2010年11月30日火曜日

【5回の話のおさらい】

さて、前回までの5回、同じような話をしてきましたので、一旦おさらいです。

何の話をしてきたかといえば メディアビジネスに広がるチャンスのヒントのつもりでした。 

【キュレーションの話】
キュレーションというのは、情報やコンテンツを収集し、選別し、それらに「意味づけを与えて」、共有するという概念です。 情報過多で価値観が多様化し、メディアフリーな時代だからこそ、メディアに求められる役割は高まっていると考えます。 これまでのM-ON!のビジネスモデルと親和性の高い「キュレーション力」を意識的に高めていくことによって広がるビジネスチャンスがあるのではないか。 重要なのは“意味づけの付与”です。

【名前をつけてやる】
モノゴトや事象に意味づけし、名前を与え、旗を立てることによって、その事象への支配力を高め、見えない価値を顕在化することが可能になるという話です。 例え実体がなくても、実体が生まれる。これはビジネスで主導権を握るための重要なポイントだと思います。 たかが名前と軽視すべきではないと思います。 ”はじめに言葉ありき”、”名は体をあらわす” ともいいます。

【コンセプトドリブン】
メディア形態によって、もとめられるコンテンツの形態は違います。メディア特性が違えば単純な二次利用はできません。 重要なことは、ターゲットを想定して「伝えたい想い」をコンセプト化して名前をつけ、自ら旗を掲げるということ。 旗のもとにメディア特性にあわせたコンテンツ展開を図ることです。旗というのは、意味をもち、陣地を主張し、人を集め、誘導するシンボルみたいなものです。 

【SUUMOの話】
メディアビジネスの成功において、必ずしも一次コンテンツを購入獲得することが必要条件ではありません。 モノゴトの流れを見極め、ここという場所に旗を立て、陣地を定め、意味づけし、人を集め、情報をマッチングさせながら、付加価値をつけることによって、場そのものを魅力あるコンテンツ化することも可能です。 場が活性化すれば人とコンテンツが自ずと集まってくるはずです。
【大江戸温泉物語の話】
誰が、誰に、何を、どのように伝えるのか、それを練り上げて、シンプルな言葉として集約すること。全体を貫くコンセプトこそが、こだわるべき最重要ポイントだという話です。コンセプトがフォーカスされ深化すれば、自ずと行動のベクトルは定まっていくはずです。

意思をもってビジョンを掲げ、目標を設定し、コンセプトを練り、集約した名前につけて伝えていく。
それを旗として、意味づけし、陣地をつくる。 コアとなる人を集め、シンプルで、一貫して、徹底的なコンセプトを場の特性にあわせたコンテンツやサービスとして展開する。

ここにビジネスを成功に導くための共通モデルがあるように思います。

2010年11月29日月曜日

【大江戸温泉物語の話】

さて、「大江戸温泉物語」です。 先日、子供にせがまれてお台場に行ってきました。行ったことがある人はおわかりでしょうが、江戸の町並みを再現した温泉テーマパークです。入館すると、色とりどり浴衣を選んで着替え、江戸の町人になった気持ちで、非日常的な空間を味わいつつ、くつろぐといった趣向です。









Wikiによると「江戸開府400年にあたる2003年3月1日に開業」、「江戸の町を再現したお台場の新名所として、気軽な温泉施設として老若男女から人気。」とのこと。 行ってみるとファミリー層のみならず客層として韓国ほか外国からの若いカップルやグループも目立っていたのも印象的でした。

2007年からは経営破綻した地方の温泉旅館を買収したりして大江戸温泉物語的な個性的な施設を全国展開。2005年に40億円の売上が2010年には160億円まで成長しているとのこと。 経営は、かの有名人、キョウデンの橋本ひろしさんなんですね。 橋本ひろしさんはSOTECを上場させ、長崎屋を再生し、SHOP99を育成した人です。

詳しい経営状況等はわかりませんが、そこに成長のポイントがあるとすれば、やっぱり、まずコンセプトが立っているからではないかと思います。「誰に、何を、どのように提供するのか」、それを言葉に練り上げてユーザーに向けて分かりやすく発信しているということです。

コンセプトにこだわっている様子は、当初2億円かけた設計図で建築確認まで行ったのに、それを破棄して設計会社を変えてやり直したってエピソードからも窺えます。当初プランは江戸の町に囲まれた30いくつの露天風呂があり、そこで男女が一緒に水着で入浴するというものらしかったです。「江戸で水着はねえだろ」ってことですよね。

