2010年12月24日金曜日

【『まずは儲けろ!』】

もうX’masです。歳をとるほど1年は短くなります。時間の感覚はその人が今まですごしてきた時間の長さによって違うらいしいです。実際の年齢に反比例するという話もあります。皆様はどんな一年だったのでしょうか?

会社では事業計画策定の時期になってきますので、そんな整理の中で、会社の理念にあたる部分について再確認しています。会社の理念というと「人々の幸せのために、、」とか「社会への貢献を目指して、、」云々という言葉がよく出てきますよね。

人によっては、“なんか夢みたいな話だな”とか、“どうして会社にそんな信条が必要なのか”とか、“そんな甘いこと言っているから緩い会社になるんだ”とか、“それが事業の成功とどんな関係があるの”とか疑問やご意見もあろうかと想像します。 でも理念というものは、そういうものなんです。別に僕だけがそう言っている訳ではありません。ドラッカーはもちろん、世界中の経営学者、企業経営者の多くがそういっています。もっと詳しく検証したい方は「ビジョナリーカンパニー」という本が参考になるので一読をお勧めします。優れたビジョナリーカンパニーの多くは、理念に共感した人の集まりとなっていることが指摘されています。(ここでは理念が“正しいか否か”は問題ではありません)

ビジョナリー・カンパニー

「じゃあ、高慢な理想を掲げて社会貢献していれば、儲けなくていいの?」 。。。もちろん、そんなことはありませんよね。 企業が儲けなければいけないのは当たり前です。 会社の理念のあり方と人の理念のあり方は同じです。「あなたの人生の信条・目的は何ですか?」と聞かれて何と答えるか? 多くの人は「金儲け」は手段であるはずですよね。でも手段であるからこそ重要なんです。(もちろん金儲けが人生の目的の人がいてもいいですが)

企業が競争で勝つというゴールとしてどんな項目があるでしょうか? ある本によれば①利益、②シェア、③成長、④顧客満足、⑤従業員満足、⑥社会貢献、⑦企業価値(株価)、があげられていました。全て大切です。しかし競争戦略上は、①の利益が重要なんだとありました。なぜなら利益がなければ、ほかの6っのゴールが達成不可能だからです。「衣食足りて礼節を知る」、「貧すれば鈍する」なんです。法人税もろくに払ってないのに社会貢献って言うなー、って話なんですね。 逆にいえばほかの6つのゴールが達成できれば”普通は”利益がついてくる筈です。

だからこそ、ドラッカーを崇拝しているユニクロの柳井さんも社内に対して「まずは儲けろ!」って言うんだと思います。

しかし目先で儲かればいいだけではありません。今期の利益の最大化だけが会社の目標であるはずがないです。 5年、10年と継続可能な利益を出す体質を作っていくことが重要なんです。 それがあって初めて社会貢献も可能になりますからね。

“蝶をとる為の虫取り網”、“蝶が集まる庭づくり”の例え話もあります。蝶というのはお金の例えでもあります。継続的に着実な利益を確保するためには、虫取り網をもっているだけでは駄目です。先行投資という庭づくりへの開発投資、人材投資も必要です。基盤があれば、短期的な虫取りに失敗しても再起が可能です。「肥料を撒いたり花を植えている暇があったら虫取り網をもって蝶をとってこい!」だけでは、環境変化に耐えられなくなります。会社にとって、人にとっての庭づくりは何かを考えることが大切だと思います。

-*-*-*-*-*-*-*-*-*-
ちなみにユニクロの経営方針のHPで掲載されていたことは以下です。ちゃんと“きれい事”が書いてあります。でもユニクロは誰よりも厳しく貪欲に儲けを目指していますよね。それが企業のあるべき姿だと思います。  (ユニクロがいい悪い、好き嫌いという話じゃないので念のため)

ファーストリテイリングが目指しているのは、本当に良い服、今までにない価値をもつ服を創造することです。世界中のあらゆる人々に、良い服を着る喜び、幸せ、満足をお届けすることです。服づくりへの情熱やお客様へのサービスといった日本文化、勤勉さやチームワークといった日本の精神をバックボーンとした、我々のFR WAY(企業精神)をグローバルで実現していきます。

2010年12月20日月曜日

【断・捨・離ノススメ】


今年も残すところ僅かになってまいりました。 溜まってしまった資料を整理、身の回りのお片付け、お掃除をして気持ちをリフレッシュする絶好の機会ですね。

そんな中、昨日に本屋さんに立ち寄ったところ、年末ということもあってか、お片づけ関連本が山積みになっておりました。『人生が変わる 片づけの習慣』、『頭のよい子が育つ片づけ術』、『仕事が変わる片づけ術』、『ガラクタ捨てれば自分が見える』、『8割捨てればうまくいく! 人生を変えるガラクタ整理法』、、等々、あらゆる方面の整理術が並んでいました。 

その中で、一際目立っていたのが、「断捨離」本でした。



断捨離(だんしゃり)という言葉は今年の流行語大賞にもノミネートされたようなので、ご存知の方もいらしゃいますでしょうか。 “やましたひでこ”さんという方が提唱した言葉で、欲望を断ち、精神的な執着を手放すためのヨガの哲学「断行・捨行・離行(だんぎょう・しゃぎょう・りぎょう)」の頭文字を取った造語です。(インパクトある名前をつけて、意味づけをしたもん勝ちの好例ですね。やましたさんは、しっかり登録商標もしているようです。) 

意味は、やましたさんのHP(断捨離.COM)に載ってました。

断・捨・離とは、自分とモノとの関係を問い直し、暮らし・自分・人生を調えていくプロセス。

不要・不適・不快なモノとの関係を、文字通り、断ち・捨て・離れ、引き算の解決方法によって停滞を取り除き住まいの、暮らしの、身体の、気持ちの、人生の、新陳代謝を促す・・・。 住まいが、片づかないという悩みはもとより身体の不調、煩わしい人間関係、忙しすぎる状況をも解決。

http://www.yamashitahideko.com/danshari/

本によれば、モノを捨てられない人は3っの型(及びその複合型)に分類されるとのこと。
------------------------------------------------------------------------------------------------------- 
1.現実逃避型
忙しい等の理由で自己を正当化して、片付けに向き合えないタイプ。人生においても現実逃避をしがちで、問題を先送りしてしまう傾向があります。

2.過去執着型
使っていない道具、記念品、思い出の品など不要な過去の遺物を取っておくタイプ。幸せだった時代への執着が隠されていることも多く、裏を返せば、今の自分に不満がある、自信の欠如した状態である。過去の栄光にすがり、自信のなさを、ため込んだモノでごまかしている可能性があります。

3.未来不安型
いつか起こるであろう未来への不安要素に投資するタイプ。“いつか使うかも”、“ないと困るかも”、“なくなると不安かも”、と「その物がない未来」を心配し、不安に感じる。 未来の自分や周囲の状況に対する「信頼の欠如」が特徴です。
----------------------------------------------------------------------------------------------------------
断捨離とは、モノとの関係を徹底的に問い直しながら、「重要軸を自分、時間軸を今」にリセットしていく作業とのこと。「それは自分が必要なモノなのか?」、「今なければいけないモノのか?」を基準に、徹底的に捨てていくことです。。。

”モノを買ったり貰ったりする前に必要なのかを問うて断て”、“収納を考える前に捨てろ”、ということなんですね。 モノが多いから収納を考えるのは、過去への執着や未来への不安、それを物質価値で紛らわそうとする貧しい考え方です。

モノへの執着を捨てて、今の自分に心をリセットしていくことにより、心の中のガラクタ、つまり、心に染みついた固定観念や古い価値観を整理することが出来ますよ。。。とのこと。

経営戦略も同じですね。選択と集中です。限られたリソースを強みに集中するために、“何をしないか”、“何を捨てるか”を決めることが経営なんですね。 ちなみにしっかり“ビジネスのための断捨離思考“という本も売ってました。

いいじゃないですか断捨離。皆さんも心の執着を捨てて断捨離でココロとカラダをリフレッシュしましょう。 

2010年12月16日木曜日

【「問い」と「承認」】

さて前回までで、コーチAさんの話で、組織力を高め成果を出していくために、【「ビジョン」と必要最低限の「答え」を持ち、「問い」と「承認」で組織を動かす】という方法論が有効であるという話をしてきました。

これからの企業というのは、「100人の指示で動く人より、10人のアルキメデスが必要だ」という話なんですね。理念やビジョンを共有し、その為に何をしなければいけないのかを全員で考えることが力になるんです。

キリンビールは、「内向き、上向き、箱文化を脱し、真に顧客本位の会社になる」ことをビジョンとして掲げ、そうなる為にはどうすればいいのか、組織の壁を越え顧客について話す機会や場を徹底的に増やしたそうです。そしてキリンビールは昨年、ビール系飲料のシェアで9年ぶりにトップに返り咲き、日経ビジネスでも、その取り組みが「伸びる会社は全員力」という記事で紹介されました。(この活動にもコーチAがからんでるそうです)

ヨークベニマルというスーパーではマニュアル化で運用改善が図れず、欠品や過剰在庫が日常化。そこで、全員で話し合い「お客様とともに喜び昨日より、どれだけ成長できるか。その為に何をすべきか」という問いを共有することから始め、スタッフが主体的に工夫するようになり、マニュアルでは実現できなかった欠品が解消、運用改善が図られたという話がありました。

特に単純作業ではない工夫が必要な仕事においては、マニュアルやルール、調査資料、データベースを整備するだけでは仕事の品質や効率は上がらないし、リスクの回避もままなりません。 仕事を行うのは人ですから、その人の意識がどこにチューニングされ、どのくらいのエネルギーがチャージされ、積極的、主体的、能動的に考え、行動できるかのほうが重要ということだと思います。

トップが方針説明会をいくらやっても、現場での「問い」と「承認」が機能しなければスタッフのチューニングはできません。トップが「これからは、ユーザー第一主義でいく!」と宣言しても、日常的に管理職が部下に「なんで売上が上がらないんだ!」、「なんで今まで報告しなかったんだ!」、「ユーザーも大事だけど得意先のケアを優先しろ!」などという問いを続ければ、部下は、「手段を選ばず売上確保するにはどうすればいいか」、「ユーザーのことより目先の報告書作成しよう」、「いかに上司に怒られないように立ち振る舞うか」、「どういう言い訳が必要か」ということに意識がチューニングされて顧客第一主義なんて忘れてしまいますよね。

2010年12月13日月曜日

【エネルギーチャージの話】


さて、前回リッツカールトンの話では、「答え」でなく「問い」を共有する方法論の有効性について、お話しました。リッツカールトンでは、経営陣がスタッフと「最高なおもてなしとは何か」の問いを共有し、追及し続けているということでした。 「問い」によって、皆の意識をチューニングしているわけですよね。 理念やビジョンを共有し、「問い」を投げかけ、スタッフが「主体的に考え、行動する」ようにして組織を動かししていくということです。 

しかし、人が動くからには、そのエネルギーとなるものも必要です。コーチAの人いわく、それが「承認(アクノレッジメント)」だということでした。「ほめる」ことも承認の“方法の一つ”。つまり組織のエネルギー源なんですね。「問い」を渡した結果、相手が「考え、行動したこと」に対して、それが「良いこと」や「感謝したいこと」であれば、そのことを、ちゃんと言葉でフィードバックし、承認してあげることが重要なんです。

いわゆるイルカにおけるFISH!です。そしてFISH!が欲しいのは部下だけではありません。上司でも社長でも家族でも同じです。だからコミュニケーションが組織にとって重要であるということだと思います。

もっといえば「あなたの存在を認識している」というメッセージですら“承認行為”です。人の話をちゃんと聞く、うなずく、声をかける、「あ、髪型変えましたね」、、こんな簡単なことが組織のエネルギーになります。スーパースターでも「今日のステージよかった?」て聞きますよね。そのくらい自分のことはわからないし、不安なものなんですね。 

だからリッツカールトンが掲げている理念、「お客様の名前を添えて、挨拶する」ってのは、最上級の承認行為なんでしょうね。 お客様は、名前を覚えてくれていた、何故か名前を知ってくれている、声をかけてくれる。。たった、それだけで「リッツカールトン、サイコー!」ってなってしまうのかもしれません。

