2010年12月13日月曜日

【エネルギーチャージの話】


さて、前回リッツカールトンの話では、「答え」でなく「問い」を共有する方法論の有効性について、お話しました。リッツカールトンでは、経営陣がスタッフと「最高なおもてなしとは何か」の問いを共有し、追及し続けているということでした。 「問い」によって、皆の意識をチューニングしているわけですよね。 理念やビジョンを共有し、「問い」を投げかけ、スタッフが「主体的に考え、行動する」ようにして組織を動かししていくということです。 

しかし、人が動くからには、そのエネルギーとなるものも必要です。コーチAの人いわく、それが「承認(アクノレッジメント)」だということでした。「ほめる」ことも承認の“方法の一つ”。つまり組織のエネルギー源なんですね。「問い」を渡した結果、相手が「考え、行動したこと」に対して、それが「良いこと」や「感謝したいこと」であれば、そのことを、ちゃんと言葉でフィードバックし、承認してあげることが重要なんです。

いわゆるイルカにおけるFISH!です。そしてFISH!が欲しいのは部下だけではありません。上司でも社長でも家族でも同じです。だからコミュニケーションが組織にとって重要であるということだと思います。

もっといえば「あなたの存在を認識している」というメッセージですら“承認行為”です。人の話をちゃんと聞く、うなずく、声をかける、「あ、髪型変えましたね」、、こんな簡単なことが組織のエネルギーになります。スーパースターでも「今日のステージよかった?」て聞きますよね。そのくらい自分のことはわからないし、不安なものなんですね。 

だからリッツカールトンが掲げている理念、「お客様の名前を添えて、挨拶する」ってのは、最上級の承認行為なんでしょうね。 お客様は、名前を覚えてくれていた、何故か名前を知ってくれている、声をかけてくれる。。たった、それだけで「リッツカールトン、サイコー!」ってなってしまうのかもしれません。

←エネルギー充填中

「俺は人を褒めるなんてことはしねえ、俺の背中を見てくれればいいんだ」、「いわなくてもわかるだろ」的なことは、近代化以前は成立しましたが、もはや駄目なんでしょうね。何故なのかは、またお話します。

そして、”問い”ではなく、“正しい答え”を出してしまう弊害も2つあるようです。一つは“思考停止”を招くこと。カルトな宗教や国、会社などで、よくある話ですよね。 もう一つの場合は“反発”を招くこと。正しさの価値観が違えば、答えの押し付けは反発を強めます。それでも「とにかくやれ」と言えば、「言われたままにやります」という仕事になります。

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良いコーチング本をいくつか読みましたが、その数々のエピソードを読むと結構泣けます。コーチングの話っていうとビジネス上のテクニカルな話に思われるかもしれませんが、実は人の存在価値への承認に関わる根源的でプリミティブなコミュニケーションのあり方の話なんですね。

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