どんなに厳しい環境下でも、スタッフがモチベーションを高めながら目標に向けて主体的、積極的に行動していくことが重要です。そんな中で「ターゲットが高すぎるのでモチベーションが下がる」という話もでてくるかもしれません。 しかし、目標の高低とモチベーションの高低に相関関係はないと思っています。
■”位置づけ”と”見通し”
以前、人事コンサルさんに以前からの個人的な疑問を尋ねたことがあります。「なぜ同じぐらいの時給で働いているはずなのに、居酒屋によって、スタッフが活き活きして、よく気がつく店と、どんよりとした、感じの悪い店があるんでしょうか?」と。 コンサルさん曰く「2つポイントがあって、その店が、従業員に仕事の”①位置づけ”と”②見通し”を示しているか否かですよ」ということでした。
確かに「とにかく皿洗いをやっておいて」という店と、「キレイな食器でお客様に喜んでもらいたい」、「頑張ってくれたら、次はサラダ担当にするからね」、「将来は自分の店が出せる道もあるよ」という店で、どっちがスタッフが頑張るかは明らかです。
ドラッカーという人の本には次の中世の逸話がのっています。
ある人が工事現場の脇を通りかかり、汗を流して働いている数人の石工に「何をしているのか」と問いかけました。
1人目の人はこう答えました。
「これで食べている」。
2人目の人は手を休めずこう答えました。
「国で一番腕のいい石工の仕事をしている」。
最後の人は目を輝かせて答えました。
「教会を建てているんです」。
人によってモチベーションの拠り所は様々でしょうが、自分のやっていることを、どう位置づけるのか、意味づけているのかのかはモチベーションに大きく関わる問題であると思います。
■阪神タイガースの話
では、メンバーの仲がよくて、職場が和気あいあいとしていればモチベーションが高まるかといえば、そんなこともありません。もう一つの話です。
2001年まで4年連続最下位の阪神タイガースでは当時、敗戦翌日のチーム内は「あのコースを打たれちゃ、しょうがない」、「その投手のフォークのキレじゃ、追加点は無理だよ」という慰めあいの言葉ばかり。試合中に誰かが失敗しても、例え、それが怠慢プレーであったとしても「ドンマイ」と声をかける。 自分の失敗に保険をかけるために互いが馴れ合い、目標達成の意識が著しく欠けていたということです。
こういう停滞した雰囲気を一掃し、各々の意識を目覚めさせ、士気を向上させたのが星野監督で、2003年に18年ぶりの優勝に導きました。
皆の仲がよくて職場が和気あいあいとしている、というとよいことばかりとは限りません。それが馴れ合いの結果であるとすれば改善すべきです。上司や部下が自分の逃げ場所をつくっておくために、真剣に議論せず、明確な答えを出さず、厳しく接していないのであれば、いずれ組織は腐っていきます。そういう状態になってはじめて、目標未達成も引き金になって、モチベーションも下がっていくということだと思います。
■CFR Clear、Fair、Reasonable )
昔、ある偉い方が幹部会議で毎回次のようなことを言っていました。「モノゴトを判断し、進めていくときに、それが“Clear、Fair Reasonable”であるかどうかを常に問うことが重要だ。略して“CFR”。
モノゴトをクリアに理解されないままで進めるべきではありません。誰かにやれと言われたのでやっていますというのは思考停止です。平等である必要はありませんがフェアであるべきです。リーズナブル(理にかなっている, 筋道がたっている)な判断であるのかを常に問うべきです。そして、それをスピード感をもってさばいていく。
どんなに目標が高かろうが、厳しかろうが、明確で透明性がある合理性なアプローチをとリ続けていれば、組織は腐りません。 「とにかくやれ」という不明確で、不明瞭で非合理的な指示こそが、やる気をそぐと思います。
これは上司も部下どちらか一方の原因ではありません。 「とにかくやれ」という上司も悪いですが、「わかりました」と素直に従う部下も悪いということです。それを改善していくために、会議のあり方や意思決定のプロセスの改善が必要です。
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星野さんの話は、以下の中に話があるらしいです。(読んでません)
http://www.utobrain.co.jp/review/2002/121600/
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