←エネルギー充填中

「俺は人を褒めるなんてことはしねえ、俺の背中を見てくれればいいんだ」、「いわなくてもわかるだろ」的なことは、近代化以前は成立しましたが、もはや駄目なんでしょうね。何故なのかは、またお話します。

そして、”問い”ではなく、“正しい答え”を出してしまう弊害も2つあるようです。一つは“思考停止”を招くこと。カルトな宗教や国、会社などで、よくある話ですよね。 もう一つの場合は“反発”を招くこと。正しさの価値観が違えば、答えの押し付けは反発を強めます。それでも「とにかくやれ」と言えば、「言われたままにやります」という仕事になります。

-*-*-*-*-

良いコーチング本をいくつか読みましたが、その数々のエピソードを読むと結構泣けます。コーチングの話っていうとビジネス上のテクニカルな話に思われるかもしれませんが、実は人の存在価値への承認に関わる根源的でプリミティブなコミュニケーションのあり方の話なんですね。

2010年12月9日木曜日

【リッツカールトンホテルの話】

今回はリッツカールトンホテルの話です。

前回は「何かについて“問い”を立てること」によって、「そこに意識をチューニングさせること」になり、「身の周りのデキゴト全てが、自分が求める答えの候補になる」。「情報が自分にとって有益な知識となり、解決策をみつけるパワーになる」という内容の話をしました。 そして誰かに何かを深く考えて欲しいときは「答え」ではなく「問い」を提示すべきなんだという考え方も紹介しました。

これもコーチAさんの勉強会で仕入れたエピソードなんですが、その講師の人がリッツカールトンホテル大阪の素晴らしいサービスに感激して、後日に社長と会食する機会があったときに、「どうやって従業員を指導しているのか」を訊ねたそうです。そうしたところ、社長いわく、米国本社から、いろんな指示が電話やメールで届くんだが、そのポイントの一つは「世界一か?」と問うことなんですよ、という話がありました。 

“頑張っているか否か”じゃなく、“サービスが世界一かどうか”を問うているということがポイントなんですね。 社長は現場にまわって「おい、世界一か?」と聞きまわります。 スタッフは、「頑張っているか?」と問われれば「頑張ってます」と答えられますが、「世界一か?」と問われると、即座には答えられず、世界一になるために、どうすればいいかを考え始めます。もちろん、それだけではないと思いますが、できるだけ”正解”を与えない、ということが秘訣だということでした。

リッツカールトンの会社概要HPには「心に響くストーリーなくして伝説は生まれません。」とあります。価値観と理念が書かれたカードを常に全スタッフが携帯して仕事をしているといいます。http://corporate.ritzcarlton.com/ja/About/GoldStandards.htm リッツカールトンだから、そんなことが言えるんでしょ、ではないんです。現リッツカールトンの創立者は、1980年代に、世界展開前の小さな会社のときから、同じことを言い続けて実行してきたそうです。


会社で企画を考えるときも、そして自分の考え方にも、当てはめてることはできませんか。「その企画って、自分でそれが一番、面白い事だと思っているのかな?」、「それが誰かにとって唯一無二の価値ある企画なんだろうか?」、、、それを自分で、或いは皆で互いに問うていくべきですよね。作り手、送り手がイマイチだと思っている内容、こんなもんかな~と思っている内容では、ユーザーの本当の感動や共感は呼べないのではないかと思います。

何事にも制約条件はありますから簡単ではないかもしれません。。でも、その中でサイコーなことを真摯に追求することが、社会への貢献につながるのではないかと思っています。

2010年12月7日火曜日

【“考える”について考える話】

さて前回の”コーチA”の勉強会での話で別ネタです。『“考える”について考える話』です。

★そもそも「考える」ってどういうことだと思いますか?
「何かを考える」っていうのはいったい何をしている状態なんでしょう? 例えば、、、
「僕は一日中、君のことばかり考えているんだ」 、、、考えてるって私の何を考えているの? 「仕事のことばかり考えてしまって頭から離れないんです。」、、、それはどういうこと?

360年間、解けなかったフェルマーの最終定理は1995年にアンドリュー・ワイルズという人が解いたそうですが、彼は「8年間、そのことを考え続けた」と言ったそうです。 それは何をどうやって考え続けたという意味だと思いますか? 一体、“何かについて考える”っていうのはどういうことなんでしょう?

アルキメデスは王様から王冠が純金かどうか、銀の混ぜ物をしてごまかしていないかを証明せよ、と命令され、それを”考え続けた”という話があります。王冠を溶かして密度を調べる訳にもいかない。 どうすればいいのか? そして、ある日、アルキメデスは入浴中にこの問題を解決するヒントを得ました。 彼が浴槽に入ったとき、お湯が溢れる様子をみて、ハッと気づいたアルキメデスは、「ユーレカ!」、「分かったぞ!」と叫んだそうです。

←喜ぶアルキメデス
つまり、“何かを考える”とは、「何か」に対して意識がチューニングされている状況だということだ、という話です。 思考とは無意識の中で、問いと答えを繰り返しているプロセス。 その中で、ある課題に対して意識がチューニングされていると、身の回りの全てモノゴトが、すべて問いに対する答えの候補になります。いつでも答えをつかまえられるように「チューニング」しているってことが、何かについて考え続けている、、という状況だと定義できるという解説でした。

頭の中に”問い”がなければ、単なる情報でしかないことが、”問い”を持ち、そこにチューニングさせておくことによって、情報は有用な知識となり、見つけるべき答になりうる、ということです。

確かに何か面白いことはないかと考え続ける芸人さんは、身の回りの全ての出来事がネタにならないかという意識にチューニングされているはずです。芸人さんの生活が、たまたま面白い訳でなく、きっと日常から面白いことを発見し続けるチューニングをしているということですよね。

だから何に対して意識を「チューニング」するのか。 何について”問い”を立てるのか。 それが大事なポイントだということです。

好きなことを仕事にできれば成果はあがりやすくなるはずです。抵抗なくチューニングできますからね。そうすると世の中の全てのことが仕事のヒントに見えてきます。 ネタは漠然とは見つけられません。でも自分でテーマを設定し、そこにチューニングすれば、いろんなことがネタの候補になるはずです。

上司が部下に(或いは誰かを通じて)成果を出させたいなら、「こうしろ、ああしろ、そうじゃない、全然駄目だ、、」などと指導するより、部下の意識を課題に関する問いに「チューニング」させることをしなければいけないということです。そうすれば問題解決の道筋はきっと主体的に見い出しやすくなるのではないでしょうか。

じゃあ、その方法論は? 

2010年12月3日金曜日

【リーダーシップの話】

いよいよ12月ですね。

そんな中、昨日は、コーチングの会社「コーチA」さんからのご招待で、その社長によるワークショップセミナーに行って参りました。 内容は「会社の業績を伸ばしていくために必要とされる組織力の向上とそのためのリーダーシップ開発」に関するものでした。すごく良い内容だったので、別途で、ふれていきたいと思っています。 

その中で、”組織を活性化し、スタッフ一人ひとりの力を発揮させるのは、上に立つ者のリーダーシップの在りよう次第だ”という話がありました。 役職をもつということは仕事をうまくこなすことではありません。組織として成果を出すことに、どれだけ意識的であり、その為に考え、行動し、実際に成果を出してこそのリーダーですからね。

そんなリーダーシップに関する印象的な話があったので紹介します。 それは、、、

「リーダーは、どんな場合においても、どんな状況におかれても説明責任、自責、“主体者であること”を手放してはならない」という話です。 

往々にして言いたくなる言葉、、「それは、あの人が悪い」、「それは組織のせいだ」、「それは環境が悪いから」、「社員の実力がないから」、「あそこが機能してないから」、「わかってくれないから」、、、。 

それを言った瞬間に、他責になってしまいます。 

「組織や環境や実力の問題があること、そんな事はわかってます、問題があるのは当然ですよ。だから、どうすべきなのか。それを考えるのがリーダーでしょ。」、 

「どこも、世の中は理不尽なことばかりです。理不尽しまくりです。当たり前じゃないですか。リーダーはその理不尽にどうやって対応するのか、ということを求められ、期待される存在なんです。」

「まわりが駄目だから、どうせ駄目なんです」、「まわりが駄目だから自分がやるしかないんです」、どちらもリーダーではありません。組織を生かしてこそのリーダーですからね。

「俺は伝えたよ、いつも言ってるよ、あの時そう言ったよね」では駄目なんです。“皆に伝わったこと”が“伝えたこと”なんです。

ここで「やっぱり上が悪いんですよね」と思ったら、それも他責体質なんですよね。

そんな話などを聞いてきました。 続きはまた今度。

2010年11月30日火曜日

【5回の話のおさらい】

さて、前回までの5回、同じような話をしてきましたので、一旦おさらいです。

何の話をしてきたかといえば メディアビジネスに広がるチャンスのヒントのつもりでした。 

【キュレーションの話】
キュレーションというのは、情報やコンテンツを収集し、選別し、それらに「意味づけを与えて」、共有するという概念です。 情報過多で価値観が多様化し、メディアフリーな時代だからこそ、メディアに求められる役割は高まっていると考えます。 これまでのM-ON!のビジネスモデルと親和性の高い「キュレーション力」を意識的に高めていくことによって広がるビジネスチャンスがあるのではないか。 重要なのは“意味づけの付与”です。

【名前をつけてやる】
モノゴトや事象に意味づけし、名前を与え、旗を立てることによって、その事象への支配力を高め、見えない価値を顕在化することが可能になるという話です。 例え実体がなくても、実体が生まれる。これはビジネスで主導権を握るための重要なポイントだと思います。 たかが名前と軽視すべきではないと思います。 ”はじめに言葉ありき”、”名は体をあらわす” ともいいます。

【コンセプトドリブン】
メディア形態によって、もとめられるコンテンツの形態は違います。メディア特性が違えば単純な二次利用はできません。 重要なことは、ターゲットを想定して「伝えたい想い」をコンセプト化して名前をつけ、自ら旗を掲げるということ。 旗のもとにメディア特性にあわせたコンテンツ展開を図ることです。旗というのは、意味をもち、陣地を主張し、人を集め、誘導するシンボルみたいなものです。 

【SUUMOの話】
メディアビジネスの成功において、必ずしも一次コンテンツを購入獲得することが必要条件ではありません。 モノゴトの流れを見極め、ここという場所に旗を立て、陣地を定め、意味づけし、人を集め、情報をマッチングさせながら、付加価値をつけることによって、場そのものを魅力あるコンテンツ化することも可能です。 場が活性化すれば人とコンテンツが自ずと集まってくるはずです。
【大江戸温泉物語の話】
誰が、誰に、何を、どのように伝えるのか、それを練り上げて、シンプルな言葉として集約すること。全体を貫くコンセプトこそが、こだわるべき最重要ポイントだという話です。コンセプトがフォーカスされ深化すれば、自ずと行動のベクトルは定まっていくはずです。

意思をもってビジョンを掲げ、目標を設定し、コンセプトを練り、集約した名前につけて伝えていく。
それを旗として、意味づけし、陣地をつくる。 コアとなる人を集め、シンプルで、一貫して、徹底的なコンセプトを場の特性にあわせたコンテンツやサービスとして展開する。

ここにビジネスを成功に導くための共通モデルがあるように思います。

2010年11月29日月曜日

【大江戸温泉物語の話】

さて、「大江戸温泉物語」です。 先日、子供にせがまれてお台場に行ってきました。行ったことがある人はおわかりでしょうが、江戸の町並みを再現した温泉テーマパークです。入館すると、色とりどり浴衣を選んで着替え、江戸の町人になった気持ちで、非日常的な空間を味わいつつ、くつろぐといった趣向です。









Wikiによると「江戸開府400年にあたる2003年3月1日に開業」、「江戸の町を再現したお台場の新名所として、気軽な温泉施設として老若男女から人気。」とのこと。 行ってみるとファミリー層のみならず客層として韓国ほか外国からの若いカップルやグループも目立っていたのも印象的でした。

