2011年1月13日木曜日

【秋元康さんとかヒットメーカーさんの話】

年末の日経ビジネスで2010年ヒットランキングの特集の記事がありました。1位Twitter、2位 iPad、3位 食べるラー油、4位ハイボール、5位 Andriodスマートフォン、、。 音楽関連では10位にAKB48が入っていました。 そんな流れでAKBのプロデューサー秋元康さんのヒットの極意のインタビューが載っていました。

『自分が面白いと思うかどうか。ヒット商品を生み出すポイントは、この一点に尽きます。自分が面白くないものを、大衆が面白いと思うわけがない。ヒット商品には共通点があります。それは大衆の共感を集めたかどうか。「こういうものが面白いはず」と「自分が心底面白いと感じる」の違いが、ヒットが生まれるかどうかの分かれ目です。ちょっとした上から目線が大衆の感覚との誤差になり、共感をそいでしまう。

僕はモノをつくるときにマーケティングは一切やりません。だって、今流行っているものは、もう過去のものだから。もっと、自分の本当の気持ちや本当の声を聞いたほうがいいと思います。

面白い企画、ヒットする企画は多数決からは生まれません。たとえ1対9でも、誰か1人が辞表を出してでもやりたいというものが当たる。6対4で、とりあえずやってみようかというものは絶対に当たらない。。。』
等々のことが書いてありました。

念のため、僕は、ヒットが全てと考えている訳でもなく、マーケティング調査やユーザーターゲット分析なんてムダだと考えている訳でもありません。

でも世の多くのヒットメーカーさんたちは、よく秋元さんと同じような話をするんですね。スーパーマリオを開発した任天堂の宮元さんという人も「面白いとはどういうことか、なぜそのゲームは面白いのか、ここをきちんと詰めたコンセプトがなければゲーム開発は始めない。その答えは、結局われわれの頭の中にしかない。僕はコンセプトを考えるときに、営業部隊やユーザーの声はきかない」と言ってます。 
最終的には、調査データより、五感を使え、自分の感覚を信じろ、ということかもしれませんね。

リクルートで「とらばーゆ」、「じゃらん」、「フロム・エー」など数々のヒット誌を創刊した倉田さんという方も、まずアイデアを自分の身近な人たちにしつこく聞きまわって感触を探ることから始めるという話がありました。

ユーザーターゲットを考えるときも、年代や嗜好タイプで、おおざっぱに設定するだけでなく、データに頼るだけでなく、具体的な人を想定することが有効だという話も多いです。

ウォルマートも、実際に存在する一人の女性客を想定して「それってナンシーが喜ぶだろうか」という基準で判断を議論するという話が本に載っていました。 

アスクルも、小規模会社の総務担当の女性、“久美子さん”を想定してサービスコンセプトを固めたという話がありました。

アーティストがつくった名曲も、誰か一人に向けて書いたものが多くの人の共感を呼ぶということがありますよね。

ある戦略本には、「コンセプトをないがしろにして戦略立案、実行を始めてしまうと、結局、誰も欲しくない商品開発になったり、投資をムダにしてしまう。だからこそ、コンセプト構想にじっくりアタマを使い、手間隙をかけるべきだ」と指摘されていました。秋元さんほか上記の例でいうと、そういうコンセプトはデータ上のマーケティングだけからは出てこないと言っているんですね。

ツールや方法論は真似できても、アタマを使って練られたコンセプトと、そこから展開される戦略思考と蓄積された組織能力は簡単には真似できません。逆に言えば成功している他社事例の方法論だけを模倣しても、うまくいかないということもあります。 そのぐらいコンセプトは出発点として重要だという話です。 このへんの話はまた別途で。

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