2009年12月10日木曜日

【環境変化と漁法の点検】

先般、メディアに対するユーザーの意識の変化や市場環境の変化について、いろんな調査データを見ましたが、改めて大きな変化が起こっていることを認識しました。

例えば人口動態です。先般で日本の人口が約1億3000万人と説明しましたが、その年齢別の内訳をみると、たった10年で、激しく少子高齢化が進んでいることがわかります。これまで購買の中心といわれてきた34歳以下の層が740万人減少し、50歳以上が760万人増加しています。



人口分布の変化は最も予測しやすく、最も基本的なマーケティングデータですが、図をみて分かるとおり、突出して人口が多い世代が2つあります。一つは1947-1949年に生まれた団塊の世代810万人と、もう一つが1970-1974年に生まれた団塊ジュニア=960万人です。

こういった人口が多い世代はこれまで、いろんな流行を生む土壌になってきました。ちなみに団塊ジュニアは現在のアラフォー世代で20年前の女子大生ブームなどの主体となったバブジェネです。当然、数多くの音楽CDヒットを支えてきました。このバブジェネ世代のアラフォーはアラフィフに向かい、今後もまた何かのトレンドを生むはずです。 一方で、これから十年、若い世代の人口は更にどんどん減っていきます。 60歳前後の団塊の世代は定年を迎え、豊富な貯蓄と余暇時間で社会に大きな影響を与える始めています。 (ちなみ団塊世代は音楽アーティストでも矢沢永吉、小田和正、井上陽水ほか厚い層があります)

年齢や世代によって、メディアに対する意識も大きく違っています。高年齢層にとっては、いまだにテレビや新聞は日常の情報源の中心である一方、10代~20代では、もはや中心メディアは携帯でありインターネットです。メディアに対する接触態度も全く異なっています。例えば博報堂調査によるとお風呂に携帯を持ち込むことがある50代男性は1%ですが10代女性は33%です。テレビをみながらのケータイやネットは、高年齢者を除きもはや当たり前であり、全世代でその時間も確実に増加しています。

今後メディア業界、音楽業界は、どのような戦略で生き残っていくのかが問われています。その為に、ユーザー一人一人のニーズやウォンツを探り顧客志向を徹底していくことが重要です。 しかし加えて社会、経済、技術トレンドなどのマクロ視点での分析も必要です。なぜ同じことをしているのに成果が変わるのか、それは環境が予想以上のスピードで刻一刻と変わっているからかもしれません。 
ちなみに今週号の日経ビジネスの特集は「団塊世代」がテーマですが、その中で、堺屋太一さんが「企業経営者は若者ばかりを追いかけ、人口も少なく、消費力もないところに経営資源を投入している。」と指摘しています。 魚が少なくなった漁場で多くの釣り人と競争しながら漫然と釣りをしても成果は少なくなって当然です。 自分の得意分野を認識しながら、どこで、どんな魚を、どんな方法で釣るべきなのかを意識的、戦略的に考えることが益々重要になっていると思います。


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