2014年1月27日月曜日

【ゆでガエルにならない為に】

重大な環境変化にさらされても行動を変えることは難しいことの例えで「ゆでガエル」の話がよく使われます。かえるを熱湯に入れたら、熱くてすぐ飛び出すのに、水からゆっくりと温度をあげていくと、温度上昇に気づくのに遅れ茹だって死んでしまう、、という話。Wikiによれば「環境の変化に対応する事の重要性、困難性を指摘するために用いられる警句のひとつ」とありました。

ビジネスにおいて、「ゆでガエル現象」は頻繁に発生します。特に会社が歳をとってきたり社員の平均年齢が上がってくると環境変化への対応力が更に弱まっていきます。ゆっくりと進む変化によって自社のポジションがどんどん悪化し、価値が毀損されている状況があって、更にそれが致命的なレベルになることが確定的。よく考えればわかることなのに「なんとかなるだろう」と根拠なく思ってしまう。

人は変化することに対してストレスを感じるものだし、今までやってきたことを今まで通りにこなすことが一番楽。キャリアを重ねたりしていると、過去の成果に縛られて、今現在やっている仕事が未来への付加価値につながっているのか、という観点でモノゴトを捉えることが希薄化してしまいます。低い目標の達成でしかなくても成果が出ていれば、それでよし、疑問に思わなくなってしまう。

会社や事業が衰退に向かっていても、そのことに何となく気づいていたとしてもやはり変化は難しい。自分の責任じゃないし、、と考える。だから、むしろ駄目になる企業の末期ほど、会社に切迫感がないのではないかと思います。会社が破綻したとき、それをニュースで知った社員「まさかうちの会社が、、」ということもよくある話です。外から見ればそろそろ危ないということがささやかれていたとしても当人たちは大丈夫だろうと思ってしまう。いわゆる「正常化バイアス」というやつです。

では、ゆでガエルにならないように、危機を認識し、変化するためにはどうすればいいのでしょう。それを機能させる考え方の一つが「選択と集中」だと思うのです。

スティーブジョブズは選択と集中についてこう言っています。「集中というのは、集中すべきものに『イエス』と言うことではない。たくさんの優れたアイデアに『ノー』と言うことだ」と。

猫も杓子も「選択と集中」をすべきだと言います。でも、それで変われる会社は少ない。やることを決めることはできても、やめるべきこと、捨てるべきことを決められないからだと思います。徹底的にやらないといけません。ちょっとでも言い訳の余地を残すと人は「やるべきこと」より、得意な「やれること」を優先させてしまいます。

ナイキのCEOにジョブズがアドバイスしたと言われた次の言葉が徹底ぶりをあらわす象徴的な内容です。 「ナイキには世界最高の製品がいくつかある。だれもが絶対欲しいと思うような製品だ。その一方で、つまらない製品もたくさん作っている。つまらないモノは捨てて、優れた製品に集中するんだ。」

この徹底具合が重要なんです。

最近「ワン・シング 一点集中がもたらす驚きの効果」という書籍が出ています。「やるべき仕事は、常に「1つ」だけ。 大事な「1つのこと」を見つけ、そこに力を集中すれば、あとは、小さなドミノが次々と大きなドミノを倒していくように、目覚ましい成果がもたらされる。スティーヴ・ジョブズもビル・ゲイツも、すべての成功の秘訣はそこにあったのだ。」と説きます。

ゆでガエルにならない為に、変わることをDNAに組み込む、変わるために、賞味期限が過ぎた取り組みをすっぱり捨てていく。まずはその決断力、判断力こそが重要です。その上でリソースを情熱がもてて、強みがいかせる一点に集中させること。これを肝に銘じたいと思います。