2007年からは経営破綻した地方の温泉旅館を買収したりして大江戸温泉物語的な個性的な施設を全国展開。2005年に40億円の売上が2010年には160億円まで成長しているとのこと。 経営は、かの有名人、キョウデンの橋本ひろしさんなんですね。 橋本ひろしさんはSOTECを上場させ、長崎屋を再生し、SHOP99を育成した人です。

詳しい経営状況等はわかりませんが、そこに成長のポイントがあるとすれば、やっぱり、まずコンセプトが立っているからではないかと思います。「誰に、何を、どのように提供するのか」、それを言葉に練り上げてユーザーに向けて分かりやすく発信しているということです。

コンセプトにこだわっている様子は、当初2億円かけた設計図で建築確認まで行ったのに、それを破棄して設計会社を変えてやり直したってエピソードからも窺えます。当初プランは江戸の町に囲まれた30いくつの露天風呂があり、そこで男女が一緒に水着で入浴するというものらしかったです。「江戸で水着はねえだろ」ってことですよね。

客観的にみれば施設としてあるものは、大小各種のお風呂、マッサージ、ゲームコーナー、食事場所、お土産店、リラックスルーム等々であり、他の大型温泉施設と大きく違いはありません。でも「大江戸温泉物語」の訴求ポイントは温泉ではないですよね。あくまでも江戸をテーマにした非日常空間、物語を楽しんでもらうことだと思います。

コンセプトを練り上げ、言葉にすると展開方法や企画も自ずと焦点が定まってきます。遊び処では手裏剣投げを設置しようとか、食事処には江戸前寿司屋台を出そうとか、イベントは大道芸にしようとか、宿泊施設は「伊勢屋」って名前にしようとか、WEB情報はかわら版って呼ぼうとか、、。 そういった運営工夫の積み重ねがスキルとなり、ノウハウとなります。他に転用できるフォーマットができます。

-*-*-*-

コンセプトという言葉を検索してみました。
「概念、観念」、「全体を貫き、骨格となる発想や観点、思想、理念」。
「基本アイデアが、消費者にとって意味を持つ形に落とし込まれたもの、購買理由となるもの」、「アイデアを、消費者に向けた言葉に練り上げて表現したもの」、「コンセプトとは売りたい「もの」を売れる「商品」に変えるためのツール」、、等々。

今後、メディアが様々な新しいトライをしていく中でも、常にコンセプトのありようが重要であると思います。 それを短く言い表せる言葉にすることです。そこから手段がみえてきます。

意思をもってビジョンを掲げ、目標を設定し、コンセプトを練り、集約した名前につけて伝えていく。少なくとも、それがなければ成功の必要条件が整わないと感じます。

2010年11月25日木曜日

【SUUMOの話】

最近、あらためて存在を知った不動産・住宅サイトにSUUMOっていうのがあります。
http://suumo.jp/





ゼクシィ、HotPepper、とらばーゆ、fromA、ケイコとマナブ、じゃらん、エイビーロード、カーセンサー、R25、リクナビ、、、。 共通点がわかりますよね。 全部リクルートのブランドです。 

そんなリクルートの昨年度の業績をみてみました。人材派遣業などを除く単体で売上3189億円、営業利益584億円、18%の利益率です。 ちなみに他のメディア関連をちょっと調べてみると、電通は売上1兆6000億円あって営業利益373億円(2%)。東宝が売上2017億円、営業利益191億円。 フジテレビは5800億円の売上で営業利益92億円(2%以下)。 TBSの放送事業は2000億円の売上で100億円の営業赤字でした。 いかにリクルートの利益率が高いかがわかります。

ではリクルートっていったい何をやっている会社なんでしたっけ? 広告代理店? 出版業?、情報サービス業? 「業界地図」をみると、いたるところにリクルートの名前がでてきます。既存の業種でくくることが難しいからなんでしょうね。 

生活を軸に個人と企業の情報マッチングをしているという見方もできます。進学して、就職して、転職して、結婚して、家を買って、子供が生まれて、子育てして、旅行して、車を買って、、など、生活局面で必要となる情報にフォーカス、深堀りして、テーマをもとに集約した情報をコンテンツ化して発信しているということです。

SUUMOもそうです。“あなたの住活を応援する不動産・住宅サイト”と称して情報を集約、発信して人と企業を集めています。 考えてみれば、本来、お金にできるコンテンツ(マンション)をもっているのはマンションデベロッパーです。 そのマンションを買いたいというユーザーがいます。 両者だけでも取引は成立するはずなのに、なぜかSUUMOはその間に立って市場を仕切っている立場に立っています。

マンションデベロッパーに対しては、「うちはマンション購入見込み客の有用な情報をもってますよ」といい、ユーザーに対しては「うちは販売されるマンション有用な情報をもってますよ」 といいます。 両者はそれだったらと言って自分の情報をSUUMOに提供します。結果、有効なマーケティングデータは全部SUUMOに蓄積され、それを使ってSUUMOはマンションデベロッパーに対して販売支援、コンサルを行い、ユーザーに対しても、購入ノウハウを提供することができます。クライアントもユーザーも喜び、SUUMOも儲かります。 


つまり自らのミッションをかかげ、SUUMOという名前のもとで、キャラクターをつくり、WEBサイト、フリーペーパー、モバイル、アプリ、“SUUMO住宅展示場”、“SUUMO LAND”というイベントまで多メディアに展開し、クライアントにも、ユーザーにもソリューションを提供しているということですよね。

ここでSUUMOはメディアとして機能していますが、コンテンツそのものを買いに行っている訳ではありません。メディアに徹して人とコンテンツが自然に集まるシステムをつくっているということです。

ここにメディアビジネスモデルの一つの可能性が広がっていると思いませんか?

2010年11月22日月曜日

【コンセプトドリブン】

放送コンテンツの二次利用がなかなか進まない中で、ちょっと前には、「これからは二次利用を前提にしたコンテンツ制作をしなければいけない」などとよく言われていました。
インターネットのインフラが進展する中で権利の問題からコンテンツがなかなか流通しないということが背景にあったと思います。

この意味は「放送番組をつくるときに、ネットでの映像配信や海外番組販売できるように権利処理をしておこう」の意味に近かったように思います。要するにコンテンツの多メディア展開というのは、同一コンテンツを複数の伝送路で流して収益を多様化しようみたいな話でした。

しかし、そもそもメディア形態によって、もとめられるコンテンツの形態は違います。最も重要なのは、ターゲットを想定して「伝えたい想い」をコンセプトとして名前をつけ、自ら旗を掲げるということだと思います。旗というのは、意味をもち、陣地を主張し、人を集め、誘導するシンボルみたいなものです。

まず旗をかかげて、放送番組ではこう表現する、イベントではこう表現する、アプリではこう表現する、紙媒体ではこう表現する、こういうグッヅにして物販する、こういうコミュニティに仕立てる。 旗のもとに人が集まり、コンテンツが集まり、場が生まれ、様々な商取引が生まれる。

わざわざコンテンツを買ってこなくてもコンセプト自体をコンテンツとして機能させる方法論があると思います。

-*-*-*-

コンセプトを表現するのに名前が重要です。ただ逆にいえば名前が秀逸であればコンセプトも秀逸であるはずです。名は体を現すといいますからね。だからやっぱり名前は重要だと改めて思います。

人から紹介してもらったお馬鹿サイト「エア新書」ってのがあります。 http://airbook.jp/ 極端にいえば秀逸な新書名があれば、中身なんてどうにでも考えられそうという見本ですね。

2010年11月18日木曜日

【名前をつけてやる】

先週発売された「Sporitiva」(スポーツ誌)が、イチロー選手の衝撃的なインタビューを掲載しているらしいです。 それは「実はもう朝にカレー食べてないですよ」と3年前から朝カレーを食べていないことの告白です。 カレー業界では「朝カレー伝説」が根底から覆される一大危機との話も。http://sankei.jp.msn.com/sports/mlb/101112/mlb1011121246004-n1.htm
Sportiva イチロー 10年物語 (SHUEISHA MOOK) (単行本・ムック) / イチローの画像

さて、そんな中で今回は名前の話をしようかと思います。 

多くのモノゴト、事象には名前がついています。 え、当たり前じゃんと思いますか? よく考えれば違いますよね。 名前がついていないものは認識できないから全てのモノゴトには名前があるように勘違いしてしまうだけです。 

Wikiによれば「名前は元々あるものではなく、人間がそれを個別に把握すべき対象として認識した際に与えるものであり、どの範囲で名前を与えるかは人間とそれとの関わりによって変わる。」とありました。

例えば、、

◆日本語には赤い、青い、黒い、白いという形容詞があるのに、「緑い」って形容詞はないですよね。きっと昔の日本人には青と緑の色の識別が曖昧だったに違いありません。今でも信号の色も緑なのに青っていいますし、“緑が青々している”って変な言葉になっています。

◆90年代まで日本にはストーカーはいませんでした。シツコイ人、気持ち悪い変質者はいたかもしれませんがストーカーっていう言葉はありませんでした。 言葉で特定されて事象が顕在化しました。

◆この前、読んだ本によると日本のバブル時代には“バブル”って言葉はメディアには出てこなかったと書いてありました。(確かにバブルがはじけるとわかっていたらバブルにはなりません)

名前のないモノゴトや事象に名前を与え、意味づけし、旗を立てることによって、その事象への支配力を高め、見えない価値を顕在化することが可能になります。 例え実体がなくても、実体が生まれます。これはビジネスで主導権を握るための重要なポイントだと思います。

例えば、、

◆昔から朝にカレーを食べていた人はいたのかもしれませんが「朝カレー」って言葉はありませんでした。しかし「イチローが朝にカレーを食べて成果を出している」、「専門家が朝にカレーは脳を活性化するといっている」などから、いつの間にか誰かが「朝カレー」っていう名前をつけて、「受験生は朝カレー」、「朝カレーでダイエット」、「病気にならない朝カレー生活」など、どんどんモノゴトが展開、ハウス「めざめるカラダ朝カレー」、CoCo壱番屋もレギュラーメニュー化、雑誌やWEBで特集続々、周辺にビジネスがひろがりました。

◆血液型分析っていう名前をつけ、旗を立てることによって、欧米には存在しない日本固有の血液型市場が生まれています。

◆モーニング娘っていう名前のもとでは、メンバーが総とっかえになってもモーニング娘というビジネスが成立します。

◆クラプトンは昔から、アコースティック中心のライブをしていましたが、MTVはアコースティックなライブイベントに「アンプラグド」の名前をつけて、意味付けし、ビジネスとして成功しました。

これって、もはや必ずしもContent is Kingの発想ではないんですね。

そういえば、名前っていえば、領土問題では島に日本名をつけたり韓国名をつけたり中国名をつけたりして主導権争いをしていますよね。 ゲド戦記では、魔法使いは自分の真の名をあかしません。命とりになるからです。 そんなことを考えるとスピッツの91年のアルバムタイトル、「名前をつけてやる」も意味深です。



2010年11月15日月曜日

【キュレーションの話】

昨日は東京ビッグサイト開催の三国志イベントやら同人誌即売会などを覗いてきました。どちらも、でっかい会場に若い人達がわっさり。 有名人が出演しなくても人は集まり、企業が介在しなくても大きな商取引が行われているんですね。

さて、今回は「キュレーション」の話です。 この言葉、知ってますか? ちょっと前からメディア業界などで、流行り始めているキーワードです。 また胡散臭いな」という方もいるかもしれません。

でも、この“キュレーション”という概念も、戦略を考えるにあたって結構、重要な言葉だと思ってます。なので、今後、いろんな角度からこの説明を試みていきたいと考えております。

大まかにいって「キュレーション」とは、

情報やコンテンツを収集し、選別し、それらに「意味づけを与えて」、共有するという概念
です。この“意味づけの付与”というプロセスが重要な特徴なんですね。

例えば、美術の展覧会においての「キュレーター」の仕事は、“展覧会のテーマを考え、参加アーティストやアート作品を選択し、しかるべき展示会場に、好ましい効果を発揮するようにアート作品を設置し、カタログに文章を執筆すること”のようです。

コンテンツを集めて並べて共有するだけでは、キュレーションとは言いません。 コンテンツに対する意味づけの付与がないからです。 多くのVOD事業者は映画や音楽コンテンツを所有者から買い集めて配信して儲けようとしています。成功するためにはキラーコンテンツを多く揃え、サービスブランドを認知させて人を集めようとします。結果、コンテンツコストとプロモーションコストがかさんで、なかなか儲かりません。 これは単なるコンテンツアグリゲーターなんですね。

