2008年3月21日金曜日

【「ミーハー心」と「プロ魂」】

■創造性の条件

ある人は「高い創造性を発揮し続けるクリエイターに共通する特徴は好奇心である」と言っています。( http://www.insightnow.jp/article/588 ) このサイトで紹介されている糸井重里さんも秋元康さんもキャラメルボックスの加藤昌史さんも「あれこれ面白いものを探して、なんにでも興味を示して、すぐに手を出してみる、何事も純粋な気持ちで受け止める」こと(ミーハーな姿勢)が創造性の源泉であると分析されてます。

ビームス社長、設楽洋さんの信条は「時代にフィットし続けるミーハーさ」と言っています。( http://www.ifs.co.jp/news/column_200403.html) ビームスは1976年、原宿で産声を上げて以来、一貫してミーハーな姿勢を貫いてきた。。。そして社長曰く「動いている今という時代の空気を読むこと。これはファッションに関わる人間にとっての必要条件と言っていい。「時代にミーハーであること」に自覚的なこと。時代の流れを読んで、半歩先駆けて新しいモノ・コトを提案していく。ファッション・マーケティングの基本的なる姿勢である」と。

その他、坂本竜馬やモーツァルトやスピルバーグの人物像を検索してみると、ミーハー的なエピソードが沢山あります。坂本竜馬は会う度にマイブームが変化していて、まわりが閉口した、、とか。西洋、輸入品、拳銃、革靴大好き、日本人で始めて新婚旅行とか。。

優れた文化も実は、ミーハー的文化ではないかと勘ぐっています。たとえば,江戸時代.世界史の中でも優れた教育水準と独創的な文化をつくった時代であり「江戸っ子は宵越しの銭は持たぬ」とか「火事と喧嘩は江戸の華」な感性を持ちながら、歌舞伎、浮世絵、落語行楽、多様な食文化をつくった時代です。

こんなことを考えると創造性の条件として、ミーハーで旺盛な好奇心という気がしてきます。これこそが時代を創るクリエイターの素質なのではないか。

■「伝えるお仕事」の要件 = 「ミーハー心」と「プロ魂」

伝える仕事でもミーハーな好奇心は重要そうです。主にファッション業界で広報PRを専門に扱う「アタッシェ・ドゥ・プレス」という仕事をしている会社の代表である伊藤美恵さんの話があります。

情熱がなければ伝わらない!アタッシェ・ドゥ・プレスという仕事 (NB Online books)

この本の中で伊藤さんは、自らの「伝えるお仕事」=「ブランド戦略やPR戦略を考え実行する仕事」に必要とされる要件として次の3つのことをあげています。

 ・クリエイター、経営者、企業という送り手側の意識を完全に理解する
  「プロ魂」をもって取り組むこと
 ・一方で、世の中の気分を感じ、「ミーハー心」を抱く一人の消費者
  としての目線を決して失わないこと。
 ・そして、この送り手と受け手という相反する両極の立場を常に自分の
  中に同居させていること。

つまりは「プロ魂」を持ちながら、同時に「ミーハー心」を抱いた消費者であり続けることが「伝え手」の絶対条件であると言っています。

プロだからといって時代の一歩も二歩も先に行くことだけを目指しても、マーケットのニーズと乖離していれば自己満足で終わる。むしろ「ミーハー心」をもって、世の中の空気を感じながら、時代に寄り添い、半歩先のモノ・コトを提案していく力をつけていくことが重要である。

創造性の条件、伝え手としての条件としての「ミーハー心」と「プロ魂」の話でした。

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