。常に Why ⇒ How ⇒ What この順番で語るということです。

 
講演でとりあげられているAppleのジョブズも「ライフスタイルに革命を起こす。世の中を変える」という自らの'Why'を語った上で、高機能で美しく使いやすい(How) 製品やサービス(what)を世に送り出しています。だから人々が熱狂するのだと。

でも多くの企業は、こんな製品を出します。高性能で便利で、デザインがよくて、、(What)、高い技術力で可能になりました、ユーザーの望むことをリサーチして開発しました、、(how)で終わっています。なぜ、その製品やサービスを世に出そうと思ったのか、その志や価値や意義=Whyまできちんと語られていることは非常い少ない。 What ⇒ How 以上終わり!ということです。

現在の日本のごとく社会や消費行動が成熟してしまうと、人々は'Why'が明確でないものは、なかなか受け入れてもらえないということなんですね。だから企業も「Whyを語ること」から始めなければなりません。企業や商品、サービスの社会における存在価値・意義をまず相手に理解してもらうこと。それが出発点なんです。

先のマーケティング3.0についての投稿でもふれましたが、、
・マーケティング1.0:製品を販売すること
・マーケティング2.0:消費者を満足させ、保持すること
・マーケティング3.0:世界をより良い場所にすること
つまり3.0な”Why”が必要だということなんですね、

講演の最後でシネックさんは言います。組織においても個人においても、人々が主体的に行動するのは、皆が「そうしなければないらない」からでなく「そうしたい」からだと。「なぜ」から始める人こそが周り人を動かす。

「Why=なぜ』が全ての出発点。これを明確にすることから戦略をつくらなければいけないってことなんですね。


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参考:
・Insight Now!記事 「BIG WHY'から始めよ」 http://www.insightnow.jp/article/6353
・参考「優れたリーダーはなぜから始める」http://blog.mypeacefulfamily.com/2010/10/simon_sinek/
・その他参考(英語):
http://www.startwithwhy.com/
http://share.sayan.ee/2010/08/31/start-with-why/
http://www.hustream.com/blog/entry/want_to_know_why_simon_sinek_starts_with_why
http://montewashburn.wordpress.com/2011/05/23/simon-sinek-says-start-with-why/

ぐっとくる?選ばれる新法則」...感性消費の時代に突入した社会において「なぜ」の質問にどう答えられるか否かで全ては決まる。
・Appleの「Think Different」

2011年6月3日金曜日

【マーケティング3.0の話】

フィリップコトラーさんという著名が学者が去年「マーケティング3.0」という本を出しました。内容は省略ですが、その違いの抜粋を表にしたのが以下です。



◆マーケティング1.0
「いいものをつくれば売れるのよ」というアプローチです。音楽やエンターテイメントでいえば、より多くの人が喜ぶ、いい楽曲、いいアーティスト、いいコンテンツさえつくればマスは反応するし、人は集まるし、たくさん売れるでしょ、という段階といいましょうか。マスメディアを通じた「幸せ」や「豊かさ」の共同幻想が機能していた時代は、このマーケティングが有効だったと思います。

◆マーケティング2.0
インターネットを始めとする情報技術の発展によって、人々は、マスメディアの情報以外に膨大な情報にアクセスできる環境が整いました。企業側の都合や論理は通用しなくなってきます。そこで徹底した消費者志向のものづくり、サービス開発へのシフトが浮上していきました。ユーザーをターゲティングし、自らのポジショニングを考え、他と差別化することによって競争に勝っていくことが必要になりました。お客様の満足のために、One to Oneの対応をする。これがマーケティング2.0。 アーティストでいえばファンが求めているものを届ける、そうやって支持を得ていくというアプローチなのかとも思います。

◆マーケティング3.0
そして時代は3.0。Facebookで政治が変わり革命が起こる時代になりました。個々人は発信する力を持ち、相互につながることが可能になりました。一塊の「マス」は消滅し、個人の集合体としての「ソーシャルネットワーク」が立ち上がります。情報の流れが大きく変化していこうとしています。

