2010年12月16日木曜日

【「問い」と「承認」】

さて前回までで、コーチAさんの話で、組織力を高め成果を出していくために、【「ビジョン」と必要最低限の「答え」を持ち、「問い」と「承認」で組織を動かす】という方法論が有効であるという話をしてきました。

これからの企業というのは、「100人の指示で動く人より、10人のアルキメデスが必要だ」という話なんですね。理念やビジョンを共有し、その為に何をしなければいけないのかを全員で考えることが力になるんです。

キリンビールは、「内向き、上向き、箱文化を脱し、真に顧客本位の会社になる」ことをビジョンとして掲げ、そうなる為にはどうすればいいのか、組織の壁を越え顧客について話す機会や場を徹底的に増やしたそうです。そしてキリンビールは昨年、ビール系飲料のシェアで9年ぶりにトップに返り咲き、日経ビジネスでも、その取り組みが「伸びる会社は全員力」という記事で紹介されました。(この活動にもコーチAがからんでるそうです)

ヨークベニマルというスーパーではマニュアル化で運用改善が図れず、欠品や過剰在庫が日常化。そこで、全員で話し合い「お客様とともに喜び昨日より、どれだけ成長できるか。その為に何をすべきか」という問いを共有することから始め、スタッフが主体的に工夫するようになり、マニュアルでは実現できなかった欠品が解消、運用改善が図られたという話がありました。

特に単純作業ではない工夫が必要な仕事においては、マニュアルやルール、調査資料、データベースを整備するだけでは仕事の品質や効率は上がらないし、リスクの回避もままなりません。 仕事を行うのは人ですから、その人の意識がどこにチューニングされ、どのくらいのエネルギーがチャージされ、積極的、主体的、能動的に考え、行動できるかのほうが重要ということだと思います。

トップが方針説明会をいくらやっても、現場での「問い」と「承認」が機能しなければスタッフのチューニングはできません。トップが「これからは、ユーザー第一主義でいく!」と宣言しても、日常的に管理職が部下に「なんで売上が上がらないんだ!」、「なんで今まで報告しなかったんだ!」、「ユーザーも大事だけど得意先のケアを優先しろ!」などという問いを続ければ、部下は、「手段を選ばず売上確保するにはどうすればいいか」、「ユーザーのことより目先の報告書作成しよう」、「いかに上司に怒られないように立ち振る舞うか」、「どういう言い訳が必要か」ということに意識がチューニングされて顧客第一主義なんて忘れてしまいますよね。

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