2010年3月30日火曜日

【制約条件と創造性】

先般はチャレンジの活性化に向けて「どんな仕掛けや工夫をしていけばいいんだろうね」と飲みの席で話題にしてみました。すると「何でもいいから、やってみろ」といわれると、かえって何をやっていいのかわからなくなる面があるんじゃないですか? 特に若いスタッフに対しては、“何をすると、会社の何に貢献するのか”、そのつながりを是非、わかりやすく説明して欲しいです」みたいな話もありました。

確かに「とにかく何でもやってみろ」という上司の顔色を見ながら、何が正解が考え始めてしまって、勇気をもって、とにかく提案してみると、「そうじゃないだろ」と正しくつっこまれる。。。 ちょっとめげてしまう。 そんなことを考えると、チャレンジや企画提案を活性化していくために、前提や制約条件をちゃんと示す、ということも重要なのかなと思います。

最近どっかのテレビで、こんな実験を紹介していました。

10人ぐらいに人に「とにかく怖いリンゴの絵を描いてください」と指示して、どんな絵を描くかという実験です。 そうすると半数以上の人達が怖い顔をした「りんご」の絵を書きました。個性があまり出なかったということです。

ところが一方「リンゴに顔を描いちゃだめ」という制約条件を付けるとそれぞれの人がユニークな怖いリンゴ、例えばこんな所にあったら怖い、こんな雰囲気じゃ怖い、などのバラエティに富んだ絵を描いた、っていう話です。

制約条件があるからこそ、創造性が発揮される。音楽でも多くのポップスの名曲の歌詞は曲先。曲先どころか、オケ先というものもあるとか。実はビジネスも制約条件こそが創造力の源泉なのではないでしょうか。 とすれば環境や予算で制約条件があったって、それをむしろクリエィテビティ発揮のまたとないチャンス!って捉えるポジティブシンキングもできそうです。



2010年3月24日水曜日

【企画力勝負の時代】

NHKで放送された「激震 マスメディア」という番組を巡って、メディアのあり方についての意見交換がされました。 番組だけでなく、それと連動した形でのツイッターの盛り上がり、及び、Ustream上で行われた「裏議論番組」など、多面的な観点で、新しいメディアの方向性を考えさせられました。 http://www.nhk.or.jp/special/onair/100322.html

伝える手段が多様化しています。もはやマスメディアは、情報を操作することができなくなってきました。いくらマスメディアとして”公正な立場で”見解を発信しても、個人から、それ以外の膨大な意見や情報が発信されるからです。 そして、もはやマスが専門家で、個人は素人であるという図式もありません。 各カテゴリーの専門家、アーティスト、知識人含め多くのプロフェッショナルが、ネットをつかって発信しているからです。

放送をしているからといってユーザーが見にきてくれるような牧歌的な時代は終焉しつつあります。いい企画を発想し、発信し、伝えていくことが重要になっています。

もちろんツイッターなど新しいメディアも一つの手段に過ぎません。大事なのは、企画です。そして、これからの企画で競争力となってくるのが、個人の企画力と発信力であると感じています。

NHKの議論でもマスメディア側で出演していた、おじいさん達は、自分達をテレビ、新聞として位置づけ、そこからネットと融合どうのこうの、という発想をしていました。もはや伝送路が重要な問題ではありません。 送り手のコスト構造が問題でもなく、ユーザー側の視点に立って、何を伝えるかということにフォーカスすべきです。

そんな中で、ツイッターやUstream的なサービスは、ひとつ象徴的なツールとして、これから普及進展しく可能性を感じています。 Googleは、これまで、ネット上の情報を集め、本や映像のアーカイブを集め、地図を集めてきましたが、これから「今」を集め始めるはずです。 今を発信する場所を導線としてユーザーが動きはじめる可能性が高いと思います。テレビ視聴についても、ライブイベント参加もそうです。 

議論は後でいいので、まずツイッターやUstreamについて、まずはがんがん使って、判断力をつけていくべきだと思います。伝送コストゼロで、いますぐ世界に発信できます。

2010年3月18日木曜日

【個人の企画提案力と発信力の重要性】

ますます真剣に考えないといけないと感じるのが個々人の企画提案力と発信力の重要性です。

メディアの多様化、個人の価値観の変化が進む中で、一方向で、発信者の匿名性が高いマスメディアは構造的な変革を迫られているように思います。 最近の東洋経済ではマスメディアの窮状が、週間ダイヤモンドでは、FREEの可能性についてが特集されていました。













ネットを前提として、新しいサービスも日々生まれています。

★チャットルーレット
チャットルーレットの話を聞きました。17歳のロシア高校生が3日でつくったサービスが、いまや3000万人ユーザー、企業が争奪戦を繰り広げているとか。36億円の値段がついたとも。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100315-00000043-scn-int
http://zen.seesaa.net/article/141088570.html
http://techwave.jp/archives/51416884.html

★Ustream
Ustreamも、Twitterなどと連動しながら、新しいコミュニケーションの可能性を広げつつあります。 QT「2月28日に都内で行われた東京マラソンで、iPhoneを使い、走りながらUstreamなどで映像をライブ配信するランナーが登場し、注目を集めた。テレビ中継とは異なる市民ランナー目線の映像のライブ感にTwitterなどで応援が盛り上がり、「まるで一緒に走っているかのようで感動した」といった感想も寄せられた」


http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1002/28/news002.html
http://b.hatena.ne.jp/articles/201003/957
http://b.hatena.ne.jp/articles/201003/945