上記の表にもある通り、マーケティング3.0では自らのミッションと存在意義を発信しユーザーからの共感を得ることがアプローチ手法です。製品開発やコミュニケーションに消費者を参加させ、一緒にものごとを創っていくということなんですね。

◆LADY GAGAのマーケティング3.0
前回ふれたLADY GAGAはまさしく、その3.0なアプローチと言えると思います。ソーシャルメディアをフル活用し、ファンと密接なコミュニケーションを図っています。

例えば新曲 ”Edge of glory”では、ファンが歌い踊ってる動画をYouTubeにアップし始めたのを見たGagaが「映像をつくるから、みんなのもっとたくさんの動画をちょうだい」とUP。数分後に数100以上のビデオが集まり、投稿したユーザーは彼女のPVの一部に出演。



GAGAはこういった圧倒的なソーシャルパワーで企業やレーベルを超える影響力を獲得しています。

◆AKB48のマーケティング3.0
AKBも劇場や握手会でダイレクトコミュニケーション。総選挙でファンを巻き込んだファンがプロデュースする形をつくっています。まさしくマーケティング3.0における「企業の製品開発やコミュニケーションに消費者を参加させる」、「多数対多数の協働」のコンセプトを実現させていると言えますよね。

http://sankei.jp.msn.com/entertainments/news/110531/ent11053110000007-n1.htm



参考:マーケティング3.0
http://blog.tokuriki.com/2011/01/30.html
http://www.mindreading.jp/blog/archives/201101/2011-01-08T0226.html
http://blogs.itmedia.co.jp/saito/2010/11/30-cb07.html

   

2011年5月29日日曜日

【音楽ビジネスはいずこへ?】

前回はFacebook, TwitterなどSNSサービスやYouTube, Ustreamを始めとする映像配信サービス、その他、課金決済サービスを始め、様々なインフラが オープンでグローバルなプラットフォームとして整備が進んでいるという話をしました。そして、そんなプラットフォームを使って、企業だけに限らず、個人やアーティストも自ら発信し、ユーザーと直接コミュニケーションを図ることも可能になりました。

◆レディー・ガガのビジネスモデル

そんな中、先日「レディー・ガガに学ぶビジネス戦略」って記事が発信されてました。いろんなソーシャルメディアを縦横無尽に活用して、自らを発信し続けているLADY GAGAについてドイツのビジネススクールの教授が、その戦略に注目し、これは企業の戦略にも使えるという指摘をしているという話でした。LADY GAGAはFacebookで36百万人のファン。Twitterで10百万人のフォロワー。YouTubeのオフィシャルページで再生回数も億単位。へたなメディアや企業より影響力があるのは確実です。こうなってくるとレーベルやメディアに頼らず自分主導でいろんなビジネス展開ができてしまいますからね。
http://jp.reuters.com/article/entertainmentNews/idJPJAPAN-21376320110526

◆レベッカ・ブラックのヒット

一方、LADY GAGAとは真逆な素人が、ソーシャルメディアから新しい形のヒットを作り出したという話を聞きました。音楽やダンスが好きだった13歳の娘レベッカの為に母親がロスでレコーディングと音楽ビデオの制作を30万円ぐらいで請け負う会社に制作を依頼。結果、出来上がった曲「フライデー」は2月にYouTubeに投稿され、3月に火がつきます。
でも話題になった原因は「史上最低な曲」という酷評。聴いてみると確かに酷い曲です。それでも再生回数は1億5000万を超えてます。
http://www.youtube.com/watch?v=vH--AdCVUek(日本語訳詞つき) 
参考ブログ:http://yogakutengoku.blog135.fc2.com/blog-date-20110418.html

これから日本でもきっと、ソーシャルメディア上から、こういうアーティスト?がでてくるんだろうなと想像します。カリスマな大物だけでなく、酷いアマチュアから、一部のコミュニティにだけで成立するマイクロな音楽ジャンルやアーティストまで。

◆2010年の日本の音楽市場実績

そんな中で今の日本の音楽市場の状況については、4月に日本レコード協会が「日本のレコード産業2011」ってレポートを出してます。
http://www.riaj.or.jp/issue/industry/pdf/RIAJ2011.pdf