客観的にみれば施設としてあるものは、大小各種のお風呂、マッサージ、ゲームコーナー、食事場所、お土産店、リラックスルーム等々であり、他の大型温泉施設と大きく違いはありません。でも「大江戸温泉物語」の訴求ポイントは温泉ではないですよね。あくまでも江戸をテーマにした非日常空間、物語を楽しんでもらうことだと思います。

コンセプトを練り上げ、言葉にすると展開方法や企画も自ずと焦点が定まってきます。遊び処では手裏剣投げを設置しようとか、食事処には江戸前寿司屋台を出そうとか、イベントは大道芸にしようとか、宿泊施設は「伊勢屋」って名前にしようとか、WEB情報はかわら版って呼ぼうとか、、。 そういった運営工夫の積み重ねがスキルとなり、ノウハウとなります。他に転用できるフォーマットができます。

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コンセプトという言葉を検索してみました。
「概念、観念」、「全体を貫き、骨格となる発想や観点、思想、理念」。
「基本アイデアが、消費者にとって意味を持つ形に落とし込まれたもの、購買理由となるもの」、「アイデアを、消費者に向けた言葉に練り上げて表現したもの」、「コンセプトとは売りたい「もの」を売れる「商品」に変えるためのツール」、、等々。

今後、メディアが様々な新しいトライをしていく中でも、常にコンセプトのありようが重要であると思います。 それを短く言い表せる言葉にすることです。そこから手段がみえてきます。

意思をもってビジョンを掲げ、目標を設定し、コンセプトを練り、集約した名前につけて伝えていく。少なくとも、それがなければ成功の必要条件が整わないと感じます。

2010年11月25日木曜日

【SUUMOの話】

最近、あらためて存在を知った不動産・住宅サイトにSUUMOっていうのがあります。
http://suumo.jp/





ゼクシィ、HotPepper、とらばーゆ、fromA、ケイコとマナブ、じゃらん、エイビーロード、カーセンサー、R25、リクナビ、、、。 共通点がわかりますよね。 全部リクルートのブランドです。 

そんなリクルートの昨年度の業績をみてみました。人材派遣業などを除く単体で売上3189億円、営業利益584億円、18%の利益率です。 ちなみに他のメディア関連をちょっと調べてみると、電通は売上1兆6000億円あって営業利益373億円(2%)。東宝が売上2017億円、営業利益191億円。 フジテレビは5800億円の売上で営業利益92億円(2%以下)。 TBSの放送事業は2000億円の売上で100億円の営業赤字でした。 いかにリクルートの利益率が高いかがわかります。

ではリクルートっていったい何をやっている会社なんでしたっけ? 広告代理店? 出版業?、情報サービス業? 「業界地図」をみると、いたるところにリクルートの名前がでてきます。既存の業種でくくることが難しいからなんでしょうね。 

生活を軸に個人と企業の情報マッチングをしているという見方もできます。進学して、就職して、転職して、結婚して、家を買って、子供が生まれて、子育てして、旅行して、車を買って、、など、生活局面で必要となる情報にフォーカス、深堀りして、テーマをもとに集約した情報をコンテンツ化して発信しているということです。

SUUMOもそうです。“あなたの住活を応援する不動産・住宅サイト”と称して情報を集約、発信して人と企業を集めています。 考えてみれば、本来、お金にできるコンテンツ(マンション)をもっているのはマンションデベロッパーです。 そのマンションを買いたいというユーザーがいます。 両者だけでも取引は成立するはずなのに、なぜかSUUMOはその間に立って市場を仕切っている立場に立っています。

マンションデベロッパーに対しては、「うちはマンション購入見込み客の有用な情報をもってますよ」といい、ユーザーに対しては「うちは販売されるマンション有用な情報をもってますよ」 といいます。 両者はそれだったらと言って自分の情報をSUUMOに提供します。結果、有効なマーケティングデータは全部SUUMOに蓄積され、それを使ってSUUMOはマンションデベロッパーに対して販売支援、コンサルを行い、ユーザーに対しても、購入ノウハウを提供することができます。クライアントもユーザーも喜び、SUUMOも儲かります。 


つまり自らのミッションをかかげ、SUUMOという名前のもとで、キャラクターをつくり、WEBサイト、フリーペーパー、モバイル、アプリ、“SUUMO住宅展示場”、“SUUMO LAND”というイベントまで多メディアに展開し、クライアントにも、ユーザーにもソリューションを提供しているということですよね。

ここでSUUMOはメディアとして機能していますが、コンテンツそのものを買いに行っている訳ではありません。メディアに徹して人とコンテンツが自然に集まるシステムをつくっているということです。

ここにメディアビジネスモデルの一つの可能性が広がっていると思いませんか?

