2010年3月3日水曜日

【成果について、ドラッカーの話】

組織における成果の出し方は千差万別ですが、これもドラッカーという人の考え方を紹介したいと思います。

        ①ミッションを理解する。  ②強みを活かす。  ③集中する。 

①ミッションの理解
そもそも成果とは何かといえば、ミッションを達成すること、と定義づけられるのではないかと思います。 ミッションとは「任務や使命」とも訳されますが、このミッションの達成を通じて組織に貢献し、その結果、社会に貢献することにつながっているべきものです。

自らのミッションを理解せずに成果を出すことはできません。何が期待されているのか、何を自らの使命と意識するのか、を明確に意識することが重要です。逆にミッションが明確であれば達成方法は個人の裁量に任せられる部分も大きくなると考えます。 ミッションは多くの場合、定量的な目標のことではありません。前回紹介した例で言えば3人目の石工は”石を切ること”ではなく、”地域の心の拠り所としての教会を建てること”をミッションとして仕事をしていました。

もし組織や自分のミッションがわかならければ、上司と相談しなければいけません。「私のミッションは何でしょうか」。 そこが成果を出すための出発点です。

②強みを活かす。
ミッションが理解できたら、次は、それを成果に結びつける行動を開始しなければいけません。 成果の出し方、アプローチに絶対的な決まりはありません。ただドラッカーは「強みを活かせ」と言います。これは組織でも個人でも同じです。

人と打ち解けるのが早い人は、それを活かすべきで、プレゼン能力が高い人、ロジック構築力が高い人はそれを活かすべきです。 「弱いところを、いくら改善しても、人並みにしかならない。それでは成果につながらない」というのがドラッカーの示唆です。 口下手の人は雄弁な営業はできないかもしれませんが寡黙で真摯な行動で信頼を得ることはできます。 自分の強みを更に強化し、誰にも負けない秀でた能力を獲得する。それによって初めて大きな成果が獲得できるということです。

組織は、いろんな強みをもった人が集まってこそ、成果が生まれます。皆が同じようである必要はなく、むしろ、違わないといけない、ということです。

但し、自分の強みというのは、往々にして自分では認識できていない場合が多いとも指摘されています。 自分の強みについて、上司やまわりに聞いてみてはどうでしょう。 「私の強みは何だと思いますか?」 意外な答えがかえってくるかもしれません。 そこで絶句されたりするとショックですが。。

上司は部下の強みに焦点をあてて仕事をさせるべきで、部下は上司の強みを活かして、うまくコントロールすることが必要です。互いに弱点を攻め立てあっても何の生産性もありません。

③集中する。
そして最後に大事なことが「集中」です。 ここでの「集中」は精神を集中するという意味ではありません。 ミッションを理解し、強みを認識し、やるべきことを定めたら、それに集中するということです。 やりたいこと、やったほうがいいことは、たくさんあるかもしれません。しかし、成果を出すためには、”集中しなければいけない”、ということです。

ドラッカーは成果を出すことは頭の良さや能力とは関係ない、と言っています。重要なのは”成果を出せる習慣”を持っているか否か。 そして成果を出す習慣で一番大事なことが「集中」です。

「並みのやり方では並みの成果も出ない。新しいことを始めるなら、古いことを捨てなければいけない。 これには勇気と決断が必要である」。。ということです。

会議や問題処理作業に埋め尽くされたスケジールの合間の細切れの時間では大きな成果は出せないと言います。まとまった時間をつくって思考し、行動しなければ、つきぬけた付加価値は生めません。 エジソンは、24時間をいろんな作業に費やしたのではなく、一つのこと
を24時間中、延々とつきつめたからこそ、多くの発明が生まれたということです。

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ちなみに、ちょいちょい紹介しているドラッカーという人は(検索すればすぐ出てきますが)、経営学の基礎をつくった思想家です。 ちまちました経営書や自己啓発本を読むならドラッカーの「マネジメント」という本だけ読めば十分です。組織と個人のマネジメントのあり方の”全て”が書いてあります。 「選択と集中」の概念も、「目標による管理」の考え方も、50年前にドラッカーが考えたものです。 
マネジメント - 基本と原則 [エッセンシャル版]
最近では「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」というタイトルの本も出てます。
もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら




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