音楽ソフト市場全体としてみると、2007年まではCDの落ち込みを音楽配信でカバーと言えてましたが、2008年から市場全体でダウントレンドに入りました。


















◆要するにAKB48と嵐

CDシングルは前年比+10%ぐらいになっているようですが、これはAKBと嵐の効果が大きく。AKBと嵐を除くと、CDシングル市場もマイナスのようです。
2010年のオリコン年間シングルランキングトップ10が以下です。見事です。

1位 : 95.4万枚 … AKB48「Beginner」
2位 : 71.3万枚 … AKB48「ヘビーローテーション」
3位 : 69.9万枚 … 嵐「Troublemaker」
4位 : 69.6万枚 … 嵐「Monster」
5位 : 66.0万枚 … AKB48「ポニーテールとシュシュ」
6位 : 65.6万枚 … 嵐「果てない空」
7位 : 62.0万枚 … 嵐「Lφve Rainbow」
8位 : 59.7万枚 … AKB48「チャンスの順番」
9位 : 59.1万枚 … 嵐「Dear Snow」
10位 : 51.6万枚 … 嵐「To be free」


参考:
http://blog.livedoor.jp/ustan777/archives/51776739.html
http://www.oricon.co.jp/music/special/2010/musicrank1220/index02.html

そんなAKB48のニューシングル『Everyday カチューシャ』は、既に165万枚出荷だそうですね。なんでも「AKB選抜総選挙」の投票用カードが封入されていて5500枚購入した強者もいるとのこと。もはや「楽曲」を買っている訳じゃないんですね。

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音楽ビジネスはこれからどこに向かうんだろうかと思います。アメリカとか海外の事例をみていくと、次に日本が向かうトレンドもみえてくるかもしれません。


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2011年5月18日水曜日

【理念やビジョン、航海の例え】

たいていの会社はHP等で理念やビジョンやミッションを掲げています。しかし、じゃあ「そもそもビジョンって何?」。「理念とビジョンは何が違うの?」、「戦略との関係性は?」等々。わかったつもりになっていても結構混乱するところです。実は統一した定義があるわけでもなく、それぞれの流派で、定義づけて議論するしかないとこでもあります。

そんな中、よくある例えで、会社を大海原を航海する船にみたてて説明すると、、というのがあります。


◆経営理念、信条

「経営理念」は航海における「北極星」に例えられます。

まずもって企業というのは社会的存在なので、その目的、使命がなければ存在の意義がありません。逆に言えば「目的と使命をもたない団体は企業ではない」ということです。
「何を信じて、何を究極的な目的として生きているのか」を出発点として企業は活動を開始します。そういった意味で進むべき方向を示す北極星が必要です。それが経営理念ということです。

◆ビジョン

「ビジョン」というのは航海におけいて次に「目指すべき島」に例えられます。

北極星の方向に進むにしても、じゃあ当面、どこをゴールにして航海するのかがないと、判断基準があいまいになり、アクションに結びつきません。具体的な到達地点が明らかにあれば、成功イメージ、そこに至るプロセスが共有できます。 
ビジョンが明確であれば、それを達成するために乗組員はそれぞれ、自らの使命を考えることができます。理念をふまえビジョン達成のためになすべきこと、それがミッションということもできます。


◆戦略

「戦略」は、「目指すべき島」への航路、方法論ということができます。

目指すべき島を決めても、そこに到達する手段は多様な選択肢があるはずです。
天候や海流の状況によっても航路が変わるでしょうし。海賊に出くわすかもしれません。そういった外部環境を分析する必要があります。また船の性能、燃料や食料の状況、乗組員の体力やスキルなど内部分析もふまえないといけません。 
多様な選択肢の中から、最善と思われる判断をチョイスしないといけないということです。事業環境と内部リソースをふまえ、最適な判断をしていくこと、それが戦略です。

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理念やビジョンは全ての出発点です。それを考えたからといって、売上や利益にすぐ結びつくわけではありません。しかし、どっちの方角に行くかも決めず、当面のゴール地点も決めず、とにかく出航だ、というほど危険な話はないですよね。南極に行きたい人と北極に行きたい人は同じ船に乗ってはいけないし、ゴール到達に必要な人員や物資がわからないまま出航して餓死したくありません。ゴールを共有しないままで一緒に働いていると、いろんな判断でズレが生じてきます。作業の本当の意味がわかならければモチベーションは高まりません。

