「ネクスト・ソサエティ」といドラッカーさんの本があります。2001年の9.11の前に書かれ、まだFacebook、YouTubeもかげも形もなかった時代に発行された本です。
10年前に読んだことが、だんだんと現実となって表れてきているように感じます。やっぱりドラッカーの洞察力、予言力はすごいです。
今でこそ「ソーシャル」って言葉がクローズアップされ、ビジネスの世界でもソーシャルイノベーション、社会貢献が重要視されてきていますが、ドラッカーさんは そんなことは、とうの昔にお見通しでした。 "ITとインターネットによって社会が変わる"。 みんなITだ、インンターネットだ、なんだって騒いでるけど、本当に重要なのは社会(ソサエティ)なんだよと、、、。 ソーシャルの重要性を既に見通していたんですね。
ドラッカーは本を出版した1991年当時、進行しつつあった「IT革命」はやがて「産業革命」のごとく技術を超えて世界を変えていくだろう予言しました。
本を参考に「産業革命」の進行と「IT革命」の進行を対比してみます。
◆1760年 蒸気機関発明から始まった産業革命
イギリス産業革命は1760年から1830年まで70年間続きました。
・ まず蒸気機関が発明され、生産プロセスの大変化が起こります。
・ 50年後の1810年頃には蒸気を使った鉄道が発明されます。
技術革新がインフラ革新を呼んだわけです。
・ そして鉄道網の整備が次に郵便制度、電報、新聞などを生み出します。
これによる情報流通インフラ発展による産業の発展は銀行や公務員制度に
つながっていきます。
・ 人々の生活が変わっていきます。工場勤労者層を増えて、農業や家内制
手工業は崩壊します。
、、、蒸気機関発明から100年かけて社会が変わっていった訳です。
◆1940年 コンピューター発明から始まったIT革命
・ 蒸気機関の発明にあたるのが1940年のコンピューターの発明です。
・ 鉄道の始まりが1990年のインターネット。丁度50年後です。
・ 鉄道網の整備がブロードバンドを前提にしたeコマースです。
それが2000年ぐらいの話でした。
・ そして2011年、インターネットをベースとしたコミュニティインフラが普及。
エジプトではFacebookインフラを使った革命が起こるまでに至ります。
、、、、コンピューターの発明から70年で社会が大きく変わりはじめたということだと思います。
鉄道の整備が始まった段階にも鉄道バブルがあったそうですが、インターネットの整備が始まった段階でもITバブルがありました。ITバブルは大昔に弾けましたが本当の大変動はこれからということです。
1991年のドラッカーは言います。
「蒸気機関や鉄道は、それまでの家内制手工業でやっていたことや、馬車でやっていたプロセスを、置き換えたに過ぎない。同じようにコンピューターや今のeコマースは、会計計算や在庫管理、商品受発注プロセスをPC上に置き換えたに過ぎない。まだ何の本質も変化していない。
印刷技術発達によるキリスト教思想の浸透、それによる社会、制度、理念、思想の大変化みたいな本質的変化はほとんど起こっていない。」
「かなりの確率をもって予測できることがある。それは今後20年間に、相当数の新産業が生まれるであろうことである。」
そして、これまた「確実に」 これから”社会、制度、理念、思想が大きく変化していく”と予言しています。 既存の枠組みを置き換えているだけでは今後のブレークスルーはないってことですね。
昨今の「ソーシャルシフト」っていうのが、その大きな変化の始まりの一つのキーワードのような気がします。今後10年で何が起こってくるのかわかりませんが、きっと産業レベル、社会レベルでの変化が起こってくるんだろうなと思います。
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