2010年11月22日月曜日

【コンセプトドリブン】

放送コンテンツの二次利用がなかなか進まない中で、ちょっと前には、「これからは二次利用を前提にしたコンテンツ制作をしなければいけない」などとよく言われていました。
インターネットのインフラが進展する中で権利の問題からコンテンツがなかなか流通しないということが背景にあったと思います。

この意味は「放送番組をつくるときに、ネットでの映像配信や海外番組販売できるように権利処理をしておこう」の意味に近かったように思います。要するにコンテンツの多メディア展開というのは、同一コンテンツを複数の伝送路で流して収益を多様化しようみたいな話でした。

しかし、そもそもメディア形態によって、もとめられるコンテンツの形態は違います。最も重要なのは、ターゲットを想定して「伝えたい想い」をコンセプトとして名前をつけ、自ら旗を掲げるということだと思います。旗というのは、意味をもち、陣地を主張し、人を集め、誘導するシンボルみたいなものです。

まず旗をかかげて、放送番組ではこう表現する、イベントではこう表現する、アプリではこう表現する、紙媒体ではこう表現する、こういうグッヅにして物販する、こういうコミュニティに仕立てる。 旗のもとに人が集まり、コンテンツが集まり、場が生まれ、様々な商取引が生まれる。

わざわざコンテンツを買ってこなくてもコンセプト自体をコンテンツとして機能させる方法論があると思います。

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コンセプトを表現するのに名前が重要です。ただ逆にいえば名前が秀逸であればコンセプトも秀逸であるはずです。名は体を現すといいますからね。だからやっぱり名前は重要だと改めて思います。

人から紹介してもらったお馬鹿サイト「エア新書」ってのがあります。 http://airbook.jp/ 極端にいえば秀逸な新書名があれば、中身なんてどうにでも考えられそうという見本ですね。

2010年11月18日木曜日

【名前をつけてやる】

先週発売された「Sporitiva」(スポーツ誌)が、イチロー選手の衝撃的なインタビューを掲載しているらしいです。 それは「実はもう朝にカレー食べてないですよ」と3年前から朝カレーを食べていないことの告白です。 カレー業界では「朝カレー伝説」が根底から覆される一大危機との話も。http://sankei.jp.msn.com/sports/mlb/101112/mlb1011121246004-n1.htm
Sportiva イチロー 10年物語 (SHUEISHA MOOK) (単行本・ムック) / イチローの画像

さて、そんな中で今回は名前の話をしようかと思います。 

多くのモノゴト、事象には名前がついています。 え、当たり前じゃんと思いますか? よく考えれば違いますよね。 名前がついていないものは認識できないから全てのモノゴトには名前があるように勘違いしてしまうだけです。 

Wikiによれば「名前は元々あるものではなく、人間がそれを個別に把握すべき対象として認識した際に与えるものであり、どの範囲で名前を与えるかは人間とそれとの関わりによって変わる。」とありました。

例えば、、

◆日本語には赤い、青い、黒い、白いという形容詞があるのに、「緑い」って形容詞はないですよね。きっと昔の日本人には青と緑の色の識別が曖昧だったに違いありません。今でも信号の色も緑なのに青っていいますし、“緑が青々している”って変な言葉になっています。

◆90年代まで日本にはストーカーはいませんでした。シツコイ人、気持ち悪い変質者はいたかもしれませんがストーカーっていう言葉はありませんでした。 言葉で特定されて事象が顕在化しました。

◆この前、読んだ本によると日本のバブル時代には“バブル”って言葉はメディアには出てこなかったと書いてありました。(確かにバブルがはじけるとわかっていたらバブルにはなりません)

名前のないモノゴトや事象に名前を与え、意味づけし、旗を立てることによって、その事象への支配力を高め、見えない価値を顕在化することが可能になります。 例え実体がなくても、実体が生まれます。これはビジネスで主導権を握るための重要なポイントだと思います。

例えば、、

◆昔から朝にカレーを食べていた人はいたのかもしれませんが「朝カレー」って言葉はありませんでした。しかし「イチローが朝にカレーを食べて成果を出している」、「専門家が朝にカレーは脳を活性化するといっている」などから、いつの間にか誰かが「朝カレー」っていう名前をつけて、「受験生は朝カレー」、「朝カレーでダイエット」、「病気にならない朝カレー生活」など、どんどんモノゴトが展開、ハウス「めざめるカラダ朝カレー」、CoCo壱番屋もレギュラーメニュー化、雑誌やWEBで特集続々、周辺にビジネスがひろがりました。

