2010年11月18日木曜日

【名前をつけてやる】

先週発売された「Sporitiva」(スポーツ誌)が、イチロー選手の衝撃的なインタビューを掲載しているらしいです。 それは「実はもう朝にカレー食べてないですよ」と3年前から朝カレーを食べていないことの告白です。 カレー業界では「朝カレー伝説」が根底から覆される一大危機との話も。http://sankei.jp.msn.com/sports/mlb/101112/mlb1011121246004-n1.htm
Sportiva イチロー 10年物語 (SHUEISHA MOOK) (単行本・ムック) / イチローの画像

さて、そんな中で今回は名前の話をしようかと思います。 

多くのモノゴト、事象には名前がついています。 え、当たり前じゃんと思いますか? よく考えれば違いますよね。 名前がついていないものは認識できないから全てのモノゴトには名前があるように勘違いしてしまうだけです。 

Wikiによれば「名前は元々あるものではなく、人間がそれを個別に把握すべき対象として認識した際に与えるものであり、どの範囲で名前を与えるかは人間とそれとの関わりによって変わる。」とありました。

例えば、、

◆日本語には赤い、青い、黒い、白いという形容詞があるのに、「緑い」って形容詞はないですよね。きっと昔の日本人には青と緑の色の識別が曖昧だったに違いありません。今でも信号の色も緑なのに青っていいますし、“緑が青々している”って変な言葉になっています。

◆90年代まで日本にはストーカーはいませんでした。シツコイ人、気持ち悪い変質者はいたかもしれませんがストーカーっていう言葉はありませんでした。 言葉で特定されて事象が顕在化しました。

◆この前、読んだ本によると日本のバブル時代には“バブル”って言葉はメディアには出てこなかったと書いてありました。(確かにバブルがはじけるとわかっていたらバブルにはなりません)

名前のないモノゴトや事象に名前を与え、意味づけし、旗を立てることによって、その事象への支配力を高め、見えない価値を顕在化することが可能になります。 例え実体がなくても、実体が生まれます。これはビジネスで主導権を握るための重要なポイントだと思います。

例えば、、

◆昔から朝にカレーを食べていた人はいたのかもしれませんが「朝カレー」って言葉はありませんでした。しかし「イチローが朝にカレーを食べて成果を出している」、「専門家が朝にカレーは脳を活性化するといっている」などから、いつの間にか誰かが「朝カレー」っていう名前をつけて、「受験生は朝カレー」、「朝カレーでダイエット」、「病気にならない朝カレー生活」など、どんどんモノゴトが展開、ハウス「めざめるカラダ朝カレー」、CoCo壱番屋もレギュラーメニュー化、雑誌やWEBで特集続々、周辺にビジネスがひろがりました。

◆血液型分析っていう名前をつけ、旗を立てることによって、欧米には存在しない日本固有の血液型市場が生まれています。

◆モーニング娘っていう名前のもとでは、メンバーが総とっかえになってもモーニング娘というビジネスが成立します。

◆クラプトンは昔から、アコースティック中心のライブをしていましたが、MTVはアコースティックなライブイベントに「アンプラグド」の名前をつけて、意味付けし、ビジネスとして成功しました。

これって、もはや必ずしもContent is Kingの発想ではないんですね。

そういえば、名前っていえば、領土問題では島に日本名をつけたり韓国名をつけたり中国名をつけたりして主導権争いをしていますよね。 ゲド戦記では、魔法使いは自分の真の名をあかしません。命とりになるからです。 そんなことを考えるとスピッツの91年のアルバムタイトル、「名前をつけてやる」も意味深です。



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