理念やビジョンを握った上で、次は会社を構成する個々人のミッション設定とコミットメントをとることが重要になります。理念やビジョンがあいまいだと、コミットメントもあいまいになります。個々人が自分の都合のいいコミットをして、成果を主張されても困りますものね。

「この嵐の中で、そんな一生懸命、甲板掃除されてもな」とか。
「僕は北じゃないと思ってるんですよね」と言われてもね。
「だったら降りろよ」ってことですものね。

2011年2月28日月曜日

【13歳のハローワーク】

村上龍さんが「13歳のハローワーク」という本を出していました。13歳というと中学生、そろそろ社会の事を考え、将来について考え始めるお年頃です。「私は何がしたいんだろう?」、「世の中に対してどんな貢献できるだろう?」ということですよね。
13歳のハローワーク

子供も会社も成長に応じて自らの将来について選択していかなければいけません。

選択するということはどういうことでしょうか? 人生に例えれば何かを選択するということは、「何かを選択しない」という判断をするということでもあります。 本気で野球選手になりたいなら宇宙飛行士の勉強より野球の練習を優先し、集中すべきです。 大きな成果を獲得するためには何かを捨てて、何かに集中する必要があります。

「選択と集中」という言葉はドラッカーが提唱し、GEのジャックウェルチが実践した経営戦略です。ジャックウェルチが使った「選択と集中」を表す英語は「Concentration in Core Competence」、要するに「自らの強みに集中せよ」ということです。 ジャックウェルチは業界で1位か2位をとれる事業以外はやらない、やめる、という徹底した方針を掲げリソースを勝てる分野に集中投資した経営者です。重要なことは自分の得意分野を見定めて、「やらないことを決める」、「いらないものを捨てる」ということ、それが「選択と集中」なんですね。 

「13歳のハローワーク」の本から派生したWEBサイトがありますが、ここには子供達に向けた仕事の紹介やプロの大人からのアドバイスなどが掲載されています。「好きを仕事にするには努力が必要なんだよ」、「やると決めたら、とにかくやることだよ」、「自分自身に妥協しないこと!」、、と世の中の厳しさも教えています。

2010年5月28日金曜日

【事象をどう捉えて対処するか】

今週は、いろんな人とメディアの方向性に関して意見交換をたくさんしました。今日はiPadの発売日、ここから、どういう未来にかわっていくのか、一つの節目になるように感じています。

iPadやgoogle関連の動きや論考はメディア上にあふれているので、これが、一時的なブームに終わるもの、根本的な地殻変動につながるものを見極めながらメディアのあり方も考えていかないとと思います。今、みえている事象は、根本的な変化の氷山の一角なのかもしれません。

緊急で重要なものは、やるしかないですが、緊急ではないが重要なものも、早く手をつけていかないと手遅れになります。 緊急だが重要でないことを、いかに効率よくさばくか、やめるか、、という意識的判断と行動も重要です。




2010年2月12日金曜日

【カネがなければ知恵を出せ】

昨今、メディア業界、あまりいい話は聞けません。電通さんの売上もテレビ、雑誌中心にがんがん落ちて、営業利益も前年度半減になっています。 http://www.dentsu.co.jp/ir/index.html
音楽ソフトも前年割れ、音楽配信も伸び悩みです。当然音楽業界全体のお財布も寂しくなります。 http://www.riaj.or.jp/data/index.html 

しかし「世間は不況だといって自分まで不況だと考える必要もなく」、過度に暗くなる必要もありません。とりあえず命にかかわる問題がないことだけでもこの上のない幸せです。 
先を心配してもしょうがないので、体力があるうちにコスト効率を高め、ソリューション力をつけて、新しい収入源を獲得し、メタボ体質を脱却し、スピード感ある筋肉質な経営体制をつくる、そんな、またとないチャンス到来ともいえます。