「あなたが好きなものを、好きなときに、どこからでもアクセスできますよ」とその利便性をアピールします。しかし、もはや受け手は、そこに高い価値を感じなくなっているように思います。 一生かかっても消化できない情報過多の中で、どうやって本当に必要な情報に触れられるのかに興味は移っていくのではないでしょうか。

ユーザーが接触するコンテンツを選択するために必要なのは網羅されたリストではなくて、意味づけ、文脈によってフィルタリングされたメニューではないでしょうか。

-*-*-*-*-*-*-

でも、この「キュレーター」って放送局や雑誌などのメディアの仕事において重要な概念だと思います。 例えば “コンセプト、テーマを考え、出演者をブッキングしたり、好ましい効果を発揮するように番組を演出し、編集し、しかるべき時間帯に編成し、番組情報を発信する”ことなんですよ、、とか。

メディアはこの「キュレーション力」を意識的に高めていくことによって広がるビジネスチャンスがあるんではないのかと感じています。 重要なのは“意味づけの付与”です。
「Curation Is King」

2010年11月11日木曜日

【やってる感の話】

最近、テレビ番組をみたり、社内のミーティングで話している中で、よく「○○感」というワードが出てくることに改めて気づきました。 「仕事やってる感」とか「汗かいてる感」とか。

この「やってる感」のニュアンスを考えるに「客観的にみた結果や事実とは無関係に、本人的には、あたかも成果を出したり、汗をかいているようにふるまいアピールしている様子」とでもいいましょうか。

なぜこの「やってる感」的な表現が多用されるんでしょうか? 難しく考えると、社会が専門性を基盤とする知識社会に移行しているので、目に見える体を動かす作業だけでは成果を得にくくなっていることが背景にあるのかもしれませんね。

実は世の中、本当に成果に直結している仕事っていうのは意外と少ないと思っています。 会議に出たり、プレゼン資料をつくったり、情報を集めたり、接待していることが本当に成果につながっているのかどうかは、多くの場合、はなはだ疑問ですからね。

しかし、組織に属している人は、たいてい自分の成果を誰かに説明する責任を負わされています。社長だって取締役会に、取締役だって株主に対して説明しなければいけません。 「成果はありませんでした」ではすまされません。それじゃ普通は降格、減給、クビになってしまいます。 従って誰しもが、成果が出ていることをアピールするか、少なくともその努力していることを可視化しないといけません。

そうすると各人がアピールするために、「やってる感」を出したくなりますよね。
(ただし中には「やってる感」であることも気づかず、本当に仕事をしていると思っている人もいるかもしれません。忙しいと充足感や達成感が得やすいですからね。 特に歳をとって家庭に見放されたりすると間がもたなくなりますから例えば会議ってのは間がもって最高です)

さて、提案型営業としては、そんな実体とは無関係にみえる「○○感」も、うまくソリューションしてお金にしたいですね。

先のとおり、誰でも成果の説明責任を負っているが普通です。企業のプランナーやプロモーター、広告代理店の担当者も同じです。自分の仕事がどのように成果に結びついたか、上司やまわりに説明しなければいけません。そうなると、本当に成果があったかどうかというより、いかに自分が貢献した成果をわかりやすく伝えるかも重要なことになります。

うちは実質的な成果につながるソリューション提案もしますが、クライアントの担当者様の「仕事やっている感」もソリューションもいたしましょうと。

その為には、クライアントのことを全部、考えて、一から十まで、やってあげるのではなく、あえて最後の一押しを残しておくとかの工夫も必要かもしれません。パッケージ提案ではなく、オーダーメイド感を演出し、相手の「自分で考えた感」、「汗をかいた感」を充足させてあげるとか。

それで「いやぁ、○○さん、さすがっすね。最高っす」みたいに褒め上げて悪い気はしないでしょうからね。


数字で説明できるのもポイントが高そうです。例えば効果はともかく「WEBのPV数がこんなにありました!」のほうがなんとなく具体的な成果っぽい感じがありますからね。 「もろもろスケジュールを調整して、あっちこっちでメディアに出演して、告知して、もう忙しくって大変っすよ、、」という「汗をかいている感」も重要そうです。 稼動が伴うと社内の会議でも報告にちょっとしたトラブル話などでストーリーがつけやすく「頑張ってる感」が出しやすそうですからね。

2010年11月5日金曜日

【コミュニケーションのスキル】

昨日はコミュニケーションスキルに関する研修をオブザーバー参加してきました。

会社というのは人が集まって、何かを決めて実行していく「概念」なので、人と人とのコミュニケーションが重要なのはいうまでもありませんよね。 そしてコミュニケーションというのは、話し手と受け手がいて初めて成立します。なのでコミュニケーションに責任を負うのは、決して話し手だけではなく、話し手と聴き手の双方なんですね。 お互いを尊重し、その姿勢をみせなければ良いコミュニケーションは成立しません。

そんな観点で、会社のコミュニケーションを観察すると、この重要な点に対して意識的でない方が、ちょっと多いんじゃないかと気がします。 それは、いかに相手の話を聞こうとしているか、理解しようと努力しているかというコミュニケーションの姿勢です。 受け手の聴き方が、話し手の話に大きな影響を及ぼし、話の質を大きく左右することを研修で改めて認識しました。

会議室の日常でみかける風景、あくび、居眠り、携帯いじり、途中退席、常習遅刻、、これらは全て、「私はあなたことや、あなたの話には関心ありません」というメッセージを受け手が発信しているのと同じことです。 他の人が報告してるのに、話し手に視線も向けず、うなずきなども一切しないのは、「あなたの話は理解できない、賛成できない」、というメッセージと同様の効果を演出しているということになります。 (確かに話が本当につまらなくて、理解出来ない上に長いときもあるので、話し手のほうも、受け手のメッセージにも敏感であるべきかもしれませんけどね)

「いやいや、それは、わざとやってる訳じゃないよ」と言う方は、その身体メッセージを改める努力をすべきです。 「そんな細かいことは本質じゃないでしょ」と思う人はその認識を改めたほうがいいと思います。 それがコミュニケーションの本質なんです。 わかっていながら社内だけでやっているとすれば、社内コミュニケーションを軽視していると宣言していることになります。 聞く環境を整えずに、いい報告だけを求めるのは虫が良すぎる話ですよね。

2010年10月28日木曜日

【ほめて育てる話】

さて、そんな「ほめる」について参考になりそうなネタを探していたら、面白いのが出てきたので紹介しますね。

1.イルカの調教
調教を受ける前のイルカは当然、芸はできません。でもイルカは遊び好きなので、人が寄ってくるといろんなことをするそうです。例えば、突然ジャンプする。調教師はすかさず「フィッシュ!」といって餌を与える。 またジャンプすると「フィッシュ!」。 これを繰り返しているとイルカはジャンプすれば餌をもらえるとわかるそうです。

次はジャンプしても餌を与えない。イルカは、餌が欲しくて狂ったようにジャンプをする。でもやらない。何かの拍子にイルカが回転する。そうすると「フィッシュ!」、回転すると「フィッシュ!」。

そうするとイルカのすごいのは、これを繰り返すうちに、何か新しいことをすると「フィッシュ!」がもらえることに突然気づくらしいんですって。 そうするとイルカは、飛んだり、回ったり、尾ひれで立ち上がったりと、創造的な動きを始めるという話です。 「フィッシュ!」というのがイルカにとっての「承認」で、調教師は、そうやって進むべき方向性を示していくんですね。



2. マウスの実験
次は、マウスの実験の話です。
T字路になっている箱にマウスを入れて、アメとムチの効果を調べようという心理学の実験です。
次のような2つの箱を用意して、それぞれにマウスを一匹入れます。
マウスA…T字路を左に曲がるとエサ。右に曲がると電気ショック。
マウスB…T字路を左に曲がるとエサ。右に曲がると何もなし。
するとA,Bどちらのマウスも実験を続けるうちに、毎回左に曲がるようになります。
そりゃ餌がありますからね。

でも、Aの箱の電気ショックを強くしたらどうなるか。マウスは、たまに右にまわったときに、激しい電気ショックを食らってしまいます。そうすると、やがてマウスは電気ショックを恐れて動かなくなってしまうそうです。エサがあるのにとりにいかなくなるということです。 マウスにすれば、訳もわからないままに強烈なショックを食らうわけですから、やる気を失う気持ちもわかります。

 

3. 陸上部のカラクリ
これは、ある本に中学校に陸上部の名物コーチの話として紹介されていた話です。そのコーチ(女性)が赴任した学校の陸上部はことごとく飛躍的に成績を伸ばしていったそうです。 ずっと不思議に思っていた生徒が卒業後、「なんで先生が教えると記録が伸びるんですか」と聞いてみたところ、「実は練習でタイムを計るとき、スタートからすこし間をおいてストップウオッチを押していたのよ」という回答が!。
生徒達は練習毎に伸びていく自分の記憶に驚きながら、そのまま成長して、全国大会に出場してしまったという話です。 こんなところに、何かヒントがあるような。。

上司も褒め下手、部下も何か褒められ慣れてない人が多い感じがします。
褒めると、「あ、褒め殺しだ」と思ってしまう風土になると寂しいですもんね。
もちろん叱ることも大切です。でも常に電気ショックばかり強くしてもしょうがないので、たまには上司の粋な計らいで部下に成功体験をさせてあげることも重要かもしれませんね。

2010年10月25日月曜日

【めちゃモテ委員長】

うちの子供の話によると最近、小学校には学級委員長とか生徒会長っていないらしいです。なんか寂しいです。

昔、委員長というと、品行方正な優等生で、杓子定規に偉そうな事をいうイメージもあって、ちょうど「ちびまる子ちゃん」の丸尾くんみたいに皆からうるさがられたり小馬鹿にされることも多かったように思います。でも、そんな丸尾くんがスケープゴート的な役割を果たしながら永沢くんや悪ガキ達も活性化してたのかもしれないですね。いろんな人が集まってこそ、クラスって楽しく、いろんな事件がおきたり、いいことがあったりして学んで成長していくのかもしれません。

また子供たちにとっては重要なことも、俯瞰してみればたいした話じゃないことも多いです。そして、そういう状況をメタ認知し、見守っている存在として戸川先生のキャラが存在しているんですね。

さて、そんな委員長つながりの「めちゃモテ委員長」なんですが、めちゃモテ委員長というのは、小学生の女の子に人気のキャラです。
ビジネスでクライアントに対する提案営業を考えていくときに「めちゃモテ委員長」の役割を果たす営業企画機能がますます重要なんじゃないか、という議論がありました。

事業環境が厳しさを増す中、企業も効果、リターンが不明確なものには、益々お金を出さなくなっています。そんな中で、営業がクライアントから信頼を得て、お金をいただかないといけません。それは、恋愛において、相手に気に入られて、付き合って、愛情の証(信頼とお金) を得ることと同じではないかと。いきなり相手の前に行って、「好きです、付き合って下さい」って言っても、相手も困まるよねと。普通は「気持ち悪っ」って引くよね。にも関わらず、「駄目っすか、僕じゃ駄目っすか、何が駄目っすか」と詰め寄よっても、ますます嫌われちゃうよね。もちろん、こんなナンパパターンでも、たまには暇を持て余していたり、自暴自棄になっている女性がつきあってくれるかもしれないんで、行動することは大事なんだけどね。

一方で、熱意がないと伝わらないというのもあるよねと。「おい、あのコにアタックするっていってた件、どうなった?」と聞くと、「いやー当たってみたんすけど、反応悪いんっすよね。」って。でも実際は、友達に聞いたメールアドレスに「デートしてくれませんか」ってメールしただけで返事がないってことかもしれません。いや、そりゃあそうでしょうと。

恋愛だとモテるためにいろんな工夫や努力をします。営業も同じじゃんと。めちゃモテ委員長は、恋愛に悩む友達に様々なアドバイスをしていきます。ファッション、コーディネイト、おしゃれアイテム、デートプラン、など。 相手を振り向かせるために、流行りのデートスポット、プラン、アイテムの組み合わせを考え、実際、自分でちょっと試してみながら、実戦で使えるようにしていく、こういう努力が必要ですよね。

勝つためのデートプランは何か。めちゃモテコーデ、めちゃモテアイテムを開発しつつ、早々に、めちゃモテ相談ができるよう頑張っていかないといけません。



2010年10月21日木曜日

【会議について】

会議やミーティングは会社の中で、多くの時間を費やし、だからこそ付加価値を生むべき場です。有意義にもなるし、ムダの温床にもなります。なので、以下のようなことを意識していけるとよいですね。

1.会議は、中身を濃くしてバッと短時間で終わらせていこう!