◆血液型分析っていう名前をつけ、旗を立てることによって、欧米には存在しない日本固有の血液型市場が生まれています。

◆モーニング娘っていう名前のもとでは、メンバーが総とっかえになってもモーニング娘というビジネスが成立します。

◆クラプトンは昔から、アコースティック中心のライブをしていましたが、MTVはアコースティックなライブイベントに「アンプラグド」の名前をつけて、意味付けし、ビジネスとして成功しました。

これって、もはや必ずしもContent is Kingの発想ではないんですね。

そういえば、名前っていえば、領土問題では島に日本名をつけたり韓国名をつけたり中国名をつけたりして主導権争いをしていますよね。 ゲド戦記では、魔法使いは自分の真の名をあかしません。命とりになるからです。 そんなことを考えるとスピッツの91年のアルバムタイトル、「名前をつけてやる」も意味深です。



2010年11月15日月曜日

【キュレーションの話】

昨日は東京ビッグサイト開催の三国志イベントやら同人誌即売会などを覗いてきました。どちらも、でっかい会場に若い人達がわっさり。 有名人が出演しなくても人は集まり、企業が介在しなくても大きな商取引が行われているんですね。

さて、今回は「キュレーション」の話です。 この言葉、知ってますか? ちょっと前からメディア業界などで、流行り始めているキーワードです。 また胡散臭いな」という方もいるかもしれません。

でも、この“キュレーション”という概念も、戦略を考えるにあたって結構、重要な言葉だと思ってます。なので、今後、いろんな角度からこの説明を試みていきたいと考えております。

大まかにいって「キュレーション」とは、

情報やコンテンツを収集し、選別し、それらに「意味づけを与えて」、共有するという概念
です。この“意味づけの付与”というプロセスが重要な特徴なんですね。

例えば、美術の展覧会においての「キュレーター」の仕事は、“展覧会のテーマを考え、参加アーティストやアート作品を選択し、しかるべき展示会場に、好ましい効果を発揮するようにアート作品を設置し、カタログに文章を執筆すること”のようです。

コンテンツを集めて並べて共有するだけでは、キュレーションとは言いません。 コンテンツに対する意味づけの付与がないからです。 多くのVOD事業者は映画や音楽コンテンツを所有者から買い集めて配信して儲けようとしています。成功するためにはキラーコンテンツを多く揃え、サービスブランドを認知させて人を集めようとします。結果、コンテンツコストとプロモーションコストがかさんで、なかなか儲かりません。 これは単なるコンテンツアグリゲーターなんですね。

「あなたが好きなものを、好きなときに、どこからでもアクセスできますよ」とその利便性をアピールします。しかし、もはや受け手は、そこに高い価値を感じなくなっているように思います。 一生かかっても消化できない情報過多の中で、どうやって本当に必要な情報に触れられるのかに興味は移っていくのではないでしょうか。

ユーザーが接触するコンテンツを選択するために必要なのは網羅されたリストではなくて、意味づけ、文脈によってフィルタリングされたメニューではないでしょうか。

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でも、この「キュレーター」って放送局や雑誌などのメディアの仕事において重要な概念だと思います。 例えば “コンセプト、テーマを考え、出演者をブッキングしたり、好ましい効果を発揮するように番組を演出し、編集し、しかるべき時間帯に編成し、番組情報を発信する”ことなんですよ、、とか。

メディアはこの「キュレーション力」を意識的に高めていくことによって広がるビジネスチャンスがあるんではないのかと感じています。 重要なのは“意味づけの付与”です。
「Curation Is King」

2010年11月11日木曜日

【やってる感の話】

最近、テレビ番組をみたり、社内のミーティングで話している中で、よく「○○感」というワードが出てくることに改めて気づきました。 「仕事やってる感」とか「汗かいてる感」とか。

この「やってる感」のニュアンスを考えるに「客観的にみた結果や事実とは無関係に、本人的には、あたかも成果を出したり、汗をかいているようにふるまいアピールしている様子」とでもいいましょうか。

なぜこの「やってる感」的な表現が多用されるんでしょうか? 難しく考えると、社会が専門性を基盤とする知識社会に移行しているので、目に見える体を動かす作業だけでは成果を得にくくなっていることが背景にあるのかもしれませんね。