「やったほうがいいこと」にはお金は使えなくなり、「やらないと駄目なこと」、「絶対やるべきこと」にしかお金と人を使えません。 お金を使うことに緊張感が必要になります。多少不便なことが起こります。失うものもあると思います。目の前のチャンスを逃すかもしれません。 これまでと同じやり方に固執できないかもしれません。

でも与えられた条件の中で、やるしかありません。お金がない前提でも、知恵と工夫で成果は出せます。人のお金をふんどしに相撲をとる、他社と一緒に費用半分で同じことをやる、広告出稿はやめてお金のいらないクチコミマーケティングにトライする、高いお店の接待はやめて安くてうまい焼き鳥屋を開拓する、急ぎのタクシーをやめるために会議や仕事の時間をちゃんと管理する、一つのイベントをマルチに展開する、、等々、これまでやれてないこと、できてないこと、つきつめてトライしていなかったこと、チャレンジすべきことが必ずあります。 

個人の観点から言えば、お金をもらって楽しいだけの仕事ができるはずもありません。選べない上司や限られたリソースなどいろんな制約条件の中で、成果をあげるからこそ給料がいただける訳です。 そんな苦しみの中でも人に貢献できるからこそ、楽しく充実した気持ちになれるということだと思います。

我々の給料は最終的にはユーザーさんから頂いているという認識をすべきです。組織が悪い、上司が悪い、部下が動かない、予算がない、待遇が悪い、など社内的な問題はユーザーには関係ありません。お金を出してくれるユーザー一人一人に喜んでもらうために、どんな価値をお返しできるのか? それを真摯に考え続けるべきです。

江戸時代の浮世作者であり商人でもあった井原西鶴は言っています。「金がなければ知恵を出せ 知恵がなければ汗を出せ」と。 幸福論のアランは言っています。「悲観は気分、楽観は意志」だと。 ニーチェは言っています「脱皮できない蛇は滅びる」。



2009年12月17日木曜日

【選択と集中とは?】

成果をあげる為のリソースの最適な配分を考える基本が「選択と集中」という概念です。 

最近では国の予算を見直す過程で、「事業仕分け」が話題になっていますが、従来は官僚主導でいつのまにか国の予算が決まっていました。 その予算配分の過程まで政治主導で透明にして議論しようという試みです。これも限られた予算をどこにどう配分し、国家を良くしていくのか、という「選択と集中」の議論と捉えられます。どっかを削ろうとすれば、その関係者、関連団体がでてきて反対します。 全ての部分最適を考えると全体最適は達成できません。最後は首相の意思決定が必要です。

会社においても同じです。個々の部分最適で考えれば「やったほうがいいこと」ばかりかもしれません。しかし経営リソースは限られています。 経済が右肩上がりの時代には、効率を考える前に、とにかくリソースを大量にかつ全方位に投下しても事業を拡大することができました。しかし、時代は変わり、長期化する不況と個人の価値観多様化によって、売れるものと売れないものが二極化しています。顧客に支持されるサービスを提供するためには、顧客視点での付加価値を徹底的に高めていく努力が必要です。その為には、あれもこれも手をつける訳にはいきません。

企業は事業の継続と将来の成長に向けて、「選択と集中」が求められています。もちろん少ないリソースで最大成果をあげ勝ち残っていくためです。

「選択と集中」とは「費用の削減」という意味ではありません。 将来に向けて、勝つため、ナンバー1になるために、やるべきこと、リターンを得るための使うべき費用、投資すべき内容を決めるということです。

ある本に選択すべき理想的な戦略について、以下のような話がありました。

・たとえ儲かっても会社の価値基準に照らして満足できないことは
 やるべきでないし、逆に収益が不透明でも価値基準に合致すれば、
 実行判断もありうる。


・理想的な戦略とは、「やりたい事」と「やるべき事」と「やれる事」と
 いう条件が揃ったもの。

これら条件が揃うのはなかなか難しいことですが、それを合致させていける可能性がないものにはリソースを配分すべきではない、、ということもできます。


参考:選択と集中

All About http://kw.allabout.co.jp/glossary/g_career/w000996.htm
野村総研 http://www.nri.co.jp/opinion/r_report/m_word/sentaku_shuchu.html