特に会議は始まりと終わりが重要だと思います。ダラダラだ目的や成果に無自覚な会議ほど無駄なことはないですよね。少なくとも会議はゴールを意識してサクサク、ちゃっちゃと進めた方がいいです。 

少なくとも終わりの時間は決めて守る習慣は有効だと思います。先進企業は1時間の会議をいかに45分にするかの話をしているようです。余った時間で短かいミーティングを必要メンバーだけで、数多く開くほうが効率的ですしね。リーダーの皆さんの手腕が問われます。 

2 会議は楽しく、前のめりなものにしていこう!

せっかくの会議がまじめで暗くては、面白くありません。報告のパフォーマンスにも気を配りたいです。ライブがつまらなかったら出て行きたくなるのと同様、話がつまらなかったらiPhoneやケータイで内職したくもなります。瞼も重くなりがちです。 なので事実をとうとうと報告するのではなく、伝えたいことを伝わるように話さないと面白くないですよね。

会議を有意義なものにするために、皆がレアで新鮮な情報をいかに多く持ち寄れるかが重要だよ、という指摘もあります。特にクライアントに対してソリューションを提供していくビジネスにおいてはビジネスの鍵になりますからね。

だから会議の中身を濃くするためには、各人の会議の前後の行動や意識が重要で、その上で本番の臨む前のめりな姿勢が必要だと思います。音楽のライブでも同じですよね。アーティストは日頃の練習や入念なリハ、ライブ後の反省会なくして、いいライブは継続できません。(もちろんアジェンダ馬鹿になってもいけません。その場その場のアドリブも会議を盛り上げるキーですから)

3.褒めるポイントを探そう!

また、会議で褒めることの大切さについてもふれたいと思います。失敗や悪い面は、比較的、誰でも指摘できます。「それは違うんじゃないか」、「それって何の意味があるんですか」、、、会議でよく出るワードです。喧々諤々だったらいいんですが、会議はつるし上げる場所じゃないですからね。 

むしろ、成果や良いことをいかに具体的にほめることができるかが重要であり組織のモチーベションを高める有効な方法論であるはずです。そこで上司の実力も問われます。 会議は皆の前で褒めることができる絶好の機会です。(ちなみに褒める:叱る の黄金比率は5:1らしいですよ) 叱るときはYes,But、、、のアプローチを意識するといいのではないかと思います。


2010年7月5日月曜日

【ドラッカーのマネジメント】

将来に向けてビジネスを継続していくためには、常にしつこく新しいトライアルが必要です。しかし、そもそも新しい事業というのは簡単に、立ち上がったり、収益の柱になる筈もありません。もがき苦しみ、幾多の失敗を重ね勝ち取れるか否かというものと考えています。 ユニクロの柳井さんでさえ1勝9敗って言ってます。 ドラッカーもイノベーションの成功確率はせいぜい10%であり、だからこそ成功した1つで残り9つを埋め合わせなければいけない、、と言っています。 新しいトライについては、できない理由を論評していても仕方ないので、出来る方法を考えることに集中しなければいけないと思います。

そんな中、昨今、ドラッカーが「もしドラ」などで再びクローズアップされています。
僕も、昔から、ことある毎にドラッカーの「マネジメント ~基本と原則」という本を読み返してきました。考え方の基準として、ゆるぎない本です。1975年の本ですが、全く古くなっていません。




マネジメント - 基本と原則 [エッセンシャル版]



.

2010年6月3日木曜日

【アップルとグーグルのモデル】 

メディアプラットフォームの構造の中で、どこで収益を確保するか?


参考)日経ビジネス
http://business.nikkeibp.co.jp/article/tech/20100531/214693/?P=1



企業アップルグーグル
収益源企業消費者企業消費者
コンテンツ・サービス(消費者の著作権使用を許諾)コンテンツ購入フリー成功報酬無料
プラットフォームレベニューシェア(対音楽事務所、ソフトウェア会社)スマートでオープンな検索サービス、各種無料アプリ
ネットワークレベニューシェア(対通信事業者)
ハードウェアスマートな機器(iPhone、iPod、iBookなど)(Android[アンドロイド]、各種アプリのAPI利用料無料)インターネット接続可能端末/Android端末の購入

Copyright(c) 2010 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved.

2010年6月2日水曜日

【iPadから始まるメディア変化?】 

iPadにまつわる、あふれる報道や記事をみて、また関連する大量のツイートをみる中で、このトレンドが大きな動きにつながる確信めいたものも感じています。 大昔、ウォークマンがこの世に出たときも、その社会的現象が、いろんな本などで哲学的にも論考されていました。そしてウォークマンから始まったポータブルデバイスによる音楽再生の動きは、インターネットの登場と容量あたりのメモリ価格の劇的低下によって、音楽ビジネスのあり方を根底から変えてしまいました。

今回のiPadは、そんな変化の始まりにすぎないのではないかと思います。メディアのあり方は、これまでの伝送路別、デバイス別という概念から、いよいよ解き放たれ、ユーザーインターフェイス上にフィルタリングされ、キュレーションされたコンテンツをどう届けるかという話になっていくと思います。

雑誌がアプリ化していくのと同様、音楽の配信のあり方も第二段階を迎える可能性もあるのではないかと思います。 iTunesによってアルバム単位から楽曲単位に解体された音楽は、アーティストアプリやマルメディア的なアルバムアプリの形をとりながら、もう一度、アーティストの世界観やアルバム単位の世界観を表現できる場をもつのかもしれません。

しかし、それが、音楽産業の復活につながるとも限りません。もはや、そういった世界においては、楽曲をプロモーションするレーベルも、メディアも役割を変えていかざる得ないのではないかと思います。

そういった中で音楽産業は、どんな手をうっていくのか、おぼろげながら、その前提は見えてきているのではないかとも感じています。ただし、それは、これまでのビジネスのあり方とはアプローチが違う可能性が高いです。

たくさん音楽が売れないとミュージシャンは儲かられないよ、それじゃ、音楽産業が成立しないよ、、という前提枠組み自体も古い概念になってしまうかもしれません。

参考)日経ビジネス
「いままで音楽産業と呼ばれていたものは、ニセモノを売って稼いでいたんです。」 http://business.nikkeibp.co.jp/article/manage/20100528/214648/



.

2010年5月28日金曜日

【事象をどう捉えて対処するか】

今週は、いろんな人とメディアの方向性に関して意見交換をたくさんしました。今日はiPadの発売日、ここから、どういう未来にかわっていくのか、一つの節目になるように感じています。

iPadやgoogle関連の動きや論考はメディア上にあふれているので、これが、一時的なブームに終わるもの、根本的な地殻変動につながるものを見極めながらメディアのあり方も考えていかないとと思います。今、みえている事象は、根本的な変化の氷山の一角なのかもしれません。

緊急で重要なものは、やるしかないですが、緊急ではないが重要なものも、早く手をつけていかないと手遅れになります。 緊急だが重要でないことを、いかに効率よくさばくか、やめるか、、という意識的判断と行動も重要です。




2010年5月21日金曜日

【空気感共有型な?】

ソニーとGoogleのTV協業の話が新聞でに出ていました。今後、こういったソニーのネットーワーク戦略がいろんなデバイスを含めどのように進展行くかということもウォッチしてめていきたいと思います。

メディアビジネスも次なる飯のタネ、成長ポテンシャルある領域の探索や仮説を議論していく必要があると思います。ユーザーに伝える手段としてのリアルな場の可能性についても検証し、トライアルする価値がある領域であると考えています。

バーチャルネットワーク上で形成されたコミュニティをリアルな場で可視化し、つないでいく。コミュニケーションの場であり、情報を伝播する最初の場として位置づけていくことも可能性があるのではないか。

放送は、一度に多くの世帯に配信可能ですが、ながら見であったりして、集中視聴している人ばかりではない数を含めた視聴率、視聴世帯が数値としてでてきます。

しかしリアルな場に集う人は、より濃い体験を共有します。アトモスフィアービジネスモデルというか、ユーザーエキペリエンスというか、、。 そのコアの中に刺さる体験、伝播ポテンシャルある中身を提供できれば、そこからの再発信の力の伝播力は、バーチャルネットワークを通じてバンっと広がっていく可能性もあります。

今リアルな場は、ライブでも、コミュニティのオフ会でも、試聴会でも、上映装置があれば3D含む上映会など、いろんなことが考えられます。さらにUstreamやTwitterなど手軽なインフラで、リアルタイムに世界中に配信することさえ可能です。

そういった取り組みと放送や通信やネットや他媒体を活用し、マルチに展開することで伝播する力をさらに高めることは可能ではないかと思います。

メディア単独の力で、伝播する時代から、ユーザーの発信する力をも活用して、コンテンツや情報を伝播させていくこと、そういう仕掛けづくり、プロデュース能力こそが、競争力の源泉になるのではないか、そんな中に一つのチャンスの可能性があるのではないかと思います。

2010年5月14日金曜日

【メディアが向かう方向性は?】

近い将来のメディアが向かう方向性について少し雑談しました。
一つは、iPad的なものがこれから普及していくことは間違いなく、そうなると手元に、マルチタッチでこれもんで、これもんのデバイスが身近なものになっていきますよねぇと。教科書なんかこれでいいですもんね。

そういった手元のWindowにはクラウドに繋がったあらゆる情報があつまってくる。テキストデータとリッチコンテンツが統合されて、分解可能なコンテンツは分解されてユーザー主導で集約されていきます。

一対多のマスメディアに対して多対多のソーシャルメディアの存在感も益々高まっていくはずです。

雑誌など紙媒体メディアの付加価値も、やりようで、どーんと出てくる可能性もありますねという話も。

本の電子化がどのくらいの早さで進行するのか予測できませんが、角川会長は出版はグーテンベルク以来の「クラウド時代」が2014年には来るといってます。既にアメリカではほぼ全出版社がGoogleの電子書籍化を承認。

日本ではまだスマートフォンもニッチで、現在所有するのは男性が6%、女性が2%。しかしあるスマートフォンの購入意向調査によれば男性の30%、女性の16%が「購入を検討中」と答えたらしい。キャバクラでツイッターが浸透しはじめ、いよいよキャズムを超えたというという噂も聞きます。 

そんないつか確実にやってくる近未来に向けてメディア会社は、どんな立ち位置で存在感を出していくのか? 

