将来ビジョンやミッションを考える社内ブレストをした中で、なりたい姿の表現として「嫌われてもいい、好かれるより、愛される会社になりたい!」というのがありました。
「会社として、いったい誰に対してコミュニケーションを取ろうとしているのか。漠然としたユーザーターゲットを想定して、"より多くのユーザーが満足いただけること"、"喜んでいただけそうなこと"、を提供していれば最大公約数的に支持が獲得できていく、、なんて時代は終わっているんではないのか」、という指摘だと思います。
インターネットによって流通する情報量は爆発的に増えています。ある調査によれば、99%以上、ほとんどの情報は消費されずにスルーされていくという状況になっているそうです。そんな中で、求められるのは、膨大な情報の中から、個々のユーザーにとって、ちょうどいいサイズの情報、心地いい情報を切り取り、気持ちを添えて提供することなのではないか、ということなんですね。
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マスマーケティング全盛の時代は、個々の嗜好なんて考えなくてもモノが売れました。大多数の人が必要な便利で機能的でデザインがいいものをつくって、よいイメージとともに訴求すれば販売に結びく、そんなマーケティング1.0の時代です。
しかしモノと情報が行き届き、消費者に選択の主導権が移行すると企業は、ターゲットを設定し、他社と差別化した商品を訴求し、ユーザーの満足を第一に考えるようになる。マーケティング2.0への移行です。
更に消費社会が成熟した現在、進行しているのは、それだけでは売れないマーケティング3.0の時代への移行です。消費者は、もはや買いたくない相手から商品を買おうと思わないし、同じものを買うならその活動や姿勢に共感できる会社から買おうという社会になってきているということなんですね。
前回の「"Start With Why"の話」では、そんなマーケティング3.0な世界の中で、企業はまず、「Whyを語ること」から始めるべきだという話を紹介しました。企業や商品、サービスの社会における存在価値・意義をまず相手に理解してもらうこと。それが出発点だと。 企業は自分の考えを積極的に発信しなければ生き残れない時代になったということなのかもしれません。
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smashmediaの河野武さんという人は「競争が熾烈な現代社会において、消費者に選ばれる商品、サービスは、いちばん安いか、いちばん性能がいいか、いちばん愛されているかのいずれかである」と言っています。
じゃあ愛されるためにどうすればいいんでしょうか? まずは自らの考え方を示し、消費者の言葉に真摯に耳を傾け、対話し、情熱ある行動や姿勢を継続的にとっていかなければいけません。その意味で、ソーシャルメディアとどのようにつきあっていくのかが、全ての企業にとって大きな課題になってくると思います。
ソーシャルメディア活用においては企業にとって都合の悪い、ネガティブな反応や炎上リスクにどう対処していくのかがしばし議論のポイントになってくると思います。 しかし、ある本に「大半の企業に炎上リスクはない、なぜなら、そこに存在することに気づいてさえもらえないからだ」という指摘もありました。 愛されるの反対は無関心だとはよく言われることですが、企業も、嫌われてもいないということは、そもそもの存在価値さえも認めれれてないということの同義なのかもしれません。
ソーシャルメディアというのはユーザーが主導権を握っている場所です。そこへ企業が出て行って、愛されたいと思うなら、上から目線で通用するわけがありません。そもそもそもそも企業がマーケティングをするための場所ではないですからね。しかし企業も1ユーザーとして、向き合えば信頼や共感を勝ち取ることが可能な場所でもあるはずです。
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広告コンサルタントの高広伯彦さんという人は”B to Cのマーケティングは、B into Cのマーケティングへ”、という表現をしています。「B into C」、つまり消費者の中に入っていくということなんですね。
愛されること、共感されること、信頼されることは、一朝一夕で達成できるものではありません。でも、それが実現すると、企業にとっては大きな資産を手に入れることになります。ユーザーが理性や論理ではなく、情緒や感性で共感してくれる段階になれば、そのユーザーは自社のエバンジェリスト(伝道師)になってくれる可能性があるからです。
エバンジェリストは聞かれてもいないのに友人や知人に、その商品やサービスがいかに良いかをふれまわってくれます。周りを見渡せば一人や二人は、こっちが聞きもしないのに「こんどの●●はいいっすよ」って薦めてくる人がいますよね。
欧米でフェイスブックなどソーシャルメディアを活用したマーケティングが盛んになってきているのは、こんな背景もあるからなんですね。高度消費社会、感性消費社会において、自社が選ばれるためには、共感され、愛される必要がある。
参考
フェイスブックインパクト つながりが変える企業戦略
フェイスブック時代のオープン企業戦略
http://marketingis.jp/archives/854 最愛を目指せ(河野武)
http://www.advertimes.com/20101220/article3743/ B into Cのマーケティング(高広伯彦)
http://sem-labo.net/blog/2011/04/30/0529/
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