2011年5月14日土曜日

【ヒアリングの威力の話】

先日、会社の営業研修のオブザーブをしてまいりました。
今求められる基本となる営業スキルはなんのか、応用するにも、まずは基本がわからないとね、ということです。

世の中、それこそ商品情報は下手をすればお客さんのほうが詳しいこともある時代。マスメディアの情報やブランド訴求もなかなか伝わりません。
個々人の価値感も多様化し、商品、サービスそのものの価値というより、その商品やサービスによって提供される機能、体験、思いのほうに重きがおかれる時代です。

そん中で「価値」をという形のないものを売らなければいけない営業は、どのようなスキルが必要なのか。どう行動すべきなのか?
もはや、とにかく足でかせぐということでもないでしょうし、プレゼンをうまくやれば説得できるということでもないですよね。

◆ヒアリングの力

そこで重要になってくるのが「ヒアリング」。相手の潜在、顕在のニーズをいかに引き出し、Win-Winとなる提案ができ、パートナーとしての信頼関係を勝ち取れるか、そこに「ヒアリング」のスキルが重要となってくるという話です。
昨今、指導もコーチングという方法がクローズアップされていますよね。画一的な仕事形態の中で、マニュアル通りに進めればいい段階を過ぎ、業務が専門化、個別化する中では、「答えは各個人の中にある」という想定に立ったほうがリーズナブルです。だからヒアリングによって、それを答えをあぶり出す、気づかせるということが有効だということです。

人間は、基本、聞きたいことしか聞かない、頭に入れない。経験上、これは間違えないと思っています。どんなに素晴らしいプレゼンを用意しても、どんなに説得力ある話でも、相手は聞きたい話しか耳に入れないものだと認識しています。一番相手に響くこと、入ることは、相手がそのとき潜在的に思っていること、考え方、アイデアとシンクロしたときだと思います。そうすると「いや、その通りですね!」ということになるんですね。

「ヒアリング」は、その相手が潜在的に思っている考え方を思考の表層にもってこさせる力があるということです。営業においても、プレゼンの前にヒアリングが重要というのは、ここにあります。

◆営業におけるヒアリング

プレゼンでは、相手が聞きたいことを言わないといけません。なので、まず相手の聞きたいことを探る、それがヒアリングです。

まず「営業マン」なんてのは、そもそもお客の立場からみれば面倒くさい存在です。突然、どっかの営業マンから電話がかかってきて、「実はおすすめの、いい話があるんです」と切り出されても、「今、忙しいので」で終わらせたくなりますよね。営業マンから電話っていった瞬間にまずは”警戒”です。一方的なセールスに対して、人は基本「NO」を前提に対応するといいます。
普通にアポをとって相手にプレゼンする場合でも同じですよね。「是非、御社のお役に立ちたいです。我々はこういう素晴らしい取り組みをしています。興味ありませんか」っていってプレゼン資料を渡されても、「ふーん」で終わる可能性が高いです。「是非、御社のお悩みやニーズを聞かせてください」って漠然と聞かれても。「そういわれても、特にねぇ」となります。

しかし、いい質問をしてくると、相手のその感じがかわってくる可能性があります。相手が何を聞いてくるかで、相手の知識レベル、提案レベルはだいたいわかりますものね。

◆まず情報収集と観察

なので、いいヒアリング、いい質問というのは、相手のことをよく知った上で、仮説にもとづいて、するものだということです。
もちろん、初対面で、相手のことをよく知ることはできません。だから会う前に、知る事ができる情報をできるだけ頭にいれる。ホームページや本、相手の会社の雰囲気、昨今ではTwitterやFacebookで本人の発言やプロフィールまである程度把握できてしまします。その上で、相手の考え方や興味について仮説を立てて、それを質問によって探りながら、相手の潜在的なニーズに辿りついていく。
相手も潜在的にニーズに近いところを探られているうちに、自分でもアイデアがひらめく、ニーズに気づく、ということになるかもしれません。

その後で、「それだったら、こういう提案ができますよ」と提案、プレゼンする。
相手が潜在的に聞きたいことを提案すれば、「なるほど、おもしろいね」となるはずです。信頼にもつながるかもしれません。


◆住宅展示場での営業の事例


ここでも営業マンがヒアリングでまず知るべきは家に対する「お客様の夢やビジョン、問題」ということです。

住宅展示場を訪れる多くの人が感じるのは、「どのメーカーもモデルハウスは素晴らしいし、営業の人が特徴や性能を詳しく説明してくれる。しかし、私が新しい家でどんな暮らしをしたいのか聞いてくれる人はめったにいない。」ということ。
だから営業マンはあえてお客様と「商品以外の話」をできるようにするべきだということです。商品に直接関係のない話は、たとえそれがお客様の趣味やライフスタイルの話であっても「世間話」や「雑談」ととらえて切り捨ててしまいがち。でも、その雑談の中にお客様の関心事、ニーズの芽がある。という話です。http://stc.cicombrains.com/jirei/08.html


こんな営業のことを「高関与営業」というらしいです。それは、顧客への貢献を実現する営業ということ。自社の商品やサービスをいかにし て購入してもらうかというセールスの立場から一歩進んで、顧客の立場になって物事を考え、深く理解 し、どうすれば顧客が抱えている問題を解決できるのかという視点に立って営業をするということらしいです。