2007年8月9日木曜日

【メディア環境変化について】

放送メディアを取り巻く環境の中で例えば以下のような事象が起こりつつあります。

◆2011年完全デジタル化
放送メディアをとりまく環境面で特に大きな節目になるといわれているのは2011年のアナログ 地上波放送終了→完全デジタル化です。これに伴って大型ハイビジョンデレビの普及は加速するでしょうし、デジタルテレビ上でのネットサービスも増加すると予測されます。地上波やBSの帯域再編に伴い新チャンネルの参入や再編が進むと思われます。

◆ケータイのメディア化進展
携帯端末の多機能、高性能化、高速大容量化、オープン化が進んでいます。ワンセグに加え携帯上の新しい放送型サービスの準備も進んでいます。いろんな機能やサービスを組み合わせながらケータイのメディア化は更に進むと思われます。

◆ネット上での新しいメディア、サービスの普及進展
動画共有サイト、動画配信サイト、SNSなどは既に普及定着し、今後、仮想空間を含め更なるリッチコンテンツサービスやコミュニティサイトが立ち上がってくると予測されます。

◆広告市場の変化
景気回復にかかわらず日本の広告市場は2000年をピークに、その水準を越えられないでいます。 一方でネット広告はラジオを抜き、雑誌媒体に迫りつつあります。(しかしヤフーは踊り場?です)。広告クライアントの厳しいメディア選択が始まっている可能性があります。

これらの一つ一つの事象に対して右往左往しても仕方ありませんし、悲観的になる必要もありませんが、大きなトレンドを見逃さず、手を打っていく必要はあると考えています。

■メディア利用スタイル、ユーザーニーズの変化への対応

最も重要なことは、こうした変化の中で、受け手のメディア利用スタイル、ニーズがどのように変化していくかという視点だと思います。「徹底したユーザー目線」で考える必要性です。

ユーザー視点からテレビ、モバイル、PC、リアルな場、モノ、その組み合わせによって、どんなコンテンツやサービスを企画開発していくかというアプローチが必要であると思います。初めから多メディア展開を前提にしたコンテンツ制作に方法論を変えていく必要があるのかもしれません。

もちろん、どこで儲けるかという戦略も重要です。受け手のメディア接触スタイルが変化すれば、広告クライアントのニーズも変化するでしょうし、コンテンツ課金などの収入源にも影響が及ぶと思われるからです。

メディアの多様化、ユーザーニーズの変化が進んでいく中で、新しいトライアルをしないことのリスクが高まっている状況であると考えます。

どこにどうやって進出していくか。人やお金という限られたリソースをどう配分すべきなのか。他社との連携や協業をふくめ足らないリソースをどこから獲得するか。

事業の成長を続けるためには、こんな変化と課題認識をしつつの議論と取り組みが大変重要なものになるのではないかと感じます。俯瞰的に事業のあり方を見直す好機でもあると思います。

2007年7月21日土曜日

【ブランディングについて】

今回はブランディング推進について少しふれてみたいと思います。

■統一感あるブランドメッセージの重要性

企業や商品のブランディング訴求にするためには、ブランドをを連呼するだけでは、ユーザー獲得や収入獲得などの成果につながるとは限りません。重要なのは、ブランド主体たる”我々”は何者か、というメッセージだと思います。「○○といえばXX、XXといえば○○」と相互に想起される状態を確立していくことがブランド戦略上の目指すところだと思います。

反対にそれが定まらないと、個別企画のコンセプトも定まりにくく、統一感も出しにくい=効率的な訴求ができないということになってしまう思います。

■ブランド戦略とは何か

ではブランド戦略の本質は何か、これは一言でいえないほど広範囲な概念であると思います。企業姿勢、企業活動の全てがブランドを構成する要素であるからです。コピーやデザインなどのパッケージは、重要ですが、ブランドの一要素であり、且つそれらも企業姿勢、企業活動、企業戦略と整合をとってデザインされるものであると考えます。

そして更に企業姿勢、企業活動、戦略のあり方を考える出発点が、経営理念です。

したがって、ブランド訴求に関しても、経営理念、企業姿勢、企業戦略から落とし込まれていくべきメッセージが表現されるべきであると考えます。

■ブランド確立において重要なポイント

上述したとおり、ブランド訴求においてコピーやデザインなどのパッケージは重要ですが、それだけでは成立しません。一見、ブランディングというと派手そうな活動に思えますが、実はブランディングに重要なことは地道なルールづくり、ルール遵守の側面があると考えます。大量のお金を派手に投下しても統一感がなければ、一過性でバラバラな活動の集積になるだけで終わる可能性があります。

伊勢丹ブランドに関する本がたくさん出ていますが、伊勢丹のブランドのコアは徹底した理念の浸透と現場におけるルールの徹底のようです。決して優れたコピーワーク、広告内容だけではないようです。

棚60cmにいくつまで商品をおいて良いか、気温に合わせてどういうディスプレーをするか、目的を明確にした店舗改装をどういう判断基準で行うかというルールが経営陣から現場まで徹底されているようです。だから例えば社長が現場を回っても細かいディスプレーに関する改善指示までできるそうです。

伊勢丹だけがなぜ売れるのか 誰からも支持される店づくり・人づくり

こんなことを考えると、本当にブランディング活動を効果あるものにするためには、具体的な企画実行と同時に、ルールや業務の見直しを含め会社のオペレーションの最適化まで及ぶ、意識をもつことが重要であると感じます。


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