【ユーザー発信力を活用するメディアのあり方?】

ソーシャルメディアが進展し、iPadなどの新しいユーザーインターフェイスが出てくる中で、情報伝播のあり方も変化し、メディアのあり方も問われてきます。

少し前のマスメディア全盛期には、1対多の情報伝播が主流であり、例えば、クライアントが情報を多くの人に効率よく伝えるためにマスメディアは有効に機能しました。

しかし、ユーザーが発信する力をもち、それが相互にリンクしはじめ、且つテレビCMを飛ばすような状況になり、クライアントの商品やHP自体のメディア価値が高まっていくと、テレビメディアの情報伝達機能だけにお金を払うということが相対的に価値低下を始めていると考えるべきかと。

そんな時代にクライアントは何を望むのかといえば、「伝播力あるコンテンツ」を望むのであり、それを効率的に伝播させる仕組みを提供できれば価値を認め、お金を払うというこではないかと思います。

メディアは自分のメディア力のみならず、リンクできるユーザーの発信力を含めて、伝える力をもつこと。そして、その総体としての「メディアパワー」売っていくことが重要なんじゃないのか、、、なんて議論もしています。

【意見の対立の必要性】

「自分と違った考え方、形を知ること、それが相対的に自分の考え方や形をつくることにつながるんだよ」みたいな話を伺いました。「あえて対立した意見をつくることも時に必要ですよね、」みたいな話です。そうしないと組織は活性化しません。 

意見の対立の重要性はドラッカーさんもよく言っています。「優れたマネージャーは、あえて意見の対立をつくりだす」。。云々。 
参考→  http://www.r-agent.co.jp/guide/drucker/20100405_1.html

マネジメント - 基本と原則 [エッセンシャル版]

実は今売れている『超訳 ニーチェの言葉』でもニーチェさんが言っています。

「安定志向が人と組織を腐らせる 反対意見や新しい異質な発想を恐れ、自分たちの安定のみに向かうような姿勢は、かえって組織や人を根元から腐らせてしまい、急速に頽廃と破滅をうながす。」


議論すること、意見が対立することは悪いことではなく、必要なことだと賢人たちは言っています。肝に念じないとですね。

超訳 ニーチェの言葉

2010年5月13日木曜日

【映画館の活用とか】

先日、映画館へのデジタル配給をやっている部署の方と打ち合わせをしました。

映画館というインフラを映画上映以外に生かそうという動きがでています。音楽ライブなどを伝えるリアルな場として映画館のを活用する可能性が考えられます。

先日のAKB48の企画も大いに盛り上がったようです。
http://www.livespire.jp/movie/akb48.html

ネットワーク上のソーシャルコミュニティは今後も進展していくでしょうが、そういったコミュニティの交流の帰結点として、そしてリアルの思いな共有の場も活用しながら、点ではなく、線としての取り組みをプロデュースできるとよいなと思います。

MTVの「Unpluged」というコンセプト のごとく、多対多のソーシャルネットワークコミュニティ時代の「XXXX」だよね、、、というコンセプトが打ち出せればいいですね。

2010年4月8日木曜日

【モチベーション要因】

世の中の会社は、どこも、いかに社員のモチベーションを高めていくかということが、大きなテーマになっています。会社というのは人の集まりであり、その付加価値というのは、人の思考と行動でしか高めることができないからです。情報化が進み、マニュアル的ものづくりの世界から、個々に依存する知識社会に移行していくと、ますますそうなります。

モチベーションを専門に扱うコンサルティング会社も多々あります。組織分析、研修、戦略立案、ツールの提供など、、様々なサービスがあります。そんな会社の一つにリンクアンドモチベーションという会社もあります。

先日、そのリンクさんのコンサルさんと別件で会った折、雑談的に会社としてモチベーションを高めていく要因とはなんでしょう、と尋ねてみました。そうしたところ、4っあります、、とのことでした。

それは、1.目標設定要因、2.活動内容要因、3.組織風土要因、4.職場環境要因とのこと。

1.目標設定要因
これは、そもそも会社として何を目指し、何を目標にしているのか、その内容と、その周知理解度、そういうことだと思います。自社ブランドや商品サービスへの知名度や信頼性があるか否かによってプライドも違うでしょうし。

2.活動内容要因
会社がどんな事業内容なのか、ということでしょうか。社会に対して、どんな貢献をしているのか、派手な業界なのか地道な業界なのか。そして仕事内容はなんなのか? そういうことでも影響はありそうです。

3.組織風土要因
社内に一体感があるかないか。活気はあるか。革新・創造的な風土があるか。また社内に魅力的な人が多いか否かも大きいと思います。

4.職場環境要因 
働く環境に適した施設設備やスペースがあるか?制度待遇 評価や報酬、教育などの制度に納得感があるか。そんなことでしょうか。

リンクさんのHPにもそんなようなことが 

2010年3月30日火曜日

【制約条件と創造性】

先般はチャレンジの活性化に向けて「どんな仕掛けや工夫をしていけばいいんだろうね」と飲みの席で話題にしてみました。すると「何でもいいから、やってみろ」といわれると、かえって何をやっていいのかわからなくなる面があるんじゃないですか? 特に若いスタッフに対しては、“何をすると、会社の何に貢献するのか”、そのつながりを是非、わかりやすく説明して欲しいです」みたいな話もありました。

確かに「とにかく何でもやってみろ」という上司の顔色を見ながら、何が正解が考え始めてしまって、勇気をもって、とにかく提案してみると、「そうじゃないだろ」と正しくつっこまれる。。。 ちょっとめげてしまう。 そんなことを考えると、チャレンジや企画提案を活性化していくために、前提や制約条件をちゃんと示す、ということも重要なのかなと思います。

最近どっかのテレビで、こんな実験を紹介していました。

10人ぐらいに人に「とにかく怖いリンゴの絵を描いてください」と指示して、どんな絵を描くかという実験です。 そうすると半数以上の人達が怖い顔をした「りんご」の絵を書きました。個性があまり出なかったということです。

ところが一方「リンゴに顔を描いちゃだめ」という制約条件を付けるとそれぞれの人がユニークな怖いリンゴ、例えばこんな所にあったら怖い、こんな雰囲気じゃ怖い、などのバラエティに富んだ絵を描いた、っていう話です。

制約条件があるからこそ、創造性が発揮される。音楽でも多くのポップスの名曲の歌詞は曲先。曲先どころか、オケ先というものもあるとか。実はビジネスも制約条件こそが創造力の源泉なのではないでしょうか。 とすれば環境や予算で制約条件があったって、それをむしろクリエィテビティ発揮のまたとないチャンス!って捉えるポジティブシンキングもできそうです。



2010年3月24日水曜日

【企画力勝負の時代】

NHKで放送された「激震 マスメディア」という番組を巡って、メディアのあり方についての意見交換がされました。 番組だけでなく、それと連動した形でのツイッターの盛り上がり、及び、Ustream上で行われた「裏議論番組」など、多面的な観点で、新しいメディアの方向性を考えさせられました。 http://www.nhk.or.jp/special/onair/100322.html

伝える手段が多様化しています。もはやマスメディアは、情報を操作することができなくなってきました。いくらマスメディアとして”公正な立場で”見解を発信しても、個人から、それ以外の膨大な意見や情報が発信されるからです。 そして、もはやマスが専門家で、個人は素人であるという図式もありません。 各カテゴリーの専門家、アーティスト、知識人含め多くのプロフェッショナルが、ネットをつかって発信しているからです。

放送をしているからといってユーザーが見にきてくれるような牧歌的な時代は終焉しつつあります。いい企画を発想し、発信し、伝えていくことが重要になっています。

もちろんツイッターなど新しいメディアも一つの手段に過ぎません。大事なのは、企画です。そして、これからの企画で競争力となってくるのが、個人の企画力と発信力であると感じています。

NHKの議論でもマスメディア側で出演していた、おじいさん達は、自分達をテレビ、新聞として位置づけ、そこからネットと融合どうのこうの、という発想をしていました。もはや伝送路が重要な問題ではありません。 送り手のコスト構造が問題でもなく、ユーザー側の視点に立って、何を伝えるかということにフォーカスすべきです。

そんな中で、ツイッターやUstream的なサービスは、ひとつ象徴的なツールとして、これから普及進展しく可能性を感じています。 Googleは、これまで、ネット上の情報を集め、本や映像のアーカイブを集め、地図を集めてきましたが、これから「今」を集め始めるはずです。 今を発信する場所を導線としてユーザーが動きはじめる可能性が高いと思います。テレビ視聴についても、ライブイベント参加もそうです。 

議論は後でいいので、まずツイッターやUstreamについて、まずはがんがん使って、判断力をつけていくべきだと思います。伝送コストゼロで、いますぐ世界に発信できます。

2010年3月18日木曜日

【個人の企画提案力と発信力の重要性】

ますます真剣に考えないといけないと感じるのが個々人の企画提案力と発信力の重要性です。

メディアの多様化、個人の価値観の変化が進む中で、一方向で、発信者の匿名性が高いマスメディアは構造的な変革を迫られているように思います。 最近の東洋経済ではマスメディアの窮状が、週間ダイヤモンドでは、FREEの可能性についてが特集されていました。













ネットを前提として、新しいサービスも日々生まれています。

★チャットルーレット
チャットルーレットの話を聞きました。17歳のロシア高校生が3日でつくったサービスが、いまや3000万人ユーザー、企業が争奪戦を繰り広げているとか。36億円の値段がついたとも。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100315-00000043-scn-int
http://zen.seesaa.net/article/141088570.html
http://techwave.jp/archives/51416884.html

★Ustream
Ustreamも、Twitterなどと連動しながら、新しいコミュニケーションの可能性を広げつつあります。 QT「2月28日に都内で行われた東京マラソンで、iPhoneを使い、走りながらUstreamなどで映像をライブ配信するランナーが登場し、注目を集めた。テレビ中継とは異なる市民ランナー目線の映像のライブ感にTwitterなどで応援が盛り上がり、「まるで一緒に走っているかのようで感動した」といった感想も寄せられた」


http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1002/28/news002.html
http://b.hatena.ne.jp/articles/201003/957
http://b.hatena.ne.jp/articles/201003/945

アイデアがあれば、個人の発信力がマスを超えることも、ありえる時代になってきました。逆に言えば、アイデアや企画力がなければ、放送免許を持っていても、それが競争力に直結しない状況に至ったという認識をすべきではないでしょうか? 放送から、話題を広げていく、という流れから、コミュニティで話題を広げて放送につなげる、ということかもしれません。

★Twitter
ツイッターに限らずソーシャルネットワーク上には、ユーザーの生の声、音楽ユーザーのライフスタイルが垣間見える情報があふれています。 直接、ニュートラルにアクセスできる手段でもあります。 もちろん、そこには大きなリスクも存在します。そのことを、ちゃんと理解し、対応できる、リテラシーを高めていかなければいけません。
http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20100312/213314/

リスクがあるから、やめておこう、ということではないと思います。 ユーザーに向き合い、そのニーズ、ウォンツを誰よりも理解し、期待を超えるサービスを行っていくときソーシャルメディアにちゃんと、向き合わないという選択肢はないのではないかと考えます。ここでも重要なのはチャレンジ、試行錯誤だと思います。できる限りリスクを想定しながらも、まず一歩を踏み出すスピード感が重要だと感じます。
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/JIREI/20100305/345451/


.

2010年3月3日水曜日

【成果について、ドラッカーの話】

組織における成果の出し方は千差万別ですが、これもドラッカーという人の考え方を紹介したいと思います。

        ①ミッションを理解する。  ②強みを活かす。  ③集中する。 

①ミッションの理解
そもそも成果とは何かといえば、ミッションを達成すること、と定義づけられるのではないかと思います。 ミッションとは「任務や使命」とも訳されますが、このミッションの達成を通じて組織に貢献し、その結果、社会に貢献することにつながっているべきものです。

自らのミッションを理解せずに成果を出すことはできません。何が期待されているのか、何を自らの使命と意識するのか、を明確に意識することが重要です。逆にミッションが明確であれば達成方法は個人の裁量に任せられる部分も大きくなると考えます。 ミッションは多くの場合、定量的な目標のことではありません。前回紹介した例で言えば3人目の石工は”石を切ること”ではなく、”地域の心の拠り所としての教会を建てること”をミッションとして仕事をしていました。

もし組織や自分のミッションがわかならければ、上司と相談しなければいけません。「私のミッションは何でしょうか」。 そこが成果を出すための出発点です。

②強みを活かす。
ミッションが理解できたら、次は、それを成果に結びつける行動を開始しなければいけません。 成果の出し方、アプローチに絶対的な決まりはありません。ただドラッカーは「強みを活かせ」と言います。これは組織でも個人でも同じです。

人と打ち解けるのが早い人は、それを活かすべきで、プレゼン能力が高い人、ロジック構築力が高い人はそれを活かすべきです。 「弱いところを、いくら改善しても、人並みにしかならない。それでは成果につながらない」というのがドラッカーの示唆です。 口下手の人は雄弁な営業はできないかもしれませんが寡黙で真摯な行動で信頼を得ることはできます。 自分の強みを更に強化し、誰にも負けない秀でた能力を獲得する。それによって初めて大きな成果が獲得できるということです。

