2009年12月17日木曜日

【選択と集中とは?】

成果をあげる為のリソースの最適な配分を考える基本が「選択と集中」という概念です。 

最近では国の予算を見直す過程で、「事業仕分け」が話題になっていますが、従来は官僚主導でいつのまにか国の予算が決まっていました。 その予算配分の過程まで政治主導で透明にして議論しようという試みです。これも限られた予算をどこにどう配分し、国家を良くしていくのか、という「選択と集中」の議論と捉えられます。どっかを削ろうとすれば、その関係者、関連団体がでてきて反対します。 全ての部分最適を考えると全体最適は達成できません。最後は首相の意思決定が必要です。

会社においても同じです。個々の部分最適で考えれば「やったほうがいいこと」ばかりかもしれません。しかし経営リソースは限られています。 経済が右肩上がりの時代には、効率を考える前に、とにかくリソースを大量にかつ全方位に投下しても事業を拡大することができました。しかし、時代は変わり、長期化する不況と個人の価値観多様化によって、売れるものと売れないものが二極化しています。顧客に支持されるサービスを提供するためには、顧客視点での付加価値を徹底的に高めていく努力が必要です。その為には、あれもこれも手をつける訳にはいきません。

企業は事業の継続と将来の成長に向けて、「選択と集中」が求められています。もちろん少ないリソースで最大成果をあげ勝ち残っていくためです。

「選択と集中」とは「費用の削減」という意味ではありません。 将来に向けて、勝つため、ナンバー1になるために、やるべきこと、リターンを得るための使うべき費用、投資すべき内容を決めるということです。

ある本に選択すべき理想的な戦略について、以下のような話がありました。

・たとえ儲かっても会社の価値基準に照らして満足できないことは
 やるべきでないし、逆に収益が不透明でも価値基準に合致すれば、
 実行判断もありうる。


・理想的な戦略とは、「やりたい事」と「やるべき事」と「やれる事」と
 いう条件が揃ったもの。

これら条件が揃うのはなかなか難しいことですが、それを合致させていける可能性がないものにはリソースを配分すべきではない、、ということもできます。


参考:選択と集中

All About http://kw.allabout.co.jp/glossary/g_career/w000996.htm
野村総研 http://www.nri.co.jp/opinion/r_report/m_word/sentaku_shuchu.html

2009年12月10日木曜日

【環境変化と漁法の点検】

先般、メディアに対するユーザーの意識の変化や市場環境の変化について、いろんな調査データを見ましたが、改めて大きな変化が起こっていることを認識しました。

例えば人口動態です。先般で日本の人口が約1億3000万人と説明しましたが、その年齢別の内訳をみると、たった10年で、激しく少子高齢化が進んでいることがわかります。これまで購買の中心といわれてきた34歳以下の層が740万人減少し、50歳以上が760万人増加しています。



人口分布の変化は最も予測しやすく、最も基本的なマーケティングデータですが、図をみて分かるとおり、突出して人口が多い世代が2つあります。一つは1947-1949年に生まれた団塊の世代810万人と、もう一つが1970-1974年に生まれた団塊ジュニア=960万人です。

こういった人口が多い世代はこれまで、いろんな流行を生む土壌になってきました。ちなみに団塊ジュニアは現在のアラフォー世代で20年前の女子大生ブームなどの主体となったバブジェネです。当然、数多くの音楽CDヒットを支えてきました。このバブジェネ世代のアラフォーはアラフィフに向かい、今後もまた何かのトレンドを生むはずです。 一方で、これから十年、若い世代の人口は更にどんどん減っていきます。 60歳前後の団塊の世代は定年を迎え、豊富な貯蓄と余暇時間で社会に大きな影響を与える始めています。 (ちなみ団塊世代は音楽アーティストでも矢沢永吉、小田和正、井上陽水ほか厚い層があります)

年齢や世代によって、メディアに対する意識も大きく違っています。高年齢層にとっては、いまだにテレビや新聞は日常の情報源の中心である一方、10代~20代では、もはや中心メディアは携帯でありインターネットです。メディアに対する接触態度も全く異なっています。例えば博報堂調査によるとお風呂に携帯を持ち込むことがある50代男性は1%ですが10代女性は33%です。テレビをみながらのケータイやネットは、高年齢者を除きもはや当たり前であり、全世代でその時間も確実に増加しています。

今後メディア業界、音楽業界は、どのような戦略で生き残っていくのかが問われています。その為に、ユーザー一人一人のニーズやウォンツを探り顧客志向を徹底していくことが重要です。 しかし加えて社会、経済、技術トレンドなどのマクロ視点での分析も必要です。なぜ同じことをしているのに成果が変わるのか、それは環境が予想以上のスピードで刻一刻と変わっているからかもしれません。 
ちなみに今週号の日経ビジネスの特集は「団塊世代」がテーマですが、その中で、堺屋太一さんが「企業経営者は若者ばかりを追いかけ、人口も少なく、消費力もないところに経営資源を投入している。」と指摘しています。 魚が少なくなった漁場で多くの釣り人と競争しながら漫然と釣りをしても成果は少なくなって当然です。 自分の得意分野を認識しながら、どこで、どんな魚を、どんな方法で釣るべきなのかを意識的、戦略的に考えることが益々重要になっていると思います。


2009年12月3日木曜日

【経営リソースと権限】

■経営リソース「ヒト、モノ、カネ」

会社が事業を遂行し、付加価値を生み出していく為には、元手が必要です。それを「ヒト、モノ、カネ」という言葉で表現されることが多々あります。 これを経営リソースの3大要素と言うこともあります。 (最近はこれに「情報」を加えて4大要素という場合もあります)

・ヒト=会社が抱える人的資産のことです。頭数という意味でも、
    それぞれのヒトが持つノウハウ、スキルというものも含まれます。

・モノ=設備、機材、消耗品、施設など業務に必要なインフラや
    材料などの物資です。システムなど無形なモノも含まれます。

・カネ=お金のことです。ヒトを雇うにも、活動するにも、モノを買う
    にもお金が必要です。

・情報=特に産業がモノづくりから情報産業にシフトする中で、知識や
    情報という無形な資産が競争力の源泉になっていることは事実です。

会社は、これら経営リソースを確保し、それを付加価値に転換して、最終的に利益という経済価値を確保する活動を行っていると言えます。 従って、「会社経営」とは、どんなリソースをどうやって、どのくらい確保するか、それを何にどのくらい使うか、誰にやらせるか、、等、、経営リソースの最適な配分を意思決定することだという見方ができます。

つまり鉛筆1本の購入でさえも会社としてのリソース投資であり、資金を配分する意思決定という意味では「会社経営」の一部分です。(もちろん経営に対する影響は軽微ですが)

しかし、もちろん、そんな意思決定までを全て経営執行の最高責任者である社長が行うことは現実的ではありません。 そこで重要度によって意思決定の権限を下の職位の人に委譲するシステムが必要となってきます。その決め事を「決裁規定」等と呼びます。 会社が運営上で意思決定が必要な項目を網羅しつつ、その重要度を金額基準によって、判断者のレベルを取り決めた会社ルールです。基準によって各職位に与える権限レベルを変えて効率的に意思決定をしていこうという仕組みなんですね。




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