ここまで数回、人の思いや価値観とビジネス成果の関連性の話をしてきました。情報量の増大と価値観の多様化の中で、一人ひとりの「思い」が重要度を増している。
そんな中で、最近、地上波テレビで思わず見入ってしまうのがテレ朝「お願いランキング」の「美食アカデミー」のコーナーです。
内容は、料理人、料理研究家がちょいキビ判定員としてチェーン飲食店やコンビニ食品、冷凍食品などの売れ筋メニューを辛口で採点評価判定。別室では企業の商品担当者が、そのコメントや判定に一喜一憂します。お約束として、企業担当者の自信の商品が「味がバラバラ」「材料が生かされていない。すごくもったいない」など容赦なく酷評され重苦しい雰囲気に。でも、判定員が美味しいと評価する商品は「これ、おいしぃー。サイコー」、「今まで食べた○○の中で一番かも」などと手放しでほめられることも。そうすると企業担当者は抱き合ったり、涙を流して喜んだりします。そして評価された商品のこだわり、調理行程の裏側や製造工程の工夫などが映像で紹介され、おいしさの秘密が明らかにされる、、そんなパターンですよね。
これは企業にとってはリスクもあるはずです。イチオシの商品が酷評されれば売上減にもなりかねません。それでも企業がこぞって協力するのは、それ以上のメリットを感じているからですよね。ある企業担当者は「人気商品を知ってもらういい機会になる」と言います。また、ここで紹介された商品は厳しい評価のものも含め売上拡大に貢献するようです。
何を隠そう実は僕もマルハニチロの冷凍食品の放送回に影響され、ここ数年間購入したことがなかった冷凍食品を数点買い込んでしまいました。うちの近所のスーパーでは2位の「あおり炒めチャーハン」は「好評につき品切れ」していたほどでしたから、きっと僕のような普段、冷凍食品を買わないようなユーザーを含め新規開拓に成功しているということですよね。
これが商品販促として有効足り得えているポイントがいくつかあるように思います。
1. エンタ−テイメントな演出の中で視聴者の興味が持続され商品認知が
進むこと。
2. 番組を通じて商品の作り手の顔が明らかにされ、企画開発、製造工程
などのこだわりや思いが共有されること。
3. 辛口の名の下に“公正で信頼に足りる判定がされている”と感じさせ、
且つ、その判定の真偽を自ら確認したくなる衝動にかられること。
4. マスメディアを使っているものの、極めて偏った判定人の個人的見解に
よる評価は、企業CMではなし得ない説得力を生んでいること。
消費者はテレビCMを簡単には信用せず、企業もマスメディアにCMを打っても響かないと感じるようになっています。宣伝担当者は「大衆はいったいどこに行ってしまったのか?」と悩みます。テレビが駄目なら、ネットだ、バナーだ、リスティングだ、ブログだ、SNSだ、と手を替え品を替え試行錯誤してきました。 でも「お願いランキング」でわかるのはテレビだネットだ、というツールの話ではなく、誰が、どんな思い、ストーリーの中で商品を企画し、ユーザーに何を訴えようとしているのか、それを誰が選び評価しているのか、が重要なキーになっているということではないかと思います。
人の顔の見えない企業としてではなく、顔がみえる企業の中の人の思いが付加されて初めて伝わる。そういう商品なら買いたいと思う。単なる企業が売りたい商品や売上順位ではなく、顔がみえる信頼に値する誰かの評価を人は信じる。 そういう時代にシフトしてきているように思います。
コンテンツそのものの善し悪しだけではモノゴトは成立しなくなっているし、画一的な宣伝販促では効果が薄れてきている。むしろコンテンツの背景にあるストーリー、誰かの思いが伝わる大きな力を生むようになってきているのではないか。
なんか、ここらへんにチャンスがあるように思いませんか。
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