組織は、いろんな強みをもった人が集まってこそ、成果が生まれます。皆が同じようである必要はなく、むしろ、違わないといけない、ということです。

但し、自分の強みというのは、往々にして自分では認識できていない場合が多いとも指摘されています。 自分の強みについて、上司やまわりに聞いてみてはどうでしょう。 「私の強みは何だと思いますか?」 意外な答えがかえってくるかもしれません。 そこで絶句されたりするとショックですが。。

上司は部下の強みに焦点をあてて仕事をさせるべきで、部下は上司の強みを活かして、うまくコントロールすることが必要です。互いに弱点を攻め立てあっても何の生産性もありません。

③集中する。
そして最後に大事なことが「集中」です。 ここでの「集中」は精神を集中するという意味ではありません。 ミッションを理解し、強みを認識し、やるべきことを定めたら、それに集中するということです。 やりたいこと、やったほうがいいことは、たくさんあるかもしれません。しかし、成果を出すためには、”集中しなければいけない”、ということです。

ドラッカーは成果を出すことは頭の良さや能力とは関係ない、と言っています。重要なのは”成果を出せる習慣”を持っているか否か。 そして成果を出す習慣で一番大事なことが「集中」です。

「並みのやり方では並みの成果も出ない。新しいことを始めるなら、古いことを捨てなければいけない。 これには勇気と決断が必要である」。。ということです。

会議や問題処理作業に埋め尽くされたスケジールの合間の細切れの時間では大きな成果は出せないと言います。まとまった時間をつくって思考し、行動しなければ、つきぬけた付加価値は生めません。 エジソンは、24時間をいろんな作業に費やしたのではなく、一つのこと
を24時間中、延々とつきつめたからこそ、多くの発明が生まれたということです。

-----------------------------------------------------------------------------------------------------------
ちなみに、ちょいちょい紹介しているドラッカーという人は(検索すればすぐ出てきますが)、経営学の基礎をつくった思想家です。 ちまちました経営書や自己啓発本を読むならドラッカーの「マネジメント」という本だけ読めば十分です。組織と個人のマネジメントのあり方の”全て”が書いてあります。 「選択と集中」の概念も、「目標による管理」の考え方も、50年前にドラッカーが考えたものです。 
マネジメント - 基本と原則 [エッセンシャル版]
最近では「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」というタイトルの本も出てます。
もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら




2010年2月24日水曜日

【モチベーションについて】

どんなに厳しい環境下でも、スタッフがモチベーションを高めながら目標に向けて主体的、積極的に行動していくことが重要です。そんな中で「ターゲットが高すぎるのでモチベーションが下がる」という話もでてくるかもしれません。 しかし、目標の高低とモチベーションの高低に相関関係はないと思っています。

”位置づけ”と”見通し”

以前、人事コンサルさんに以前からの個人的な疑問を尋ねたことがあります。「なぜ同じぐらいの時給で働いているはずなのに、居酒屋によって、スタッフが活き活きして、よく気がつく店と、どんよりとした、感じの悪い店があるんでしょうか?」と。 コンサルさん曰く「2つポイントがあって、その店が、従業員に仕事の”①位置づけ”と”②見通し”を示しているか否かですよ」ということでした。

確かに「とにかく皿洗いをやっておいて」という店と、「キレイな食器でお客様に喜んでもらいたい」、「頑張ってくれたら、次はサラダ担当にするからね」、「将来は自分の店が出せる道もあるよ」という店で、どっちがスタッフが頑張るかは明らかです。

ドラッカーという人の本には次の中世の逸話がのっています。

ある人が工事現場の脇を通りかかり、汗を流して働いている数人の石工に「何をしているのか」と問いかけました。

1人目の人はこう答えました。
「これで食べている」。

2人目の人は手を休めずこう答えました。
「国で一番腕のいい石工の仕事をしている」。 

最後の人は目を輝かせて答えました。
「教会を建てているんです」。 


人によってモチベーションの拠り所は様々でしょうが、自分のやっていることを、どう位置づけるのか、意味づけているのかのかはモチベーションに大きく関わる問題であると思います。

阪神タイガースの話

では、メンバーの仲がよくて、職場が和気あいあいとしていればモチベーションが高まるかといえば、そんなこともありません。もう一つの話です。

2001年まで4年連続最下位の阪神タイガースでは当時、敗戦翌日のチーム内は「あのコースを打たれちゃ、しょうがない」、「その投手のフォークのキレじゃ、追加点は無理だよ」という慰めあいの言葉ばかり。試合中に誰かが失敗しても、例え、それが怠慢プレーであったとしても「ドンマイ」と声をかける。 自分の失敗に保険をかけるために互いが馴れ合い、目標達成の意識が著しく欠けていたということです。 

こういう停滞した雰囲気を一掃し、各々の意識を目覚めさせ、士気を向上させたのが星野監督で、2003年に18年ぶりの優勝に導きました。

皆の仲がよくて職場が和気あいあいとしている、というとよいことばかりとは限りません。それが馴れ合いの結果であるとすれば改善すべきです。上司や部下が自分の逃げ場所をつくっておくために、真剣に議論せず、明確な答えを出さず、厳しく接していないのであれば、いずれ組織は腐っていきます。そういう状態になってはじめて、目標未達成も引き金になって、モチベーションも下がっていくということだと思います。

CFR Clear、Fair、Reasonable )

昔、ある偉い方が幹部会議で毎回次のようなことを言っていました。「モノゴトを判断し、進めていくときに、それが“Clear、Fair Reasonable”であるかどうかを常に問うことが重要だ。略して“CFR”。 

モノゴトをクリアに理解されないままで進めるべきではありません。誰かにやれと言われたのでやっていますというのは思考停止です。平等である必要はありませんがフェアであるべきです。リーズナブル(理にかなっている, 筋道がたっている)な判断であるのかを常に問うべきです。そして、それをスピード感をもってさばいていく。

どんなに目標が高かろうが、厳しかろうが、明確で透明性がある合理性なアプローチをとリ続けていれば、組織は腐りません。 「とにかくやれ」という不明確で、不明瞭で非合理的な指示こそが、やる気をそぐと思います。

これは上司も部下どちらか一方の原因ではありません。 「とにかくやれ」という上司も悪いですが、「わかりました」と素直に従う部下も悪いということです。それを改善していくために、会議のあり方や意思決定のプロセスの改善が必要です。

-------------------------------------------------------------
星野さんの話は、以下の中に話があるらしいです。(読んでません)

迷ったときは、前に出ろ!

http://www.utobrain.co.jp/review/2002/121600/


.

2010年2月12日金曜日

【カネがなければ知恵を出せ】

昨今、メディア業界、あまりいい話は聞けません。電通さんの売上もテレビ、雑誌中心にがんがん落ちて、営業利益も前年度半減になっています。 http://www.dentsu.co.jp/ir/index.html
音楽ソフトも前年割れ、音楽配信も伸び悩みです。当然音楽業界全体のお財布も寂しくなります。 http://www.riaj.or.jp/data/index.html 

しかし「世間は不況だといって自分まで不況だと考える必要もなく」、過度に暗くなる必要もありません。とりあえず命にかかわる問題がないことだけでもこの上のない幸せです。 
先を心配してもしょうがないので、体力があるうちにコスト効率を高め、ソリューション力をつけて、新しい収入源を獲得し、メタボ体質を脱却し、スピード感ある筋肉質な経営体制をつくる、そんな、またとないチャンス到来ともいえます。

「やったほうがいいこと」にはお金は使えなくなり、「やらないと駄目なこと」、「絶対やるべきこと」にしかお金と人を使えません。 お金を使うことに緊張感が必要になります。多少不便なことが起こります。失うものもあると思います。目の前のチャンスを逃すかもしれません。 これまでと同じやり方に固執できないかもしれません。

でも与えられた条件の中で、やるしかありません。お金がない前提でも、知恵と工夫で成果は出せます。人のお金をふんどしに相撲をとる、他社と一緒に費用半分で同じことをやる、広告出稿はやめてお金のいらないクチコミマーケティングにトライする、高いお店の接待はやめて安くてうまい焼き鳥屋を開拓する、急ぎのタクシーをやめるために会議や仕事の時間をちゃんと管理する、一つのイベントをマルチに展開する、、等々、これまでやれてないこと、できてないこと、つきつめてトライしていなかったこと、チャレンジすべきことが必ずあります。 

個人の観点から言えば、お金をもらって楽しいだけの仕事ができるはずもありません。選べない上司や限られたリソースなどいろんな制約条件の中で、成果をあげるからこそ給料がいただける訳です。 そんな苦しみの中でも人に貢献できるからこそ、楽しく充実した気持ちになれるということだと思います。

我々の給料は最終的にはユーザーさんから頂いているという認識をすべきです。組織が悪い、上司が悪い、部下が動かない、予算がない、待遇が悪い、など社内的な問題はユーザーには関係ありません。お金を出してくれるユーザー一人一人に喜んでもらうために、どんな価値をお返しできるのか? それを真摯に考え続けるべきです。

江戸時代の浮世作者であり商人でもあった井原西鶴は言っています。「金がなければ知恵を出せ 知恵がなければ汗を出せ」と。 幸福論のアランは言っています。「悲観は気分、楽観は意志」だと。 ニーチェは言っています「脱皮できない蛇は滅びる」。



2010年2月4日木曜日

【時間資源と会議成果】

以前、会社経営にとって重要なリソースはヒト、モノ、カネです。そして経営とは、そのリソースをどう調達して、どこに配分していくかの意思決定の総体であるとお話しました。

会社が変化をしていくときには、この意思決定のあり方の重要度が大きくなります。多くの物事をスピード感をもってロジカルに決め、着実に実行していく必要があるからです。

ロジックや数字よりも、コンセンサスや個人の思いや義理人情に重きがおかれ、その結果、「言った、言わない」の議論で時間を費やし、コンセンサス醸成にかなりの時間を割くことになると意思決定のスピードが遅くなります。ロジックとプロセスの共有が希薄なため、ブラックボックスが増え、しかも決定事項はファジーになりがちです。

先回ご紹介の大曽根語録にあるとおり「上司がファジーだと、部下はビジーになる」事態が多発します。

-*-*-
個人にとって最も有限で重要なリソースは「時間」です。ビルゲイツにも我々にも1日24時間というのは平等に与えられています。成果を生むも生まないも時間の使い方次第です。

その意味で、個々人が何に時間を使っているかということに対して、意識的であるべきです。どういう成果に結びついている時間なんだろうか?と常に問うべきです。 更に特にマネジメントにたずさわる人は部下の時間の使い方にセンシティブでなければいけないと思います。

コンセンサス社会では、会議が多く、長くなりがちです。意見は言い合いますが結論はあいまい、個人的な感想は多いですが、実体的な課題解決策の提案は少なくなります。会議の目的と内容と仕切りを見直し、成果の出る会議を増やすべきで、成果のない会議にとられる時間と頻度は削減すべきです。特に物事を決めない会議で時間を奪われるのは、大きな損失です。

少なくとも会議で皆が集まるとすれば、そこで会社の課題や問題点が抽出され、共有化され、「誰が、何を、いつまでにやるのか?」ということを一つ一つぶつけて、都度都度で判断し、そのプロセスを透明化することが、意思決定の品質を高め、スピードを速め、人を育て、組織力を高めることになると思います。 それが会議議長やマネジメントの役割です。

ロジックや環境が変化していけば一旦下した判断もかわるかもしれません。でも、それは当然のこととして許容すべきだと思います。全てが把握できるまで判断しなければ、何も決まりません。(但しギャンブルではないのでロジックなくして判断だけを迫るのは、ビジネスとしては許容されません) 。 その意味でも決定プロセスの透明化は重要です。

-*-*-

本質的な付加価値は社内、ましてや会議室の中にはありません。外からもってくるものです。
人に会う、本を読む、資料を調べる、現場をみて感じる、ユーザーとふれる、一人で考える、、そこに時間を割かないと成果は高まらないのではないでしょうか?