アイデアがあれば、個人の発信力がマスを超えることも、ありえる時代になってきました。逆に言えば、アイデアや企画力がなければ、放送免許を持っていても、それが競争力に直結しない状況に至ったという認識をすべきではないでしょうか? 放送から、話題を広げていく、という流れから、コミュニティで話題を広げて放送につなげる、ということかもしれません。

★Twitter
ツイッターに限らずソーシャルネットワーク上には、ユーザーの生の声、音楽ユーザーのライフスタイルが垣間見える情報があふれています。 直接、ニュートラルにアクセスできる手段でもあります。 もちろん、そこには大きなリスクも存在します。そのことを、ちゃんと理解し、対応できる、リテラシーを高めていかなければいけません。
http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20100312/213314/

リスクがあるから、やめておこう、ということではないと思います。 ユーザーに向き合い、そのニーズ、ウォンツを誰よりも理解し、期待を超えるサービスを行っていくときソーシャルメディアにちゃんと、向き合わないという選択肢はないのではないかと考えます。ここでも重要なのはチャレンジ、試行錯誤だと思います。できる限りリスクを想定しながらも、まず一歩を踏み出すスピード感が重要だと感じます。
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/JIREI/20100305/345451/


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2010年3月3日水曜日

【成果について、ドラッカーの話】

組織における成果の出し方は千差万別ですが、これもドラッカーという人の考え方を紹介したいと思います。

        ①ミッションを理解する。  ②強みを活かす。  ③集中する。 

①ミッションの理解
そもそも成果とは何かといえば、ミッションを達成すること、と定義づけられるのではないかと思います。 ミッションとは「任務や使命」とも訳されますが、このミッションの達成を通じて組織に貢献し、その結果、社会に貢献することにつながっているべきものです。

自らのミッションを理解せずに成果を出すことはできません。何が期待されているのか、何を自らの使命と意識するのか、を明確に意識することが重要です。逆にミッションが明確であれば達成方法は個人の裁量に任せられる部分も大きくなると考えます。 ミッションは多くの場合、定量的な目標のことではありません。前回紹介した例で言えば3人目の石工は”石を切ること”ではなく、”地域の心の拠り所としての教会を建てること”をミッションとして仕事をしていました。

もし組織や自分のミッションがわかならければ、上司と相談しなければいけません。「私のミッションは何でしょうか」。 そこが成果を出すための出発点です。

②強みを活かす。
ミッションが理解できたら、次は、それを成果に結びつける行動を開始しなければいけません。 成果の出し方、アプローチに絶対的な決まりはありません。ただドラッカーは「強みを活かせ」と言います。これは組織でも個人でも同じです。

人と打ち解けるのが早い人は、それを活かすべきで、プレゼン能力が高い人、ロジック構築力が高い人はそれを活かすべきです。 「弱いところを、いくら改善しても、人並みにしかならない。それでは成果につながらない」というのがドラッカーの示唆です。 口下手の人は雄弁な営業はできないかもしれませんが寡黙で真摯な行動で信頼を得ることはできます。 自分の強みを更に強化し、誰にも負けない秀でた能力を獲得する。それによって初めて大きな成果が獲得できるということです。

組織は、いろんな強みをもった人が集まってこそ、成果が生まれます。皆が同じようである必要はなく、むしろ、違わないといけない、ということです。

但し、自分の強みというのは、往々にして自分では認識できていない場合が多いとも指摘されています。 自分の強みについて、上司やまわりに聞いてみてはどうでしょう。 「私の強みは何だと思いますか?」 意外な答えがかえってくるかもしれません。 そこで絶句されたりするとショックですが。。

上司は部下の強みに焦点をあてて仕事をさせるべきで、部下は上司の強みを活かして、うまくコントロールすることが必要です。互いに弱点を攻め立てあっても何の生産性もありません。

③集中する。
そして最後に大事なことが「集中」です。 ここでの「集中」は精神を集中するという意味ではありません。 ミッションを理解し、強みを認識し、やるべきことを定めたら、それに集中するということです。 やりたいこと、やったほうがいいことは、たくさんあるかもしれません。しかし、成果を出すためには、”集中しなければいけない”、ということです。

ドラッカーは成果を出すことは頭の良さや能力とは関係ない、と言っています。重要なのは”成果を出せる習慣”を持っているか否か。 そして成果を出す習慣で一番大事なことが「集中」です。

「並みのやり方では並みの成果も出ない。新しいことを始めるなら、古いことを捨てなければいけない。 これには勇気と決断が必要である」。。ということです。

会議や問題処理作業に埋め尽くされたスケジールの合間の細切れの時間では大きな成果は出せないと言います。まとまった時間をつくって思考し、行動しなければ、つきぬけた付加価値は生めません。 エジソンは、24時間をいろんな作業に費やしたのではなく、一つのこと
を24時間中、延々とつきつめたからこそ、多くの発明が生まれたということです。

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ちなみに、ちょいちょい紹介しているドラッカーという人は(検索すればすぐ出てきますが)、経営学の基礎をつくった思想家です。 ちまちました経営書や自己啓発本を読むならドラッカーの「マネジメント」という本だけ読めば十分です。組織と個人のマネジメントのあり方の”全て”が書いてあります。 「選択と集中」の概念も、「目標による管理」の考え方も、50年前にドラッカーが考えたものです。 
マネジメント - 基本と原則 [エッセンシャル版]
最近では「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」というタイトルの本も出てます。
もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら