2014年6月1日日曜日

【スマホ普及とメディア構造変化の加速】

スマホ保有率がそろそろ6割をこえそうです。 博報堂DYが行っている定期調査によると2014年2月時点でスマホ保有率は58.1%とあります。中でも10代から20代の保有率は8~9割に達しているとのこと。(2010年5月のエントリーをみると、そのことスマホの保有率は男性6%、女性2%だったようです。それから、たった4年しかたっていないんですけどね。)


総務省が行ったインターネットへの依存傾向に関する調査によると都立高校生の6割が、1日に4時間以上インターネットを利用しているらしいです読売オンライン


また ニールセンの調査によるとスマホでネット利用者は直近1年で1100万人増加。特に伸長著しいのは20代から30代の女性とありました。

これらの大きな動きは当然、様々なビジネスに変化をもたらしていますよね。これまで紙媒体が担っていた役割がネット上のサービスやメディアに移行し始めています。

企業の動きも加速しているようです。角川とドワンゴが統合するというニュースもありました。「ネット娯楽の発信源に」なるべく、コンテンツとプラットフォームを一体化し、グローバルな競争に対抗していこうということでしょうか。

しかし角川ドワンゴほど根本的な変化をしようとする既存メディアはなかなかいません。だいたいは、既存の事業モデルをネットに移植するような対応に走りがちです。テレビ局が番組をネットでも配信するとかというのは本質的な対応にはならないように思うのです。

ここで難しいのは、今起こっている変化は、既存媒体上での方法論や事業モデルが通用しないことが多いことではないでしょうか。たとえば紙媒体とネット媒体では、求められるコンテンツの内容も品質も違うし、情報への対応の速さも違う。ネット上では豪華なセットでテレビショッピング番組をやらなくても、HIKAKINさんなどYOU TUBER一人が大きな影響力を及ぼすことができます。これは既存の媒体の構造では商売になりませんよね。
一方向的な既存メディアに対してネットメディアは多く、双方向的であったり、単にユーザーに場を提供するだけの場合だってあります。既存媒体側としては、自らを否定し、カニバリを起こすような戦略をとることはなかなかできません。

近頃 NYタイムズが「Innovation」と題する改革レポートを出しています。そこには破壊的イノベーションによって既存プレイヤーが主役から転落するロジックが解説されています。 たいがい競合となるイノベーターは既存プレイヤー以外の業界外部からやってきて、最初は安かろう、悪かろうのサービスから始まる。しかしテクノロジーの活用で徐々に品質をあげていき、どこかのポイントで、多くのユーザーが「十分満足できる品質」に至ったとき、既存プレイヤーは一気にポジションを奪われるという話です。
http://www.scribd.com/fullscreen/224608514?access_key=key-TiQrYKIlOq2iHdtIubdB&allow_share=true&escape=false&view_mode=scroll

これって、昔、アップルや韓国のサムソンなどを下にみていた日本の電機メーカーの姿とも重なりませんか。 既存の構造を残したまま変化への対応はできません。生き残る企業は、いちはやく旧来モデルに見切りをつけるはずです。これが遅れると治療が長引きます。日本の電機メーカーがそうであったようにです。
結局は未来を見据え、儲かっているうちに、賞味期限切れ間近の事業モデルからは撤退、転換していくことが近道なんですよね。未来はもう予想できる状況に至っている訳なのですからね。

参考)
博報堂DY「全国スマートフォンユーザー1000人定期調査」第9回分析結果報告
ニールセン、2013年度のネット利用動向を発表