2009年12月10日木曜日

【環境変化と漁法の点検】

先般、メディアに対するユーザーの意識の変化や市場環境の変化について、いろんな調査データを見ましたが、改めて大きな変化が起こっていることを認識しました。

例えば人口動態です。先般で日本の人口が約1億3000万人と説明しましたが、その年齢別の内訳をみると、たった10年で、激しく少子高齢化が進んでいることがわかります。これまで購買の中心といわれてきた34歳以下の層が740万人減少し、50歳以上が760万人増加しています。



人口分布の変化は最も予測しやすく、最も基本的なマーケティングデータですが、図をみて分かるとおり、突出して人口が多い世代が2つあります。一つは1947-1949年に生まれた団塊の世代810万人と、もう一つが1970-1974年に生まれた団塊ジュニア=960万人です。

こういった人口が多い世代はこれまで、いろんな流行を生む土壌になってきました。ちなみに団塊ジュニアは現在のアラフォー世代で20年前の女子大生ブームなどの主体となったバブジェネです。当然、数多くの音楽CDヒットを支えてきました。このバブジェネ世代のアラフォーはアラフィフに向かい、今後もまた何かのトレンドを生むはずです。 一方で、これから十年、若い世代の人口は更にどんどん減っていきます。 60歳前後の団塊の世代は定年を迎え、豊富な貯蓄と余暇時間で社会に大きな影響を与える始めています。 (ちなみ団塊世代は音楽アーティストでも矢沢永吉、小田和正、井上陽水ほか厚い層があります)

年齢や世代によって、メディアに対する意識も大きく違っています。高年齢層にとっては、いまだにテレビや新聞は日常の情報源の中心である一方、10代~20代では、もはや中心メディアは携帯でありインターネットです。メディアに対する接触態度も全く異なっています。例えば博報堂調査によるとお風呂に携帯を持ち込むことがある50代男性は1%ですが10代女性は33%です。テレビをみながらのケータイやネットは、高年齢者を除きもはや当たり前であり、全世代でその時間も確実に増加しています。

今後メディア業界、音楽業界は、どのような戦略で生き残っていくのかが問われています。その為に、ユーザー一人一人のニーズやウォンツを探り顧客志向を徹底していくことが重要です。 しかし加えて社会、経済、技術トレンドなどのマクロ視点での分析も必要です。なぜ同じことをしているのに成果が変わるのか、それは環境が予想以上のスピードで刻一刻と変わっているからかもしれません。 
ちなみに今週号の日経ビジネスの特集は「団塊世代」がテーマですが、その中で、堺屋太一さんが「企業経営者は若者ばかりを追いかけ、人口も少なく、消費力もないところに経営資源を投入している。」と指摘しています。 魚が少なくなった漁場で多くの釣り人と競争しながら漫然と釣りをしても成果は少なくなって当然です。 自分の得意分野を認識しながら、どこで、どんな魚を、どんな方法で釣るべきなのかを意識的、戦略的に考えることが益々重要になっていると思います。


2009年11月26日木曜日

【利益とは何か?】

■何のために利益を追求するのか?

先般で会社の本来的な目的は価値を創造し続け、社会に何らかの貢献を果たすことだと説明しました。では社会貢献を目的としたボランティア活動も「会社」なのかといえば、そうではありません。会社は、社会貢献と同時に利益追求も求められているからです。

では、なぜ利益追求が求められるのでしょうか? この「なぜ利益をあげなければいけないか」についての理解やスタンスを持つことは、個々人が経営視点で判断するために重要なポイントだと思います。 「とにかく収益をあげればいいんでしょ」というスタンスは正しいようで正しくありません。

会社の利益とは、株主や経営者を儲けさせるためにあるんでしょうか?従業員にたくさん給料を払うためにあるんでしょうか? それは結果であって目的であるべきではありません。