実は世の中、本当に成果に直結している仕事っていうのは意外と少ないと思っています。 会議に出たり、プレゼン資料をつくったり、情報を集めたり、接待していることが本当に成果につながっているのかどうかは、多くの場合、はなはだ疑問ですからね。

しかし、組織に属している人は、たいてい自分の成果を誰かに説明する責任を負わされています。社長だって取締役会に、取締役だって株主に対して説明しなければいけません。 「成果はありませんでした」ではすまされません。それじゃ普通は降格、減給、クビになってしまいます。 従って誰しもが、成果が出ていることをアピールするか、少なくともその努力していることを可視化しないといけません。

そうすると各人がアピールするために、「やってる感」を出したくなりますよね。
(ただし中には「やってる感」であることも気づかず、本当に仕事をしていると思っている人もいるかもしれません。忙しいと充足感や達成感が得やすいですからね。 特に歳をとって家庭に見放されたりすると間がもたなくなりますから例えば会議ってのは間がもって最高です)

さて、提案型営業としては、そんな実体とは無関係にみえる「○○感」も、うまくソリューションしてお金にしたいですね。

先のとおり、誰でも成果の説明責任を負っているが普通です。企業のプランナーやプロモーター、広告代理店の担当者も同じです。自分の仕事がどのように成果に結びついたか、上司やまわりに説明しなければいけません。そうなると、本当に成果があったかどうかというより、いかに自分が貢献した成果をわかりやすく伝えるかも重要なことになります。

うちは実質的な成果につながるソリューション提案もしますが、クライアントの担当者様の「仕事やっている感」もソリューションもいたしましょうと。

その為には、クライアントのことを全部、考えて、一から十まで、やってあげるのではなく、あえて最後の一押しを残しておくとかの工夫も必要かもしれません。パッケージ提案ではなく、オーダーメイド感を演出し、相手の「自分で考えた感」、「汗をかいた感」を充足させてあげるとか。

それで「いやぁ、○○さん、さすがっすね。最高っす」みたいに褒め上げて悪い気はしないでしょうからね。


数字で説明できるのもポイントが高そうです。例えば効果はともかく「WEBのPV数がこんなにありました!」のほうがなんとなく具体的な成果っぽい感じがありますからね。 「もろもろスケジュールを調整して、あっちこっちでメディアに出演して、告知して、もう忙しくって大変っすよ、、」という「汗をかいている感」も重要そうです。 稼動が伴うと社内の会議でも報告にちょっとしたトラブル話などでストーリーがつけやすく「頑張ってる感」が出しやすそうですからね。

2010年11月5日金曜日

【コミュニケーションのスキル】

昨日はコミュニケーションスキルに関する研修をオブザーバー参加してきました。

会社というのは人が集まって、何かを決めて実行していく「概念」なので、人と人とのコミュニケーションが重要なのはいうまでもありませんよね。 そしてコミュニケーションというのは、話し手と受け手がいて初めて成立します。なのでコミュニケーションに責任を負うのは、決して話し手だけではなく、話し手と聴き手の双方なんですね。 お互いを尊重し、その姿勢をみせなければ良いコミュニケーションは成立しません。

そんな観点で、会社のコミュニケーションを観察すると、この重要な点に対して意識的でない方が、ちょっと多いんじゃないかと気がします。 それは、いかに相手の話を聞こうとしているか、理解しようと努力しているかというコミュニケーションの姿勢です。 受け手の聴き方が、話し手の話に大きな影響を及ぼし、話の質を大きく左右することを研修で改めて認識しました。

会議室の日常でみかける風景、あくび、居眠り、携帯いじり、途中退席、常習遅刻、、これらは全て、「私はあなたことや、あなたの話には関心ありません」というメッセージを受け手が発信しているのと同じことです。 他の人が報告してるのに、話し手に視線も向けず、うなずきなども一切しないのは、「あなたの話は理解できない、賛成できない」、というメッセージと同様の効果を演出しているということになります。 (確かに話が本当につまらなくて、理解出来ない上に長いときもあるので、話し手のほうも、受け手のメッセージにも敏感であるべきかもしれませんけどね)

「いやいや、それは、わざとやってる訳じゃないよ」と言う方は、その身体メッセージを改める努力をすべきです。 「そんな細かいことは本質じゃないでしょ」と思う人はその認識を改めたほうがいいと思います。 それがコミュニケーションの本質なんです。 わかっていながら社内だけでやっているとすれば、社内コミュニケーションを軽視していると宣言していることになります。 聞く環境を整えずに、いい報告だけを求めるのは虫が良すぎる話ですよね。