「会議を渡り歩いて仕事をしているつもりになるな」です。

フルスピードで考え行動しなければいけないときに、ムダな会議への出席は時に暴力的です。最近出た本で「吉越式 会議」というのを読みました。吉越さんというのは元トリンプ社長で19年連続で増収増益を達成した人です。 なぜそれが出来たのか、その最大要因は「会議」にあったと言っています。 会議のレベルが高まれば、経営のレベルも高まるはずだと。

意思決定の質を高める方策として「会議のあり方」見直しは管理職を中心としながらも全員で意識すべき重要課題ではないでしょうか? 簡単にはかわらないかもしれません。でも、どう改善すべきか、考えていきたいと思います。



2010年1月26日火曜日

【ソニーの大曽根語録】

経営には逆風がつきものです、メディア業界においても大手の地上波局、広告代理店などが苦しんでいる中で自分たちに何ができるのか、、と控えめ、後ろ向き、に考えるひともいるかもしれません。「時間が足りない」、「お金がない」、「クリエイティブ力が足らない」、「マーケティング機能がない」、「プレゼン力がない」、「分析力がない」、「マネジメント力が足りない」、「クライアントに入りこめていない」、、、などなど、できない理由は際限なく出せます。 

「もっと新しい技術や世の中を研究すべきだ」、「今の事業だけでは食っていけない」、「まだ、やり方はあるはず」、「そのやり方で勝ち目はあるんですか」、、など個人的見解や楽観的な期待、悲観的観測や他人事のような批評もいくらでもできます。

しかし重要なことはその次に続く問い 「So What?」です。
「だから、あなたは、どうすべきと考えているんですか」、「何を行動しているんですか」ということです。 意思と行動にしか価値はありません。それを集約して明確化することが重要です。「それは上の人が考えることだ、他部署のことは私には関係ない」、、という考えの方は成果をあげるのが難しいのではないかと思います。

先日NHKで「若者よ 心をぶつけろ~演出家・蜷川幸雄 格闘の記録」という番組をみました。蜷川さんが無名の若手俳優と劇団を作り、若者たちを追い詰め、厳しく指導し、旗揚げ公演に向けての真剣勝負に密着したドキュメンタリーです。 その中で、蜷川さんがパイプ椅子を投げつけて、若手に言った言葉が印象的でした。 「なんで売れているジャニーズのほうが、お前らより努力しているんだよ!」

どうすれば成果を獲得できるのかをつきつめて考えず、大事な行動を後回しにして、それでも疑問なく1年後も給料をいただけると考えているとすれば、相当の「大企業病」に蝕まれているかもしれません。 

■ソニーの大曽根語録

そんな中、ソニーでウォークマンやディスクマンの開発設計を指揮し、生産戦略の責任者としてソニーの全盛期を支え、ソニーの現場から慕われ、活気ある風土をつくったコアメンバーの大曽根さんの本が売っていたので読みました。

急ぎの仕事は忙しいヤツに頼め―ソニー元副社長・大曽根幸三の成功金言53 (角川SSC新書)

「会議を渡り歩いて仕事をした気になるな」、 「プロは乾いたタオルからでも水を絞る」、「やる気のあるヤツは可能性から発想するが、いくじのないヤツは不可能から発想する」、「ブレストは結論がでるまで帰るな」、「できないと言うなら、できるやつと変えるだけだ」、、、そんな大曽根語録が解説つきで書かれています。




←こんな人です。駄洒落好き。








我々はつきつめた議論をしているでしょうか? 無理だと思われていることをあきらめずに説得し、部下を励まし、まわりと協力し、しつこく議論し、めげずに頑張らなければ成果はでません。 「こんなもんでいいか」で人に感動を与えることも、共感を得ることもできません。

「出来ない理由や出来なかった言い訳をクドクド聞いても時間の無駄だ。あらかじめ言い訳集を用意して番号をつけておくから、言い訳があるなら番号で言え」。大曽根さん会議で使っていた「言い訳集」もその本にのっていました。

------------------------------------------------------------------------------------------
「大曽根語録」抜粋

●社内ニーズを吸い上げすぎてはヒットせず
諸品知識や現場を熟知しない上司は思いつきで勝手なことをいう。

●困難は可能なうち、不可能は割り切れ
できないことの議論は不毛。できることに集中し、解決策をもつけろ。

●プロは難しいことをわかりやすく説明する。
中途半端にしか理解していない素人の説明は聞くだけムダ。

●三日坊主は4日目には開き直る。
根性のない人間は、言い訳も多い。

●ヨットは逆風でも進む。
世間が不況だからって、なぜ自分たちまで不況だと
思わなければならないのか。

●絞った知恵だけ、付加価値が生まれる。
商品企画の際には、2日でも3日でもテーマについて徹底に
考えされることが重要だ。

できない理由は、できることの証明だ。
なぜできないか具体的な理由を浮き彫りにする。
ヒットは無理難題の賜物。

●目標は単純明快に。
いろんな機能がついていると一見便利なようだが、
かえって顧客層が絞れずに売れない。

プロは乾いたタオルからでも水を絞る。
素人が無理でも、プロには知識と経験がある。方法はある。

●急ぎの仕事は忙しいヤツに頼め。
優秀な人間に仕事が集まる。暇な人間は後でやろうとほっておく。

●小心者ほど言い訳がうまい。
気の小さな人間や本質をわきまえてない者ほど、よくしゃべる。

●やる気のあるものは可能性から発想する。執念のない者は
 不可能から発想する
できないやつには、その人を活かせる別のポストを探してやる。

●上司はファジーだと、部下はビジーになる。
定見がなく防波堤にならないから下がてんてこ舞いをする。

●部下は上司の思うとおりには育たず、上司のやるように育つ。
部下も子供も口で諭して育つなら苦労はない。上司の言うことは
聞かないがやることは、ちゃんと真似る。

●山より大きなイノシシなど出たためしはない。
先の心配ばかりしてもしょうがない。命をとられる訳ではない。
世の中、そんな大したことは起こりはしない。
選手を励ますネアカな監督こそ組織には必要。

ブレーンストーミングは目標達成までやれ。
具体的なテーマでブレストをやる。結論がでるまで帰らない。

●情報は意思決定できる人に与えよ。
アクションにつながらない情報提供は時間のムダにしかならない。

100回の講釈より1回の成功体験。
小さいことでいいから、ちゃんと目標を与え、達成する喜びを体験させれば部下は伸びる。

無理をしてでも良循環に入れ。
業績が悪化したときは、無理矢理にでも軌道修正して良循環に持ち込む。

他社の動きを気にするのは負けのはじまり。
ト ップを目指すべき。自信をもてるような努力をすべき。

信用は蟻の一穴から崩れていく。
つい見過ごしてしまう小さな部分が新しい発見にもつながるが、
とんでもない被害にも及ぶことがある。

.

2010年1月18日月曜日

【ロジックと戦略】

■「Twitter」

前回はTwitterについてお話しました。しかしTwitterは単なるツールです。それを活用するもしないも中身次第です。大学研究員や経営者、会社員、高校生などで数十万単位の”フォロー数”をもつ個人も多数存在します。企業だからといってユーザーが増える訳がありません。

危険なのはTwitterがはやっているから、とりあえずうちもそこで何かやっておこうか、、という考え方です。伝える中身と発信する個々人の情熱やクリエィティビティがなければ、寒いことになるのは目に見えています。

しかし、だからTwitterのことを知らなくていいということは話が違います。Twitterは単なる象徴です。メディア環境の変化を知らずしてビジネスはできないのではないかという話です。

前回もふれたとおり、10年ちょっと前には影も形もなかったGoogleやYouTubeやTwitterなどツールが急激に浸透しています。電波の希少性を前提に競争力を保ってきた放送モデルは崩壊しつつあります。

■「FREE」

週末「FREE」というビジネス本を読みましたAmazonランキング総合3位、ビジネス書で1位の本です。日曜の日経新聞の書評でも紹介されていました。

フリー~〈無料〉からお金を生みだす新戦略

いくらコンテンツホルダーが抵抗しようとも、デジタル化されたコンテンツはいずれ無料化の方向への圧力がかかってくる。そんな中で、どこからお金を生み出すモデルが考えられるのかという話が展開されています。現在の地上波デレビが無料モデルです。我々は視聴料をテレビ局に支払わない代わりに購入する商品の中で、テレビ視聴料を間接的に負担しています。もちろんGoogleにもお金を払ってません。しかしGoogleは莫大な利益を稼いでいます。どうしてでしょうか?

課金モデルや広告モデルだけがビジネスモデルではありません。どこで儲けるのか効率的なのか? ゴールドラッシュで確実に儲けたのは、金を掘った人ではなく、ジーンズメーカーなど周辺ビジネスでした。 海外アーティストの中では、CDをライブ興行のプロモーションツールと位置づける例もでています。1円パソコンはなぜ成立しているんでしょうか?

■ロジックと戦略がなければ収益化できない。

ロジックや戦略だけでは、「ヒットコンテンツ」は生まれません。「ヒットに方程式はない」という言葉もあります。コンテンツへの理解と愛情、情熱があって初めてヒットが生まれる可能性がでてきます。自分が信じなければ感動を人に与えることはできません。

しかし「ヒットコンテンツ」があったとしても、もはやロジックや戦略がなければそれをお金に換えることすらできなくなってきています。 「FREE」の中では有料コンテンツの終焉について、その理由が分析されています。現在、音楽を知る手段は多様化し、情報にお金を払う必要もありません。海外アーティストの今をTwitterで即時に知ることができます。そして新しい音楽を強く欲する若年層の人口が激減しています。そんな中で、もはや感性だけではビジネスにならない時代になりました。 そんな中でメディアの価値は何なのでしょうか? これを真剣に考える必要があります。

会議室の中だけでいくら議論しても、解決策はみつかりません。基本を知らずに、いくらブレストしても付加価値のある答えは出てこないかもしれません。見識ある人に話を聞きにいく必要があります。本を読む必要があります。新しい知識を勉強する必要があります。それらは、全て会社の外から獲得しなければいけません。 会社として感性を大事にしながらも、状況を分析し、ロジックを組み立てていくことが戦略として重要になっていると思います。

忙しく仕事をすること自体に価値はありません。何かを生み出し、世の中に影響を与えることが出発点です。

外海に乗り出す準備は進めないといけません。船に水漏れがあれば塞ぐ必要があります。エンジンがへたっているなら、まずそれを補強しなければいけません。考えることが面倒だから、とりあえず甲板掃除をしときます、というのはもう成立しないと感じております。


.

2010年1月7日木曜日

【メディア形態の質的変化】

2010年が始まりました。

ネット上では10年ちょっと前には概念すら存在しなかった様々な「メディア」が生まれています。BLOG、SNS、You Tube、Twitter、、、などなど。これらは質的な変化を伴いながらその影響力が飛躍的に高まっています。

端末もPCのみならず、i-PhoneやGoogleアンドロイド端末などが多機能化していきます。今後、更にネット対応化が進み、ネット上のメディアサービスや位置情報、個人情報などを相互リンクで活用しながらトータルとしての「メディア化」が進んでいくと思います。 そこではメディアの情報も個人の情報も同等同列に並べられます。当然、企業や政治、アーティストなど個人の広報宣伝手法も質的に変化してきています。

アメリカではオバマ大統領やCNNなどメディアがTwitterを始めて大きな影響を持っていたり、イラクの選挙など世界の情報はマスメディアよりTwitterのが早くなっている状況もあるようです。

日本でも新聞社や経営者、アーティストなどが”個人として”つぶやいています。鳩山首相もTwitterを始めました。今後テレビやライブ中継などでもTwitter的なひろがりと影響力は高まっていくことが予想されます。

http://response.jp/article/2010/01/06/134421.html
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0912/14/news073.html

そんな環境変化を見据えながら変化していく必要があるように思います

個々人の発信力への理解と実行もクロスファンクショナルに議論していくタイミングにきているのではないかと思います。朝日新聞や毎日新聞のTwitterでは、マスメディアらしからぬ個人的な「つぶやき」がかえって共感を呼ぶという事象があるようです。ソフトバンクの孫社長のTwitterをみると企業公式ではない気軽なコニュニケーションと人間がみえてきます。

企業のプロモーション手法も変化していく中で、メディアとして、どういうポジショニングをし、何を武器にして、どう貢献を果たして行くのか/行けるのかを考えないといけないタイミングがきたように感じます。「難しいことは、おいておいて、とにかくコンテンツを制作する、広告出稿する、、」ということだけを考えていては、いよいよ機能しなくなっていくように思います。コンテンツや思いをどう伝播させていくのか。