ピーター・ドラッカーという人がわかりやすく言っています。

「利益とは世のため、人のための必要条件である」
  http://diamond.jp/series/drucker_3m/10161/

「利益とは保険料であり原資である」 
  http://diamond.jp/series/drucker_3m/10095/

会社がリスクをとりつつ、継続的に運営を行い、世のため、人のために、より大きな付加価値を生むための再投資を可能にするために利益が必要だということです。

もちろん会社は短期的には、株主や経営者から利益のコミットメントを求められます。しかし株主や経営者の本質的な要求は「将来に向けて、もっと成長してよ」、「もっと社会に貢献して付加価値をあげてよ」ということの筈です。従業員にしてみても、今期利益があがっても、将来投資を怠って2年後につぶれました、、ということでは困りますよね。

■売上・費用とは? 予算とは?その経営的意味

では、その利益を最大化していくためにはどうすればよいかといえば、収入を最大化し、必要費用を最小化することです。会計の公式的には、「利益=収入―費用」だからです。 従って利益をコントロールするために売上と費用のバランスを柔軟にコントロールする必要があります。

よく”費用を使っていいか、悪いか”の議論が、“予算があるか、予算がないか”の議論になることがあります。しかし実は、それはナンセンスです。 売上目標が確保できなければ予算費用を削減することが必要となります。 そうしなければ利益が確保できないからです。

更に言えば、予算の有無に関わらずリターンを生まないと判断される「費用」は一切使うべきではありません。付加価値を生むことを目的とせず使われたお金は「費用」ですらなく、そんなリターンを生まない「費用」を削減していくことが「無駄の排除」、「コスト効率化」ということです。 

逆にいえば予算になくても大きなリターンが期待できるコストは使うべきという判断は十分あり得ます。

経営とは、こういったバランスを考えていかに最適なリソース配分を意思決定をしてくか、、という見方もできます。


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2007年7月21日土曜日

【ブランディングについて】

今回はブランディング推進について少しふれてみたいと思います。

■統一感あるブランドメッセージの重要性

企業や商品のブランディング訴求にするためには、ブランドをを連呼するだけでは、ユーザー獲得や収入獲得などの成果につながるとは限りません。重要なのは、ブランド主体たる”我々”は何者か、というメッセージだと思います。「○○といえばXX、XXといえば○○」と相互に想起される状態を確立していくことがブランド戦略上の目指すところだと思います。

反対にそれが定まらないと、個別企画のコンセプトも定まりにくく、統一感も出しにくい=効率的な訴求ができないということになってしまう思います。

■ブランド戦略とは何か

ではブランド戦略の本質は何か、これは一言でいえないほど広範囲な概念であると思います。企業姿勢、企業活動の全てがブランドを構成する要素であるからです。コピーやデザインなどのパッケージは、重要ですが、ブランドの一要素であり、且つそれらも企業姿勢、企業活動、企業戦略と整合をとってデザインされるものであると考えます。

そして更に企業姿勢、企業活動、戦略のあり方を考える出発点が、経営理念です。

したがって、ブランド訴求に関しても、経営理念、企業姿勢、企業戦略から落とし込まれていくべきメッセージが表現されるべきであると考えます。

■ブランド確立において重要なポイント

上述したとおり、ブランド訴求においてコピーやデザインなどのパッケージは重要ですが、それだけでは成立しません。一見、ブランディングというと派手そうな活動に思えますが、実はブランディングに重要なことは地道なルールづくり、ルール遵守の側面があると考えます。大量のお金を派手に投下しても統一感がなければ、一過性でバラバラな活動の集積になるだけで終わる可能性があります。

伊勢丹ブランドに関する本がたくさん出ていますが、伊勢丹のブランドのコアは徹底した理念の浸透と現場におけるルールの徹底のようです。決して優れたコピーワーク、広告内容だけではないようです。

棚60cmにいくつまで商品をおいて良いか、気温に合わせてどういうディスプレーをするか、目的を明確にした店舗改装をどういう判断基準で行うかというルールが経営陣から現場まで徹底されているようです。だから例えば社長が現場を回っても細かいディスプレーに関する改善指示までできるそうです。

伊勢丹だけがなぜ売れるのか 誰からも支持される店づくり・人づくり

こんなことを考えると、本当にブランディング活動を効果あるものにするためには、具体的な企画実行と同時に、ルールや業務の見直しを含め会社のオペレーションの最適化まで及ぶ、意識をもつことが重要であると感じます。


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