2011年1月28日金曜日

【ティッピングポイントの話】

会社でUstreamを使った企画が行われました。改めて感じたのは、放送とは違うユーザーコミュニケーションの感覚でした。実数としての視聴者数が明らかになり、感想がリアルタイムでTwitterでやり取りされる訳ですからね。地上波テレビで何千万人も同時に視聴しているメディアと数十人から始まるUstream型メディアを同じ観点で語ることはできないと思うので、放送番組とは違う方法論が必要です。何より新鮮だったのはTweetによる視聴ユーザーの参加感でした。現場でもスタッフ、演者含め、やった感満載だっと伝え聞いてます。

さて、そんな中で、今回は最近読んだ「ティッピングポイント」という本の話です。ティッピングポイントというのは、いろんな事象を捉えたとき、ある地点を過ぎると、一気に変化が起きることがある、一気に何かが傾く(Tipする)瞬間がある、ということを説明する概念です。
ティッピング・ポイント―いかにして「小さな変化」が「大きな変化」を生み出すか

ここで語られていることは、流行や慣習など社会現象の変化や、口コミによる伝播、前回話のNYの1990年代の犯罪の激減のような変化にみられる特徴についての分析です。 社会変化や情報伝播の拡がりかたには、まるでウイルス感染のような共通項が見出され、その特徴には大きく3つがあるようです。

1. 感染的特長がある。
たいして宣伝していないのに商品が売れ始めることがあります。例えば、ある地域のほんの数十人の若者で流行始めた靴が全国で流行したり。 前回のNYの例では、地下鉄の落書きとを撲滅するという、ごく限られた事象に影響を及ぼすことによって、人々の行動様式に変化を及ぼし、それが、いつの間にか街全体の行動を変えました。要するにごく少数から、広い範囲に”ウイルス”を感染させていったと想定できる訳です。

2.小さな変化が大きな結果をもたらす。
どんな大きな変化も、最初は、ほんの小さな変化から出発しています。インフルエンザ対策で空港の水際対策に力を入れるのは、この為ですよね。一人が感染すれば、数日間~数週間で数十万人に感染する可能性があります。

3.変化は徐々にではなく劇的に生じる。
生活環境や社会問題は徐々に改善されたり悪化したりすると思いがちですが、実は変化というのは、ある臨界点を超えたときに一気に起こるという指摘です。 (いわゆるブレークする、という感じなんでしょうか)

  
大きな変化や感染伝播が起こる場合の特徴は何なのかを探れば、どのような戦略をとれば、大きな変化や効率的な情報伝播ができるかのヒントになりそうです。 「ティッピングポイント」は2000年に発行された本なので、現在のようなソーシャルメディアについての論考は含まれてませんが、今こそ、そんな感染的な情報伝播の可能性が拡がっていますよね。

とにかくマスメディアだ、という時代は終わりました。ながら見の数万人~より、むしろ積極的にイベントに参加しているコアな数百人の中から、伝播拡散のウイルスが生まれるかもしれません。 ソーシャルメディアは情報拡散の強力なツールになります。 そこでのポイントは、どんな人に、どんな情報を、どういう状況で提供するのか、ということです。 数で評価するだけではなく、いかに伝わったか、ということが重要になっていると感じております。

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